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利用者ニーズの高い入院保障などを拡充
――全共連、4月からJA共済の仕組を改訂


◆ 入院日数を10日以上から5日以上に短縮

 全共連(全国共済農業協同組合連合会:新井昌一会長)は、厳しい環境下で競争力を引き続き確保していくために、4月1日からJA共済の仕組改訂と共済掛金の変更を行う。  仕組改訂は、生命総合共済、自動車共済、団体建物火災共済で実施されるが、その内容は以下の通りとなっている。
 生命総合共済では、医療保障ニーズへの高まりに応え、「全入院特約」と「定期生命共済」の仕組改訂を行う。
 医療技術は日々進歩してきており、入院が必要な場合でも入院日数が短期間となってきている。「全入院特約等」では、こうした状況に対応して幅広く保障を提供していくために、入院共済金の支払要件となる疾病により入院した場合は入院日数を、現行の10日以上継続から「5日以上継続に短縮」した(入院共済金は、従来通り入院の初日から支払われる)。
 従来は10日以上継続して入院しないと入院共済金は支払われなかったが、虫垂炎(盲腸)など比較的短期の入院ですむ疾病の場合でも、5日間以上継続して入院すれば支払われることとなった。

◆ガン入院の支払限度日数を無制限に

 また、通常の疾病に比べて長期化することが想定されるガンなどの悪性新生物によって入院したときに限り「その入院にかかる入院共済金について支払限度日数(従来は、1回の入院につき200日もしくは365日が支払限度)にかかわらず支払う」ことにし、さらに、入院共済金の額を2倍とする「がん入院全保障特則」を新設する(従来の「がん入院倍額支払特則」は廃止する)。この特則は、全入院特約または全入院長期保障特約に付加することができる。
 つまりガンで入院したときには、日数の制限がなくなり、加入者に「安心感」を与えることができるようになったわけだ(但し、共済掛金は現行よりもアップする)。

◆定期生命共済に安価で継続保障の「80歳満了契約」新設

 生命共済の2つ目の仕組改訂は、掛捨型「定期生命共済」の共済期間に「80歳満了契約」を新設することだ。現行の共済期間は、5年、10年、15年で、契約を更新するごとに掛金が高くなっていく。新設の「80歳満了契約」には、15歳から75歳までの人が加入でき、15歳で加入すれば65年の契約になり、安価な掛金で80歳まで継続して保障の提供を受けることができるようになる。
 JA共済では、仕組改訂された「全入院特約」と「定期生命共済」の2つを組み合わせた医療保障重視タイプの商品を「もしもしも」と名付けて推進していくことにしているが、このことで、大手損保も進出してくる「第3分野」への競争力を確保していくとしている。

◆自動車共済に「等級据置特約」を新設

 自動車共済では、「等級据置特約」を新設する。通常は事故によって共済金が支払われた場合には次契約時に等級が下がるが、この特約を付けると、事故によって共済金が支払われた場合でも、共済期間中の1回目の事故については、事故件数に含めず、次契約の等級を据え置くというもので、損保会社の等級プロテクトに対抗する商品だといえる。

◆JAの介護事業拡大に対応して保障対象を拡大

 団体建物火災共済では、公的介護保険制度の実施にともなうJAの介護事業の取組み拡大に対応するために「訪問福祉活動特約」の名称を「訪問介護業務特約」に変更し、保障対象とする業務範囲を拡大する。
 拡大(新設)される賠償責任保障は、人格権侵害による賠償損害の保障、管理物の損壊等による賠償損害の保障、経済的な損失を与えたことによる賠償損害の保障、の3つだ。
 「人格権侵害賠償損害」とは、不当な身体の拘束によって自由または名誉の侵害を行ったり、プライバシーを侵害した場合。「管理物賠償損害」は、訪問介護中に預かったりしたものを損壊などして、賠償責任が生じた場合。「経済的損失賠償損害」とは、ケアプランの作成ミスで介護保険の給付限度額を超えて利用者に過度な経済的な負担をかけたことで損害賠償責任が生じた場合を意味している。

◆予定利率、生保と同様0.5%引き下げ

 長期化する低金利環境による「逆ざや」が生保各社の経営を圧迫し、大きな問題となっており、多くの生保会社が4月から予定利率を引き下げることにしているが、JA共済でも4月1日以降の新規契約に適用する予定利率を現行の2.25%から生保各社と同様に0.5%引き下げ、1.75%にするとともに、予定事業費率の見直しを行う。
 この変更によって、この4月1日以降の新契約掛金は、終身共済で平均4.6%、建更共済で平均2.1%アップする。
 また、交通事故傷害共済掛金を4月1日から平均4.6%引き下げることにした。

◆対抗力ある仕組改訂

 予定利率の引き下げは、生保各社と同じ0.5%であるため、有配当(割戻)保険(共済)におけるJA共済の優位性は動かない。
 生保業界では、日本生命の「保険口座」、明治生命の「ライフアカウント」など、1つの契約でさまざまな保障をする商品が登場し、仕組自体が様替りしてきているが、「共済(保険)の本質が変わったわけではない。今回の仕組改定によって、利用者の関心が高い入院保障などを拡充しているので、十分に生保各社と対抗できる」と全共連では考えている。




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