◆前年度同月を上回る水準に
6月22日に実施された12年産自主流通米第12回入札では、全銘柄の平均指標価格が前回を60キロ当たり666円上回る1万7223円となった。これで7回連続で上昇、12年産入札で初めて前年産同時期の価格(1万6818円)を上回る結果となった。
今回の入札には28産地50銘柄、6万4100トンの上場に対し落札数量は6万409トンとほぼ100%の落札率となった。申し込み倍率も前回の3.1倍を上回る3.8倍だった。
産地銘柄別にみると50銘柄中47銘柄が上昇したが、大きく下落したのは「魚沼コシヒカリ」。前回まで急騰を続け4万円台まで上がったが、今回は一気に1万2000円以上も下落し2万8146円となった。一方、北海道の銘柄は今回も上がり、「きらら397」は1万6436円、「ほしのゆめ」は1万6523円と前回より1200円前後の上昇。山形「はえぬき」(1万6777円)、庄内「ひとめぼれ」(1万6503円)などの銘柄と同水準となった。
魚沼コシヒカリの急落は前回までの相場が、改正JAS法施行による精米表示の完全実施による影響だったことを改めて示した。前回までに4万円台で落札した業者のうち在庫を抱えていれば販売価格に上乗せできず大幅な差損となりかねない。「単純計算で60キロ1万2000円の損。素人でもそれが分かるような相場になってしまった」とある卸関係者は言い体力のない業者の経営悪化も懸念されているという。
◆出回り開始期は月2回入札
JA全農では12年産自主流通米の価格動向について、「緊急総合米対策」の効果の浸透や精米表示の実施、計画外流通米などの安価な米の減少の影響とし、現在の需給環境が続けば、「今後、端境期の価格は強含みで推移すると見込まれる」としている。
そのためにも13年産米の出回り当初から適正な価格形成、精米表示の適正化などが必要で食糧庁も関係機関とともに入札取引の改善など対策をまとめた。
入札の仕組みは6月20日の自主流通米価格形成センターの理事会で改善することが決まった。
内容は(1)11月入札までの年内流通分は、売り手の希望により希望申出価格の上限を撤廃することが可能。これまでは前年産最終3回の指標価格の平均が上限とされていた。(2)入札対象銘柄が相当量出回った後に入札となるよう、8月、9月、10月の入札は月に2回実施する。これは従来の方式では新米が十分に出回らないまま上場されていたため業者の品質評価が相場に反映されなかったことから改善されたもの。(3)早期米の試行的入札の落札方式について、売り手は希望申出価格を落札加重平均価格、または最低落札価格のいずれかを選択できる。
また、食糧庁は、販売対策費についての指針を作成することにしており、JA全農もこの指針との整合性をはかりながら、組織の合意を得てガイドラインを示していく方向で検討している。
精米表示についても、食糧庁は新米出回り期に重点的な監視を行うことにしており、小売り段階での販売価格に着目して表示内容を確認、不当表示の是正を指導することにしている。