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「農作業安全指針」を広く浸透させ
地域農業での効率的な機械利用、農作業の安全対策を推進
社団法人日本農業機械化協会 会長 今村宣夫


今村宣夫氏

 新年明けましておめでとうございます。
 本年も皆様にとってよき年でありますようご祈念申し上げます。
 さて、昨年は新しい世紀が前の世紀とは全く異なる時代となることを如実に予測させる混乱の年でありました。
 世界経済の低迷に、無差別テロ事件に端を発した中東情勢が拍車をかけ、世界の国々の価値観の違い、異なる宗教が取り返しのつかない事態をも招く状況にあります。
 わが国では長引く経済不況によるリストラの嵐、不良債権処理をめぐる金融不安などに加え、食品会社の杜撰な製品管理、無登録農薬の使用など食の安全性を脅かすような出来事が世の中を一層暗くしてしまいました。
 外国からの農産物輸入が急増し、慢性的な米あまり減少が続くなど農業を取り巻く情勢も悪く、農業機械の利用面での状況も依然として芳しくありませんでした。
 本年は、厳しい社会経済情勢が続く中でのスタートとなりましたが、わが国農業にとっては生き残りを賭けて戦っていく極めて重要な年になると思われます。
 米の過剰基調は依然として続き、畜産の低迷、野菜生産における海外との競争の状況の中で、食料・農業・農村基本計画の具体化による国内生産による食糧確保がわが国の将来にとって重要な課題であります。
 WTO交渉の行方も予断を許さないところですが、海外との競争に打ち勝ってわが国農業の基盤を固めるには、高品質でかつ海外に負けない生産性の高い農産物の生産が喫緊の課題となっております。
 このためには、新しい農業機械の開発と効率的な利用による農業機械化の推進が必要不可欠です。
 本年の農業機械を取り巻く情勢については、需要供給面ではなお厳しい状況が続きますが、研究開発、生産、流通、利用のそれぞれの段階で関係者一丸となって全力で戦っていくことが、困難な状況を打開する唯一の道と考えます。
 これらの情勢を踏まえ、本会と致しましては供給、流通、利用現場のそれぞれの分野、更には関係する行政・研究サイド等農業機械に係る方々の意思疎通や相互交流が図られるよう、本会の持つ機能をフルに発揮してまいりたいと思います。
 このような考え方に立ち、今年も新しい農業機械の効率的利用のための普及・指導、農作業安全対策、海外の技術協力をメインの事業に据え、現地研究会(機械化現地フォーラム)の開催、各種調査の実施、情報交換、農作業安全資機材の作成配布、使用済みの農業機械の適正処理等の事業をより充実させることとしております。
 特に、農作業安全に関しては、依然として農作業事故は減少せず誠に痛ましい限りですが、これからの農業の担い手が安心して仕事ができるような農作業環境を作るために全力をあげて取り組みたいと思います。高齢の方々が農業機械を操作する機会が多くなっている状況の中で、死亡事故に隠れて表面に現れない怪我やヒヤリ体験が膨大な数になると思われます。
 本会としましては、昨年農林水産省でまとめられた“農作業安全指針”を農業者、農業機械関係者に広く浸透させるとともに、実態調査やそれに基づく農作業安全資機材の普及等を行い、関係団体と協力しつつ農作業の安全運動推進本部を中心に農業者に対し農作業事故を減らすための啓発活動をより強化していくこととしています。
 情報提供については、インターネットの本会ホームページ及び農業生産資材情報センターの充実に努め農業機械化情報の発信基地としての役割を果たす所存です。本会ホームページに機関紙「機械化広報」からの抜粋記事を掲載するなど、充実させることと致しました。
 本会は、各道府県の農業大学校(研修部門)で構成する全国農業機械化研修連絡協議会、農業機械士の組織活動を目的とした全国農業機械士協議会の事務局を担当しております。
 これらの組織は、農業機械の利用を通じてわが国農業の中核をなすプロ農家の育成や活動を強化するとともに、農作業安全運動の中核的組織として重要な業務を担っています。
 各会員企業、団体とこれら組織との交流、連携を通じ、地域農業における効率的な農業機械利用、農作業安全対策を推進してまいる所存です。




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