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高まる生産者の安全防除意識
 11年度安全防除優良JA拡大運動研究会開催


 JA全農では、安全な農産物づくりを生産現場からの自発的な運動とするために、10年度から参加JAを公募して実施する「安全防除優良JA拡大運動」を展開している。6月29日に11年度の同運動参加JAによる研究会が、東京・千代田区のコープビルで開催され、安全防除優良7JAを表彰するとともに、優良事例の紹介や運動の成果と課題について検討し、この運動の定着とさらなる発展をめざすことを確認した。

◆果樹・野菜中心に15JAが参加

 JAグループでは、「生産者」「農産物」「環境」の3つの安全確保をめざして、昭和46年から安全防除運動に取り組み一定の成果をあげてきている。
 とくに、平成元年からは、農薬を適正に使ったことを自ら証明する「防除日誌記帳運動」への取り組みを提起するとともに、パイロットJAを設置して防除日誌のチェックや使用した農薬の残留分析にも取り組んできている。

 こうした取り組みに加えて、平成10年からは生産現場からの自発的な安全な農産物づくり運動をすすめるために「安全防除優良JA拡大運動」を実施している。
 運動2年目の11年度のこの運動への参加JAは、前年度よりも3JA多い15JAで、作物別にみると、水稲2JA、果樹5JA、野菜8JAと、取り組みの難しい果樹・野菜が多くなっていることが特徴だ。また、昨年度参加して、防除日誌の記帳、残留農薬など安全性についてはまったく問題がなかったのに、天候がよく収穫期が早まったために表彰から漏れたJAが、防除暦を見直し再度挑戦し、前年度の課題を解決して表彰されるなど、積極的な取り組みがみられたことも大きな特徴といえよう。

◆部会中心に適期・適正防除を徹底

 参加JAの規模は、各作物部会の規模・構成や作型などによって10〜2020戸と大きく異なるが、いずれも部会を中心に活動し、防除暦の作成、研修会・講習会・部落座談会などを実施するとともに、農家巡回で適期・適正な防除の徹底と、予察などの情報の徹底をはかっている。

 実施されている研修会・講習会の内容は作物によって違いはあるが、おおむね次のような内容で実施されている。
 @安全防除にかかわるもの(この運動主旨の説明、防除日誌記入方法の説明、安全に配慮した防除方法・防除具紹介、安全使用基準の遵守徹底など)
 A栽培にかかわるもの(栽培管理、新技術など)
 B病害虫発生状況とその対策

◆環境に配慮した取り組みも積極的に

 具体的な防除内容でもいくつかの特徴をあげることができるが、最近の社会的な状況を反映して、
 @農薬散布回数低減の取り組みや残留農薬分析にもとづく使用農薬の検討
 A防除・予察へのフェロモン剤の使用、天敵農薬の効率的な使用の検討、天敵に影響の少ない薬剤の使用
 B防風ネット、予察灯、黄色粘着板、圃場清掃、間伐、下草刈、太陽熱消毒など耕種的防除
 C予察活動による適期防除の推進
 D使用済容器、ビニールの回収と適正処理、農薬残液を出さない配慮
 など環境に配慮した取り組みが生産現場でも積極的になされ、IPM的な考えが芽生えつつあるとJA全農農薬技術普及課ではみている。

◆広域一斉防除など効率化も追求

 また、生産コスト低減や生産者の高齢化などによる省力化も大きなテーマだが、参加JAでは効率的な防除を行うために、下記のような取り組みが行われている。
 @予察活動と適期防除の徹底
 予察活動としては、フェロモンとラップ、予察灯、黄色粘着板などによる発生状況の早期把握があげられる。適期防除については、各種広報活動、パソコン・有線の活用、巡回指導などを行い徹底している。
 A部会を中心とする共同防除による広域一斉防除の実施
 Bローテーション散布による抵抗性回避対策
 C講習会などでの効率的防除、安全防除の徹底

◆確認された農産物の安全性

 こうした活動によって、次のような成果があったことを研究会では確認している。
 @10年度の課題を踏まえ、防除暦を改善して取り組んだ結果、優良な成果をあげた事例があった。
 A部会と一体となった活動によって、安全防除、防除日誌記帳などの活動を生産現場で徹底することができ、安全防除意識が浸透した。
 B販売部門との連携をはかり、成果をあげることができた事例があった。また、優良JAとなり「安全防除マーク」を農産物に使用したいという意志表示をしたJAがあった。
 C防除暦点検、防除日誌記帳・チェック、残留農薬分析の一連の活動によって農産物の安全性を確認することができた。

◆記入しやすい防除日誌を

 研究会で表彰されたのは別紙の7JAだが、表彰されなかったJAも残留農薬分析の結果ではいっさい問題はなく、安全性については確認がされている。にもかかわらず選に漏れたのは、防除日誌に薬剤名や使用回数の記帳漏れがあったり、記帳されていても判読ができなかったことによる。

 そうした意味では、当日優良事例発表を行ったJA茨城旭村トマト部会が実施しているように、使用薬剤を限定して、薬剤名をあらかじめ防除日誌に印刷し、記入しやすいような工夫も大事なことだといえる。研究会でJA茨城旭村の話を聞いた参加者からも、さっそく取り入れたいという話が出ていたという。  (JA西印旛白井中央梨選果場組合については、本紙1786号参照)

平成11年度安全防除優良JA拡大運動表彰JA
JA名 部会名 登録作物
茨城県 JA茨城旭村 トマト部会 トマト
千葉県 JA西印旛 白井中央梨選果場組合
岐阜県 JA飛騨 奥飛騨娘生産組合 水稲
兵庫県 JA兵庫六甲(神戸市西) 岩岡チンゲンサイ部会 チンゲンサイ
山口県 JA山口中央(仁保) 仁保支所稲作部会 水稲
島根県 JAくにびき 松江・八束くにびきキャベツ部会 キャベツ
島根県 JA石見銀山 キャベツ部会ミセスくらぶ21 キャベツ

 

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