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なぜもっと早く始動できなかったのか
産地はセーフガードの暫定発動に複雑な思い


 輸入が急増している農産物3品目への暫定的な緊急輸入制限措置(セーフガード)発動が今週中にも関係閣僚会議で正式に決まる。
 3品目はネギ、生シイタケ、畳表。輸出急増国は中国と韓国。松岡利勝農水副大臣は2日、暫定措置の発動を前に4月中にも日中の閣僚会談を開き、中国の輸出自主規制を重ねて求めていく考え方を示した。
 中国政府は、すでに「自主規制に反対する」と回答しており、暫定発動に対して報復措置をとる恐れもある。このため日中協議を継続する方針だ。
 韓国農林部とは3月27日に事務レベルで「野菜需給情報交換会」を開き、農水省は「日本市場をターゲットにした農産物の輸出計画を見直してほしい」と求めた。韓国側は「品目別に輸出業者らが輸出量を調整していることなどから今後、輸出は増えないものと考える」と説明した。次回の交換会では、外交ルートでの調整を図る。
 農水省は2日、日本と中韓の2国間協議を集中的に担当する「セーフガード2国間協議対策チーム」を省内に設けた。
 暫定セーフガードは措置の期限が200日。通常の一般セーフガードを発動するための政府調査の途中でも発動できる。
 通常の措置は輸入数量を制限するが、暫定措置は関税率の引き上げとなる。
 財務省は、脱脂粉乳やバターなどに適用されている「関税割当制度」という2段階の関税率適用を検討中だ。これは一定数量の輸入までは現行の3−6%の関税率にとどめ、それを超えた場合に高い関税をかけるという方式。
 問題は、輸出国の反発を和らげる「一定の輸入量」が何tになるかだが、それよりも、なぜもっと早く暫定発動ができなかったかという大問題が後に残る。
 通常のセーフガード発動は5月以降とされていた。暫定発動は4月で、わずか一ヵ月早くなっただけだ。
 発動を求める地方議会などの意見書は2年も前から次々に提出されていたのに農水省が政府調査を行うよう大蔵、通産両省に申し入れたのは昨年11月24日。
 しかもトマト、タマネギ、ピーマンは外された。そして発動までには7段階もの繁雑な国内手続きが必要とわかっていたのに「暫定発動」という緊急避難的な対策が浮かび上がったのは今年になってからだ。
 谷津義男農相、宮沢喜一財務相、平沼赳夫経済産業相の会談で暫定発動の方針が決まったのは3月30日。
 さらに生シイタケの場合は需要期が秋冬だ。4月からは毎年、輸入が減る。ところが暫定発動は200日だから、輸入が増え始める10月で期限切れとなる。
 産地からは、こうしたタイミングの悪さを指摘する声も聞かれる。




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