農家まで十分に伝わっていない低コスト生産資材情報 「農業生産資材に関する意識意向調査」(農水省肥料機械課)から |
農水省農産園芸局肥料機械課は、「生産資材費低減のための行動計画の見直しに際し、農家が農業生産資材に対してどのように考え、どう利用しているのか」、その意識およびに意向を把握するための調査を行い、6月20日にその集計結果をとりまとめ発表した(以下「調査報告書」)。 ◆調査農家の概況 調査は、東京・大阪・沖縄を除く道府県の水稲稲作を主とする土地利用型農家1016戸を対象に、道府県職員による聞き取り調査方式で、今年4月に実施された。 ◆高いJAの利用率 ――購入先とその理由 各生産資材の購入先は1〜3図の通りだが、肥料・農薬では80%以上が農協から購入しておりJAのシェアが高いが、農業機械の場合には50%強が農協から購入しているが、機械小売商からも40.9%あり拮抗しているといえる。
◆アラジンを知らない農家が23%も――肥料 平成9年から販売されている「輸入高度化成肥料」(アラジン)については、図4のようにすでに「使用している」農家は22%となっているが、「知らない」と回答した農家が23%もあり、「情報が個々の農家まで十分に伝達されていない状況が伺われる」(調査報告書)。また、使用していない理由として「地域で売っていないから」という回答が29%ある(図5)ことも、今後のアラジン普及を考えるとときに注目されよう。 約54%がアラジンを使用していないと回答しているが、その理由は図5の通りだ。調査報告書は「農家の輸入高度化成肥料(アラジン)についての知識・経験の不足および商品供給の不十分さが伺える」と指摘している。
◆効果が優れたものを購入――農薬 農薬を購入するときに重視する事項は(図6)、「効果が優れたもの」61%に対して「価格の安価なもの」は10%となっている。経営規模別にみると「効果」は、1ha未満53%、1〜3ha59%、3〜10ha67%、10ha以上69%と規模が大きくなるほど高くなっている。それに対して「安価」は6%、13%、10%、10%と規模による大きな変化はなく、低価格志向は弱いといえるようだ。 10a当り1kgの散布ですむ水稲除草剤(1kg粒剤)については、すでに66%の農家で使用されており、「販売されていることを知らない」農家はわずか4%となっており「広く農家に知られている」といえる(図7)。同剤を「利用しない」理由として40%が「使用したが散布しずらい」ことをあげている。その理由を調査報告書は「散布の不慣れ(動力散粒開口部の調製)と考えられる」としている。
備える性能を基本的なものに特化する代わりに価格を1〜2割安くしたHELP農機の利用意向(図8)では、すでに「利用している」3.3%、「更新時に利用したい」32.1%に対して「知らない」が40%強もあり、ここでも情報が農家まで十分に届いていないことが推測される。
この他、同調査では「施肥量の節減への取組」(取組んでいる68%)、「農薬使用量の削減」(取組んでいる68%)や「中古農機の購入動向」「遊休農機の保有状況」「農業機械経費の節減方法」などについても調査しているが、ここでは省略する。 この調査結果を読んだ感想としては、アラジンやHELP農機など、生産資材費用低減運動の柱としてJAグループが推進している資材の情報が、農家の段階まで十分に伝わっていないということだ。その原因がどこにあるのかを明らかにし、それを解決することで状況が変化するのではないだろうか。 |