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「堅実な運用を行い経営も健全」
全共連が朝日新聞記事に反論

  「不良資産引きずる全共連 ずさん管理・運用のツケ」「合併後もリストラ停滞」と、あたかも4月統合後の全共連が経営不振に陥っているかのような新聞報道が11月5日にされた。これに対して全共連は7日付で、報道された内容は事実と異なっており、「全共連は堅実な運用を行い経営も健全」だという内容の「見解」をまとめJAに送付することにした。

◆周知の事実を無視した記事内容

 この記事は11月5日付の「朝日新聞」朝刊「オピニオン」欄に掲載されたもので、その内容は、統合で全共連は「巨大な金融機関にはなったものの、統合・合併スケジュールの消化を急いだため、各県の不良債権を引きずったままで、人員削減も遅々として進んでいない」とし、「貸し倒れ引当金が統一基準より不足していたり、正味資産が必要額を満たしていなかったりする事例が」「複数の県共連」でみつかっているとしている。さらに「普通であれば合併に伴なう人員削減も迫られるところだが、自然退職や採用抑制によって減らしていく方針だ」と、合併後半年経ってもコスト削減の「効果は見えてこない」と批判し、「人員削減もせず、経営内容を悪化させた旧役員陣が責任をとらない『もたれあい体質』が許される環境ではないことを、肝に銘じるべきだろう」と結んでいる。

 長年、JA共済事業を取材してきた者からみれば、すでに周知の事実を無視した(あえて無視したとも思えるが)お粗末きわまりないものだといえる。しかし、一般の読者がこの記事を読むと、あたかも統合後の全共連の経営は悪化しており、その原因をつくった県共連の役員が責任をとっていないという印象をもつだろう。

◆計画的段階的に進められてきた統合準備

 本紙が取材してきた内容からみれば、まず県共連と全共連との一斉統合にあたっては平成8年度から「経営改善計画」を策定し、統合に向けての諸条件を整備し、統合連合会の財務の健全性と県間の公平性を確保するための取組みを4年間にわたって行ってきた。また、各県共連が合意し平成11年度決算までに達成すべき「全国統一基準」を定めたが、全県がこれをクリアして統合しており、この記事の「統合・合併スケジュールの消化を急いだため…」「合併を急いだ付けが回ってきた…」という指摘は根拠がないといえる。

 また「リストラ停滞」とか「人員削減もせず」というが、経営環境が厳しくなって慌ててドタバタと企業合併するケースとは異なり、人員についても時間をかけて計画的、段階的に進めてきており、7年3月末のピーク時より729名削減して統合している事実を見忘れている。また、経費率についても上限目標35%を下回る34.78%を実現している。

◆11年度決算で統一基準をクリアされている不良債権・貸倒引当金処理

 「不良債権を引きずったまま…」という指摘が何ヵ所があるが、これも事実と異なっている。貸付に関する不良債権についても全県が統一基準にもとづいて償却・引当を実施し、統合全共連に引き継いでいる。ただし一部債権で金利や為替変動による含み損があったことは事実だが、信用リスクを抱えているものではなく元本償還が懸念されるものではない。むしろ大手生保や銀行に比べれば不良債権比率が0.37%(大手生保平均0.67%、主要銀行平均3.17%)と極めて低いことを評価すべきではないか。

 全国統一基準について「1998年度(平成10年度)決算で達成するよう指導」とあるが、実際には11年度(1999年度)決算での達成が目標であり、この記述は誤りだ。10年度は県共連に自己査定制度を導入した初年度で、県共連単独貸付の評価方法に差異があり、複数の県で貸倒引当金が統一基準より不足していたが、11年度決算では全県が不足額を解消している。
 また「正味資産が必要額を満たしていなかったりする事例が見つかっている」と債務超過県共連があるかのような記述がされているが、10年度、11年度決算で全県共連が貸借対照表上の資産が負債を上回っており、これも事実に反している。


 以上のような内容は、全共連広報部へ取材に訪れた記者にすべて説明してあるという。その上でなぜこのような記事が掲載されたのか?
 「農協バッシング」なのか、生保が苦戦するなか健闘するJA共済の足を引っ張ろうというのか、あるいは唯一統合前の県共連役員として原田JA全中会長(当時、広島県共連会長、現県本部運営委員会長)の名前をあげているが、原田会長を貶めようというのか、その意図は不明だが、いやしくも「社会の公器」を自負する新聞ならば、正確な報道をして欲しいものだ。


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