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論壇―風 |
小泉「改革」、「竹中プラン」の掛け声で、いま国会の場では“強きを助け弱きを挫く”施策が目白押し、ただならぬ気配である。それだけに、ささやかであっても、安心のメッセージが人びとの心をとらえ、安全や安心ということばの値打ちがひかる――そんなご時勢である。
◆なぜ、生保危機か 誰を救う法改正か 生命保険会社は、破たん前であっても予定利率を引き下げられる――審議中の保険業法改正案にも、ただならぬ気配がただよう。 そもそも予定利率とは、保険会社が契約者に全契約期間を通じて保証した利回り。その引き下げは、約束した保険金のカットにつながる。信頼を基礎に成り立つ保険事業で、保険会社に約束の帳消しを認め、契約者に不利を押しつけるとは、とんだ“徳政令”である。金融庁の試算でも、5000万件を超える民間保険契約が、最大で4割の保険金カットをうける可能性があるという。おまけに、会社が予定利率の引き下げを申請すると、強制的措置で、契約者は解約ができなくなる。救われないのは契約者、生命保険事業そのものへの不信がつのるにちがいない。 経営危機が取り沙汰されている一部生保会社にとって、この法改正は救いの神となるだろうか。竹中金融相は、経営再建策の「選択肢を広げるもの」という。しかし、こうした法改正が、かえって生保会社の早期破たんを導く、と心配する声は強い。 では、救われるのは誰か。国会審議の場では、“銀行救済こそがねらい”だという追及があった。たしかに、破たん前の予定利率引き下げが可能になれば、現行法の下でと違い、銀行は生保会社に拠出している基金や劣後ローンの全額を失わないですむかも知れない。真実味のある話である。 バブル崩壊後の超低金利環境下で、予定利率の確保もままならず、いわゆる「逆ざや」経営を強いられ、あげくに株安による含み損の増加で、実質債務超過経営への転落を“宣告”される――こうした生保経営危機の経緯をたどれば、その大本に、小泉内閣の経済・金融失政が浮かびあがる。そのツケを責任のない契約者に回して、国民の自助努力の意欲をそいだり、生活設計を狂わせるべきではない。 ◆JA共済には不安はないか こうした法改正の動きのさなか、JA共済連は2002年度の事業概要を「JA共済安心めっせーじ」としてまとめた。それらによると、JA共済事業は、経営の健全性を示す支払余力(ソルベンシー・マージン)比率は753%で健全水準を大きく超え、生保に比べても優位にあること、安定・確実に徹した資金運用がその健全性を支えていること、などを理解できる。また、JA共済はいま、「予定利率引き下げの実施を検討すべき状況にはない」という関係者の頼もしいコメントも、メディアを通じて報じられた。 だが、それ以上に注目されるのは、JA共済連の情報開示に対する積極姿勢である。すでに、2001年度決算から、重要経営指標の一つである「基礎利益」の内訳にあたる利益・危険益・費益など利源別損益を、生保などに先がけて開示している。「安心めっせーじ」は800万部余りのリーフレットを作成し、全組合員・契約者規模での報告をおこなうという。これらは評価されてよい。 事業経営は総合的なもの、あれこれの指標の優劣だけでは決まらない。競争の中で優位を確保することが共済の最終使命でもない。契約者・組合員との絆こそ、協同組合保険の真の競争力であろう。 (2003.7.1) |
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