共済事業を考える 磐石な事業基盤確立のために生命共済の推進を −JA共済12年度上半期普及推進実績をみて− |
◆大手生保を上回る新契約実績 JA共済の今年度上半期(4月〜9月)の普及推進実績が先ごろ明らかになった。 最近の保険業界は、千代田生命をはじめとする相次ぐ経営破綻による消費者の「保険不信」と一向に回復しない景気の影響などによって、厳しい状況下にある。 ◆建更は大幅に伸びたが、低迷する生命共済 しかし、長期共済の契約内容をみるとけっして問題がないわけではない。その最大の問題は、生命共済の低落に歯止めがかかっていないことだ。 11年度末にJA共済がはじまって以来、初めて前年度を下回った保有契約も、建更では純増しているが、生命が落ち込み、長期共済全体では、9月末で期首(4月1日)保有高よりも8375億円強純減している。 ◆若年層で減少する被共済者数 生命共済の低迷について、一番気になるのは若い層を中心に被共済者が減少していることだ。 その原因はどこにあるのか。あえていえば「競争が厳しい新規顧客を開拓せず、既存契約者をまわり、建更5型から10型への転換を中心にした推進になっていて、組合員以外の地域の新しい顧客を獲得する活動が十分に行われていない」ところが多いからではないか。確かに外に向かって攻勢をかけるのはきつい時代であり、生・簡保の切り崩しから既存顧客を守るために多くのエネルギーが必要だともいえる。しかし、それでは事業基盤を固め拡大していくことはできない。 ◆「大競争」のなかに撃って出ていくことも必要では 経営的にみれば、生命共済の落ち込み分以上に建更が伸びていることとて、問題がないとは言えない。現在の「建更景気」が建更の性格からみてもこのまま続くとは思えない。保険業界の状況をみれば「建更は一巡したからまた生命で」といっても、それを受け入れるほど市場は甘くはないだろう。 良くも悪くも共済事業が現在のJAの経営を支えていることは事実だ。経済事業の収益性が改善されていくことにいささかも疑念をもたないが、共済事業とともにJAの経営を支えるようになるには、まだ多くの時間が必要だと思う。今後5年、10年先のJAの経営を考えると、いま、共済事業の基盤をしっかりと固めておくことが大事ではないだろうか。そのためには、満期や解約・失効対策など守りの対策と同時に、あえて「大競争」のなかに撃って出ていくことも必要ではないだろうか。生命共済はそれに耐えうる商品力をもっているし、LAをはじめとする担当者にも十分その力はあるはずである。 今年度も残りわずか4ヶ月となるが、ぜひ、生命共済の低落に歯止めをかけ、来期以降の展望を切り拓いていただきたいと思う。 |
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