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一元化懇談会の議論が焦点に 農林年金の統合問題

 農林年金などの統合問題を議論する政府の「公的年金制度一元化懇談会」(座長・神代和俊放送大教授、経済団体、労働団体、各年金関係者17人で構成)は、6月に5年ぶりに再開された後、10月までに4回の会合を開いている。

 8月3日の第2回会合では、@各制度の平成11年財政再計算、A数理部会の財政検証結果、B平成8年3月の閣議決定後の各年金制度の取り組み状況が報告され、9月11日の第3回会合で年金制度再編成の全体的な考え方が議論された。
 この会合では、日経連と連合側委員から「昭和59年の公的年金一元化に関する閣議決定が基本。各制度が独立運営できるかどうかではなく公的年金全体の一元化議論をして具体的なスケジュールを示すべき」、「前回の一元化懇談会(5年前)では、3公社(NTT、JR、JT共済)の統合で終わったが、それは将来の一元化へのステップとして受け入れたもの」などの意見が出た。

 一方、私学共済などの関係者からは「財政的にも単独で運営できる。平成8年の閣議決定は一元化イコール一本化とはいっていない」、「8年の閣議決定は、各制度の目的、機能、過去の運営努力などに配慮すべきとしておりこれを踏まえるべき」など対立する意見が出た。このため、座長が今後の進め方として@農林年金の問題はまず3公社の統合方式を参考に検討、A国共済・地共済については財政安定化措置の具体的なスケジュール、B私学共済については、被用者年金制度全体のなかにおける位置づけについての具体的な方針とスケジュールを要望した。いわば、農林年金の統合問題と各共済の今後の対応を両睨みする形で議論が進められることになった。

「誰もが納得できるものに」と山田JA全中専務が要望

 また、この会合にはJA全中・山田専務が出席し「農林年金の統合条件については誰もが納得できる公平なものにしてほしい。移換金については、たとえば@旧3公社の統合時の例、A厚生年金が解散して代行部分を基金連合会に引き継ぐ場合の例、B新企業年金制度で検討されている代行部分を返上する場合の扱いの例、も参考に幅広く検討してもらいたい」と発言した。
 第4回会合は10月3日に開かれた。まず、3公社統合時の@移換金算定の考え方、AJR、JT共済への各制度の財政支援の仕組みについて厚生省が説明。これに対して「農林年金統合でも、この考え方になるのか、それとも懇談会で“考え方”を議論するのか」との質問が出され、内閣審議官は「この懇談会で“考え方”を議論してもらいたい」と回答した。

 また、国共済、地共済、私学共済をめぐっては委員から「将来にわたって本当に(独立運営で)大丈夫といえるのか。大きな流れを見誤らないように」、「平成8年の閣議決定は最終的には全制度の統合をめざしているはず。3共済、(所管の)3省庁が統合についての見解を示すべき」などの意見が出された。
 JA全中の山田専務は「3共済の取り扱いと合わせて、次回には農林年金の統合条件の考え方についても議論して決めていただきたい」と発言した。

次回は国・地・私学共済で議論深める

 これらの意見を受け、次回は@国共済・地共済、私学共済の問題についてさらに議論を深める、A農林年金の問題についても、3公社の例も参考に踏み込んだ議論をする、との方針を座長が示した。

 次回は10月中に開催される予定もあるが、3共済の統合についての具体的なスケジュールが同懇談会で確認されないと、農林年金統合問題に議論が移らないのではないかとの見方もある。一方、農林年金制度対策本部では、一元化懇談会の検討状況を踏まえ、9月14日の専門委員会・事務局合同会議で「最終整理案に関する組織協議を含め、今後のスケジュールについては、一元化懇談会の結論の大枠が固まり統合の時期等が明らかになった段階で関係者に知らせる」ことを確認している。  


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