農業協同組合新聞 JACOM
   

■ ■ 国際シンポジウム ■ ■
日・韓・台の比較から

卸売市場流通の将来を考える
―韓国にみる I T化か、台湾にみる川下進出か―

主催団体: (社)全国中央市場青果卸売協会
  (社)農協協会
  卸売市場研究会
開催日時: 平成15年(2003年)9月25日(木)
  午後1時(13時)開始
開催場所: 日本橋公会堂(東京都中央区日本橋蛎殻町1-31-1)
申込み〆切: 9月16日(火)
 卸売市場法の改正が取りざたされていることに象徴されるように、現在、卸売市場流通にはさまざまな問題が山積しています。
そのうちの主なものだけに絞っても、市場経由率の年々の低下、取扱額の減少(手数料収入の減少)、経営赤字の拡大(経営力の脆弱化)、さらには出荷奨励金・完納奨励金問題、バイイング・パワー問題、手数料率自由化(規制緩和)問題、などがあります。
 これらの問題を解決するために、卸売市場関係者はさまざまな努力を重ねておられます。例えば、取扱額が減少する中で経営力を強化するために卸売業者間または仲卸業者間の合併を推進していますし、取扱量の増加を実現するために卸売市場施設の移転新設・改修をも促進しています。さらには、そうした対症療法的な解決策だけでなく、将来の卸売市場流通のあり方を見据えた解決策を考案するために、国内外のさまざまな情報の収集にも努められています。
 しかし、情報の収集にあたっては、国外の情報の場合、日本人の常としてどうしても欧米の情報に片寄りがちです。それも、卸売市場流通が著しく衰退したアメリカやイギリスの情報が中心になることが多いといえます。日本とよく似た卸売市場流通システムがあり、しかも生鮮食品流通が主流である韓国や台湾の情報は、驚くほどに不足しているといえます。

 韓国と台湾の卸売市場流通システムは日本の中央卸売市場法または卸売市場法の影響を受けて成立しているため、日本のシステムとの類似点が少なからず認められます。例えば、日本と同様に、卸売市場内に少数の卸売業者と多数の仲卸業者が存在しますし(欧米では多数の卸売業者だけが存在)、取引方法も出荷者と卸売業者の間では委託が多く、卸売業者と仲卸業者等との間ではセリ取引が多い(欧米では昔から相対取引が一般的)ことなどです。
 もちろん、韓国と台湾はそうした類似点だけでなく、日本との相違点も多くあります。

韓国の場合、主な相違点の一つは、日本に比べて格段とIT化が進展していることです。例えば、卸売市場でセリ価格が決定する同時にインターネットで出荷者(生産者)に伝えるシステムがあります。さらに各卸売市場の日々の価格も常にインターネットで確認することができるほどです。もう一つ注目すべき相違点をあげると、卸売市場における取扱物品の総合化が日本以上に進んでいることです。例えば韓国最大の可楽洞卸売市場は、青果物と水産物に加えて、食肉も取り扱う総合卸売市場です。改めて申し上げるまでもないことですが、日本では食肉部門をもつ総合卸売市場は、法律の規制によってこれまで存在したことがありません。

 台湾についても非常に興味深い相違点を2つだけに絞ってあげてみると、一つは卸売業者が販路確保のための川下戦略を展開していることです。例えば台北市の卸売業者(第三セクター)は小売会社を経営し、台北市内や周辺地域に多数のスーパーマーケットを出店しています(日本では卸売業者、仲卸業者とも、卸売市場内外で小売店を経営することはできません)。もう一つは、販売手数料の徴収先として出荷者だけでなく、小売業者等の仕入れ業者も含まれることです。台湾では農産物市場取引法施行細則が制定された1982年までは日本と同様、出荷者だけから徴収していましたが、同施行細則によって出荷者と仕入れ業者が手数料を等分で負担すると規定されたことによって、同年以後、両者からの徴収が行われるようになったのです。

 このように、韓国と台湾の卸売市場流通システムは、日本のシステムと類似した点とともに、相違した点もあります。しかも、卸売市場流通は日本と同様、生鮮食品流通の中で主要な位置を占めています。したがって、日本において今後の卸売市場流通のあり方を見据えた上で、現在の諸問題を解決していこうとするときに、両国の情報(経験)は大いに役に立つものと考えられます。

 今回の国際シンポジウム開催の目的は、そうした韓国・台湾の卸売市場流通システムに関する情報を提供するとともに、日本との比較分析を行い、今後の卸売市場流通のあり方等を考える上で参考にしていただくことにあります。

 卸売市場関係者はもとより、生産者・生産者団体、流通・小売関係者、研究者の方々など、卸売市場の今後について関心のある多くの方々が参加され、積極的な意見交換を通して今後のあり方等を十分に検討していただければと思います。

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国際シンポジウム「日・韓・台の比較から卸売市場流通の将来を考える」の内容
開催日時: 平成15年(2003年)9月25日(木)午後1時(13時)より
開催場所: 日本橋公会堂(東京都中央区日本橋蛎殻町1-31-1)
(報告、コメント、討議とも、すべて日本語で行います)

<開催にあたって> 
梶井 功 東京農工大学名誉教授

<報 告> 
司会:原田 康 (前(社)農協流通研究所理事長)

第1報告:
 テーマ:台湾における卸売市場流通の特徴と問題点
 報告者:王 良原(台湾・東海大学助教授)

第2報告
 テーマ:韓国における卸売市場流通の特徴と問題点
 報告者:王 成宇(韓国・天安外国語大学教授、(社)韓国市場流通研究院院長)

第3報告
 テーマ:日本における卸売市場流通の近年の動向と今後の展開方向
 報告者:藤島 廣二(東京農業大学教授)

<パネルディスカッション> 
パネリスト(上記報告者のほかに)
(1)神木 良和((株)東急ストア・あざみ野店店長)
(2)須田 政宏((株)石竹板橋・専務取締役)
(3)針替 茂人(東京シティ青果(株)副社長)
(4)森口 俊((株)全農青果サービス代表取締役社長)
(5)矢部 正行((社)農協流通研究所常務)

<懇親会> 午後5時45分〜7時15分(懇親会参加料は3000円です)

シンポジウム参加申込書: (申込用紙に必要事項をご記入の上、送信ボタンを押してお申し込み下さい。)

(社)農協協会内 卸売市場を考える国際シンポジウム
FAX:03-3261-9778   電話:03-3261-0051
   〒102-0071 東京都千代田区富士見1−7−5 共済ビル
シンポジウム会費:
お1人様1万円 (懇親会参加者は別途3000円)
払い込み方法:
<郵便振替>
00170−2−84590
(加入者名)社団法人農協協会
<銀行振込>
農林中央金庫 大手町営業部(普通)7591110
(加入者名)社団法人農協協会
郵便書留
  (当日会場で)

(社)農協協会 卸売市場を考える国際シンポジウム係 宛
(FAX:03-3261-9778  TEL:03-3261-0051)

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