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JAの介護事業 ネットワークで業務の標準化図る
−東京・立川市のNPOと介護ノウハウで提携−


◆研修・コンサルのほかソフトの入手も

 この4月から介護保険制度が施行され、JAグループでも全国の362のJAが指定事業者として業務を開始している。
 介護事業は、人的サービス事業であり、質の高いサービス提供が利用者の確保と経営の安定につながるが、JAグループでは5月11日までに、全国で事業化しているどのJAでも一定の質でサービスを提供し、地域で信頼される事業者となるため業務の標準化対策に乗り出すことを決めた。

 具体的には、東京・立川市で14年間の在宅介護サービスの実績があるNPO(非営利団体)「ケアセンター・やわらぎ」と提携し、同団体のノウハウをマスターする研修会や相談・コンサル指導を実施し、必要なJAにはソフトウエアの提供も行うという会員制のネットワークをつくる。

 会員の対象は、介護保険の事業者指定を受けたJAのほか、JA連合会、中央会。
 会員は2種類とし、A会員は(入会金10万円、1か月会費1万円)、研修とコンサルを主体とし、B会員はA会員のうち同会が作成した「いちごソフト」を導入する会員としている(入会金はA会員入会金に加えて10万円、1か月会費は3万円)。会員は3年間契約。  研修は、JA全中と同会が提携して行うもののほか、同会の現場研修にも参加できる(いずれも料金などは別途)。質問や相談は電話、FAX、Eメールで行える(平日9時〜17時)。

 JA全中は、「ケアセンター・やわらぎ」と提携する理由について、ボランティアから始まった組織で「NPOとして組織理念がJAグループと近い」(JA全中・今尾和実常務)ことや、厚生省が介護保険導入にあたり同会のマネジメントシステムとデータの蓄積を参考にしたこと、サービスなどの品質保証システム「ISO9001」を取得していることなどを上げている。
 このネットワークの事務局は、JA全中地域振興部生活課JA全国高齢者福祉対策プロジェクト内に置かれる。


  ◆介護事業に求められる「4つの管理」

 今回、JAグループが提携することになった「ケアセンター・やわらぎ」は、昭和62年(1987年)に、高齢者や障害者の日常生活を支援するため24時間365日の在宅福祉サービスを提供する民間団体として発足した。もともとはボランティア組織だったが安定した福祉活動を行うためにサービス提供組織として再編したという。
 現在は、ホームヘルプサービスのほか、訪問看護サービス、痴呆老人へのデイサービスも行い、拠点も立川市だけでなく国分寺市、日野市などに広がっている。

 また、利用者の増加にともなって、介助料金の請求やヘルパーへの支払い、統計的な資料の作成、ケアの管理などが行える独自のソフトウエア「ケース管理業務支援情報システム」も作成、長年のノウハウとこのソフトを組み合わせて「やわらぎシステム」を作っているという。今年1月には特定非営利法人となった。

 JAでは、現在、訪問介護に337JA、居宅在宅支援に117JA、福祉用具貸与に88JA、通所介護に44JA、訪問入浴に16JAが取り組んでいる。
 JA全中では、介護の事業では

 @品質管理
(民間事業者間の競争が始まりサービスの品質管理が問われる)、

 A労務管理
(専門技術職員を雇用するため人材育成と確保、その労務管理が事業の成否につながる)、

 B経営管理
(営業の継続性が確立されなければ社会的責任も果たせない)、

 Cリスク管理の徹底
(利用者や家族に介護保険制度についての十分な説明が求められるともに、不満や苦情の性質をふまえた対応も必要)

の4つの管理が必要だしている。そのため、今回のネットワーク立ち上げで「質の高い」JAのサービス提供の実現をめざすことにしたものだ。 

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