食料自給率向上を目ざして大豆生産に励むJA女性組織が多い。1月25、6日に開いたJA全国女性大会の「食と農」の実践交流会は、まるで「大豆栽培研究会のようになってしまった」と司会者がとまどう局面もみられた。しかし、いくら大豆生産を増やしたところで、農産物全体の輸入が増え続ければ自給率は向上どころか、反対に下がってしまうだろうとの”悲鳴”も高く、緊急輸入制限(セーフガード)の早期発動を求める切羽づまった発言が同交流会で相次いだ。
|
JA全国女性大会の「食と農」交流会
=1月25日、東京・JAビルで |
報告によると、静岡の場合、県内自給率は19%(カロリーベース)と低い。もっと地場供給を増やさなければと、JA県女性協は昨年から青年部と合同で「遊休農地を活用した大豆生産事業」を始めた。
面積は8ha。これは県下の遊休農地の0.1%にあたる。これを原則的に無料で借りた。種子は県中央会が各組織に無料で配った。
一方、農業機械の使用料などを含む栽培管理の経費は青年・女性組織が支出。必要に応じてJAの支援も求めた。仕事の分担は青年部が耕起や収穫など。また女性部は栽培管理と収穫後の調整、そして加工・販売などを受け持った。
多くの組織が地域を巻き込んで、小学生と共に栽培や収穫、さらには味噌、黄粉、豆腐を作るなど「運動は盛り上がった」という。
その中で遺伝子組み換え食品問題学習会も開いた。
今年は消費者と一緒に加工や環境問題に取り組んだりして一層、地域ぐるみの運動にしていきたいと同女性協は意気込んでいる。
一方、島根県ではJA西いわみの旧JA日原女性部が平成6年から「自給大豆をつくろう」「もっと大豆を食べよう」という運動を起こし、そうした中から部員グループが昨年5月に有限会社「あしたば」(中野ヒサエ社長)を設立し、大豆のお菓子をはじめコメ製品や総菜などの製造事業を展開している。
最初は女性部が種子を部員に配って休耕田で大豆を作り、味噌づくり講習会などを開いたが、その中からお菓子の大豆かりんとうが誕生。これをバネに加工場の設置運動や加工部会の組織化に発展し、それが有志による法人化となった。
同社はご飯類、漬物、もちなどのコメ製品など20種類以上を製造販売しているほか生鮮野菜の販売事業も手がけている。
日原町も、この女性起業が「新たな雇用の創出と地域活性化に果たす役割に期待する」と支援している。
こうした報告をめぐって交流会のやりとりは大豆栽培技術に及んだ。一方、セーフガードの早期発動を求める行動を起こそうという発言も多かった。
国は大豆や麦の生産を奨励して自給率を上げようとしているが、企業のほうは外国の農家に大量生産させた農産物をどんどん開発輸入している(福島)▽私の県は自給率80%だが、このままでは10年後の自給率はゼロになるかも知れない。安全で新鮮な農産物の供給によって自給率を守らなければならない(佐賀)▽食と農の危機を地域にわかってもらうためにも女性部活動をもっと強めよう(北海道)などの発言があった。
|