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論壇―風 |
JAグループの最大の課題は、さる10月の第23回全国JA大会の決議にもあるとおり、JA経済事業改革である。その経済事業改革を着実に実践するための経済事業改革指針がまとまった。
JAは信用、共済事業の黒字で経済事業の赤字をカバーしている。これを改善して、経済事業も黒字を出すことが最大の課題である。 経済事業の赤字を解消することはJAの永年の課題であった。これまでもいろいろな対策を講じてきたが、根本的な解決にいたらなかった。 JAの経済事業のかかえる問題は経営規模の零細性にあるとして、かつては農協合併が決め手として推進され、1万2000組合もあった総合農協は1000組合以下にまでなった。JAの経営規模が大きくなったとはいえ、JA経済事業の赤字は解消していない。 現状でも赤字JAは未合併組合に多いことは事実であるが、未合併JAでも黒字を出しているケースもあり、農産物の直販などでモデル的な事業展開をしているケースもある。逆に大規模合併農協だからといって経済事業はすべて黒字というわけではない。 したがって、JA合併は農協経営にとって万能薬ではなかった。JAのかかえる問題は、規模の問題ではないことが明らかになった。 そこで今回の経済事業改革では、事業目標と財務目標に分けて取り組むことにしている。 未合併で赤字をかかえている農協については、中央会の個別指導を強化する方針である。 未合併農協の経営は苦しいことは事実であるが、これの解決には農協のかかえている問題点を個別に検討して、事業、財務の両面からじっくり指導することである。 未合併農協の場合は、組合員との結びつき、組合員の参加などの面はすぐれた側面をもっている。これらの点を活かしながら、経営規模が零細であることから生じるデメリットをどう克服するか、キメ細かな指導が要求される。 組合員の協同の力によっても限界のあるケースは、隣接の農協との協力による協同組合間協同が追求されるべきだ。 未合併農協への指導にあたっては、組合員との強固な結びつきが事業、財務のプラスになるように配慮すべきである。地域の農業構造や地域住民の生活水準を考慮して、小規模経営の強味が発揮できるような指導が求められる。 今回の経済事業改革は、指導する側、指導される側の双方にとって今までにない取り組みが求められる。それは今回の経済事業改革がJAにとって最後のチャンスだからだ。 この経済事業改革に失敗すれば、農協は存在価値を失うであろう。農協にとって今回の経済事業改革は農協の生き残りをかけた最後のチャンスである。 それだけに指導する全中、県中をはじめ全国連、県域連合会の果たす役割がきわめて大きい。いうまでもなく農協経済事業の問題は連合会の事業、経営の問題でもある。信用、共済事業にも波及する問題である。 したがって、経済事業改革がその目的を達成するかどうかは指導機関の対応いかんにかかっているといってもよい。 もうひとつは、指導する側、される側にとっても忘れてならないことは、組合員農家、地域農業の立場に立つことである。 農協の経営問題は解決したが、農家組合員や地域農業の問題が解決しないというのでは何のための改革だったのかといいたくなる。 JA経済事業改革のねらいは、農協経済事業を通じて組合員農家の生産や生活の向上をはかることである。 経済事業改革では、担い手農家の問題にはふれているが、一般農家にはふれていない。経済事業改革によって農家経済や地域農業をどのように発展、変革させるのか。それを抜きにして単なる農協の経営対策にとどめるなら、それは経済事業改革を失敗に終わらせることになる。 (2003.11.28) |
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