◆財界の農協攻撃
農協の偽装表示事件も発生、食と農の再生プランの中で農協改革への取り組みが打ち出された。当時の武部農相が、経済財政諮問会議で農水省主導で農協改革をすすめることを言明、財界の複数の委員から、農協は米以外でいろいろなことをやっている。しかし、日本の商社はほとんど入れず、利益で農協の1人勝ちになり、農民は保護に頼っている。この意味で農協が独禁法の適用除外になっているのは大きな問題であり、検討すべきだとの発言があった。竹中経済財政担当大臣もこれを問題とした。
次回の同会議で農協改革が取り上げられ、農林水産省は「農協の営農・経済事業のあり方について研究会」を設け、抜本的な改革方向をとりまとめると回答。
一方、総合規制改革会議でも、農業・農協問題が取り上げられ、農業への民間企業の新規参入を促し、生産コストを引き下げることで農業分野の活力を高めるねらいで、農協の独禁法適用除外の見直しが答申に盛り込まれた。
財界の代表による独禁法の適用除外攻撃が農協改革への口火となり、農林水産省による行政主導型による農協のあり方研究会へとエスカレートしていった。
財界のお偉方は、協同組合とは何かをどこまでご承知だろうか、農協を株式会社の一形態としか考えていない。その協同組合に独禁法の適用除外というのはおかいしいというものだ。
財界人は協同組合は何ものかをご承知ないようだ。それでいて農協批判や農協改革を唱える。農協も企業の一形態なら、いっそのこと農協を株式会社化しろという。そして一般企業と競争させろという。
農協の外部化、農協型株式会社に移行させろと主張する。協同組合とは何かを全く理解していないで農協の運動や事業にケチをつけるのだから農協不要論が飛び出すのもムリはない。
◆協同体の再構築へ
農協のあり方研究会でもJA事業の株式会社化、農協型株式会社、営農コンサルタント会社化といった表現がとび出してくる。一方で全農の子会社の整理という表現も出てはいるが、農協事業の外部化、株式会社化という方向づけがなされている。
農協自体も全中の大会議案の中で、生活事業の統廃合・外部化・Aコープの広域会社といった発想が打ち出されている。
もともと農協の50%出資による子会社は、単協段階で(2000年)520社、全農でも250社を超えている。
農協の協同会社は中金や全共連系を含めるとぼう大なものになり、それは農業生産・生活物資供給・農産物販売・加工の分野に多く、不採算部門からの切り離しである。協同会社の経営も50%が赤字である。
協同会社化は明らかに協同組合の主体性のそう失である。協同会社は、農協とは異質なものである。財界のいう農協の変質・解体を許さず、農協改革は、あくまでも協同組合の改革として追求すべきである。地域の条件を活かし、すべての農家が力を合わせて営農と暮らしを守る協同体を再構築しよう。
(2003.5.12)