現地に見る共済優良事例 |
JA埼玉中央 (埼玉県) 「農協の職員は何でも知っている。組合員はそう思っている。だから、すべての分野について最低限の知識を持たなければならない」。福島峰雄代表理事組合長はこう強調した。そのため今年度から共済担当職員も営農指導に関する研修も受けるなど、人材育成に新方式を導入、職員の意識を高めて事業の推進をめざす。「生命・財産の保障は組合員の潜在的なニーズ。それを引き出し保障の拡充につとめるのがJAの役割」という同組合長を埼玉県東松山市にある本店に訪ねた。 |
◆多彩な農業が営まれる地域 JA埼玉中央は、埼玉県北西部の東松山市、川島町、吉見町、滑川町など9市町村の8JAが平成8年に広域合併して誕生した。この4月で合併からちょうど5年度めを迎えた。組合員数は、正組合員、准組合員合わせて約2万3000人。8つの基幹支店を含む33支店で組合員にサービスを提供している。貯金残高は2000億円台になった。 ◆人材育成に新方式を導入 こうした取り組みでJAの基盤である農業振興をはかるなか、共済事業では12年度の長期共済保有高目標として9720億円、新契約目標860億円を掲げた。 しかし、「今年は、厳しい状況も一段落したようだ。JAにとっては、組合員のための保障拡充は大きな役割。80億円程度の保有高純増をめざしたい」と意気込む。そのために福島組合長が職員に強調しているのは、「お互いに勉強して組合員が求める情報を提供できるようにすること」と「組合員に対するふだんの気遣い、親切な態度が共済の推進結果に現れる」ということだ。 こうした考えから、今年度から共済担当職員に限らず、どの職員もすべての事業分野の基礎知識を得るため、年間を通して研修を行うことにした。研修には、県連合会が実施するものへの参加もあるが、とくに重視しているのが内部での研修である。 こうした研修の狙いについて福島組合長は「営農指導といっても、高度な知識は生産者のほうが持っている。むしろ組合員はJAの職員ならどの人間でも基本的なことは幅広く何でも知っているはずだと思っている。だから、窓口で担当以外の話題が出たときにも的確な会話ができなければいけない。 すぐには知識が活用できないかも知れないが、支店のなかの誰が詳しいかを知って、そこに話をつなぐことはできるようになる。つまり、自分たちの組織を組合員の要求に応えるために動かす、ということも大事だと思うんです」と語る。 「JAの事業は総合的といわれますが、一つの分野の実績を上げるにも、総合的な教育を充実させることがいい結果として跳ね返ってくると考えています」(福島組合長)。 ◆複合渉外体制に移行 共済事業の推進のうち、一斉推進は、支店単位で推進日を決めて取り組んでいる。また、その日は、常勤役員が支店を回ってバックアップする体制にしている。 LAは、支店での共済推進のリーダーである。とくにかつてのような「パンフレット推進」の時代が終わり、組合員の状況に合わせて保障を組み立てる時代には、専門知識を持つLAの役割は大きい。他の職員の要望で保障の設計を担当するのも重要な仕事になる。 そこで先に紹介したような基礎的な研修とは別に、専門的な勉強の場も必要になるが、福島組合長は「それも大事だが、もうひとつ大事なことは職員の意識の高揚、統一ですね。やはり気持ちがバラバラでは実績は上げられません」と強調する。 また、年度の目標の管理については、基幹支店の支店長に管理方法を任せている。その方法には支店全体での目標管理でも、個人ごとに目標を管理する方法も認めている。ただし、実態は「支店全体で目標を達成しようということになっている」とのことだ。個人プレーではなく、JA全体の力で実績を上げようとしている。 ◆組合員の潜在的ニーズに応える 同JAの事業実績では、共済、信用、経済それぞれがほぼ3分の1づつとなっている。 4月からJA共済連が誕生し、共済事業も新しい時代に入った。 |
JA埼玉中央の概況 |
農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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