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国内の発動手続きが繁雑なセーフガード
タマネギなどは政府調査の対象外

 野菜などの輸入急増に対して一般セーフガードを発動するかどうかは来年の初夏に決まると聞いて「何をもたもたしているんだ。よその国はもっと手っ取り早く発動しているぞ」といった声がJA関係者から聞こえてくる。

谷津農相
一般セーフガード発動に向けた政府調査の開始を語る谷津農相(農水省で)

 世界貿易機関(WTO)のセーフガード協定は「輸入の急増により、国内産業に重大な損害、またはその恐れ……があると認められるとき」に発動できる、とあるだけで、ほかには定量的な要件を定めていない。
 このためガット時代から数えるとカナダが12回、米国が5回など計17ヵ国・地域が発動している。日本は一度もない。
 日本の農産物の場合、発動手続きが大別しただけで7段階もある。発動しないとの結論が出た場合でも5段階だ。WTO協定よりも国内手続きの見直しが先決だとの指摘もある。

 一方、発動を求める地方議会の意見書は一年以上も前から次々に政府へ提出され、そして加速してきた。だが農水省が発動に向けた姿勢を固めたのは今年11月に入ってからだ。正式に政府調査を行うよう大蔵、通産両省に申し入れたのは11月24日だった。
 対象は生シイタケ、ネギ、トマト、ピーマン、タマネギ、イ草の6品目だった。ところが、トマト、ピーマン、タマネギは外された。
 それが決まった12月19日の記者会見で谷津義男農相は、外れた理由の明言を避け、「3品目は引き続いて監視したい」「もっと資料を集める必要がある」などと歯切れが悪かった。

 大蔵省側は除外の理由を▽タマネギの輸入は4月以降、減少傾向にある▽トマトは国産ミニトマトとの競合関係が不明確だ▽ピーマンも輸入のカラートマトとの競合関係がはっきりしないなどといっている。
 農水省が事前調査した資料などを3省で検討したのだが、大蔵省は3品目を門前払いにした形だ。
 トマトは韓国、米国、カナダからの輸入が多い。タマネギは米国からの輸入が84%と圧倒的。あとにニュージーランドが続く。

 結局、米国やカナダなど「農業の多面的機能」にそっぽを向く国々からの品目を除いて、中国からの品目に焦点が絞られた。
 中国からは日本資本の開発輸入が多く、冷凍刻みネギのような形まである。
 そうした事情について質問を受けた谷津農相は「予見は持たない。中国政府が求めてくれば話合いに応じる」と述べた。
 また対象外となった軟弱野菜については「短期間で発動できるようにしないとだめだ。WTO農業交渉で強く主張する」との決意を示した。
 政府調査が終わる前に発動できる暫定措置については「困難だ」とした。

 



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