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一層の経営の健全性向上と
適切な金融機能を発揮へ
農林中央金庫 理事長 上野 博史


上野 博史氏

 全国JAの組合員ならびに役職員の皆様に謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 さて、平成14年は一連の食品の偽装表示やBSE問題等により、消費者の「食」と「農」への関心がこれまでになく高まりを見せた1年でした。このような情勢のなかで、系統団体においては「安心・安全」の旗印のもと、さまざまな取り組みがすすめられております。
 金融情勢としては、14年4月のペイオフ一部解禁以降に見られた定期性から流動性への預貯金シフトの問題、さらに金融機関の不良債権増大や株価下落に伴う収支問題など経営全般にとって厳しい情勢が続いております。各金融機関とも生き残りに向けた取り組みを先鋭化させており、系統信用事業としても勝ち残りへの対応が強く求められています。
 私どもJAバンクでは、14年1月のJAバンク法施行を受けて、自ら定めた「JAバンク基本方針」にそった「JAバンクシステム」の本格的な運用を開始しました。特に「破綻未然防止システム」については、JA・信連・農林中央金庫が一体となって取り組んできており、貯金の対前年比増加を継承するなど、組合員・利用者の信頼という大きな成果に結びついたものと確信しております。なお、ペイオフ全面解禁については2年間の延長が決定されたところですが、金融再生プログラム具体化等の今後の影響を見据えますと、「JAバンクシステム」の一層の取り組み強化はかり、JAバンクの健全性・信頼性をより高めていくことが重要と考えております。
 また、組織整備の問題につきましては、14年10月、長期にわたり取り組んできた宮城県信連との統合を実現しました。今後、当面6県信連との統合が予定されておりますが、金庫としては、「JAバンクシステム」のスタートや系統信用事業を取り巻く環境の変化等を踏まえ、「基本的考え方」について一部の見直しを行ったところであり、より積極的に組織整備に取り組んでいく方針としております。
 現在、わが国の社会・経済全体が大きな変革を迫られる転換期にあり、特に日本経済再生に向けた金融機能の早期回復が強く求められています。JAにとっては、本年はJA全国大会が開催される年です。組合員・利用者の負託に応えるべくJAの事業推進力ならびに収益向上、効率的経営に向けグループ全体で取り組んでいくことになることと思います。金庫においても一層の経営の健全性向上と適切な金融機能の発揮に向け、役職員一丸となって十全な対応を図ってまいりたいと考えております。本年も皆様のご支援とご協力をお願い申し上げ、新年のご挨拶といたします。




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