トップページにもどる 農業協同組合新聞 社団法人農協協会 農協・関連企業名鑑
座談会
米価回復は集荷数量の拡大から
11年産米のJAグループ集荷率が51%台に低下して計画外流通米が増加。自主流通米入札価格が、やや持ち直したとはいえ、まだ10年産米平均価格よりも2000円(60キログラム)近く下がったままなど、JAグループの米事業を取り巻く情勢は年々厳しさを増してきている。そうしたなか、JA全農は「集荷が販売のスタート」と位置づけ「12年産米の集荷数量拡大が計画的な販売と価格回復・反転のスタート」になると、出来秋の集荷に向けた取組みを強化している。
 そこで、今年春に全農がまとめた「集荷マニュアル」のモデルJAのなかから、宮城県のJAみどりの尾崎米穀課長、茨城県のJA茨城みなみ谷口営農販売課長、広島県のJAたかた田中営農経済部次長の3氏と全国連の立場から全農の米本集荷対策課長にお集まりいただき、集荷対策を中心にコメ生産現場の状況と課題、そして「新たな活性化対策」として「転作から本作へ」と打ち出された麦・大豆の状況について、忌憚なく語ってもらった。司会は、明治大学教授・北出俊昭氏にお願いした。

尾崎  氏 JAみどりの営農部米穀課長
谷口 忠男氏 JA茨城みなみ営農センター・営農販売課長
田中 秀之氏 JAたかた営農経済部次長
米本 博一氏 JA全農米穀販売部集荷対策課長
〈司会〉 北出 俊昭氏 明治大学教授

  データ(JAみどりの、JA茨城みなみ、JAたかた)

 

米価低迷で生産意欲が減退する生産者

◆価格差なくなり売れ筋より作りやすいコメに

 北出 まず初めに、みなさんのJAにおけるコメの生産現場がどういう状況になっているのかについてお話いただきたいと思います。尾崎さんからお願いします。

 尾崎 米価が昨年の1万8000円台から1万6000円台に下がっていますから、組合員の生産意欲は落ちています。その結果、どうしても栽培しやすい品種に偏ってきています。宮城県の代表的な品種であるササニシキは、コシヒカリのように粘りっ気があるコメと比べてサッパリしているということで、最近とみに消費地からの要望が多いことから、JAでも作付誘導していますが、ひとめぼれに比べて栽培に技術を要するために、作付面積が減少しています。

 北出 売れ筋のササニシキから別の方向にいってしまっているわけですね。

 尾崎 作付比率は60:25:15で誘導しているのですが、ササニシキの価格がひとめぼれと逆転したため、作付が減り需要量が確保できません。価格誘導ができないと増えていかないと思いますね。

 北出 ササニシキとひとめぼれに価格差がなくなったので、それなら苦労しないで作れるものにとシフトしているわけですね。

 尾崎 そうですね。ただ、私の家もそうですが、宮城県の飯米の70%はササニシキなんですよ(笑)。

 北出 そのほかには…。

 尾崎 米価が下がっているので、自主流通米の経費について、手数料も含めてどう使われているのか、関心をもつ人が増えています。それから、私たちの仕事からみると、制度がめまぐるしく変わりました。このため事務手続きがものすごく複雑になり、制度説明に大変な時間がかかってしまい、集荷の重要性など肝心なことを話す時間が少なくなっていますね。

◆学校給食に地元産のコメと野菜を供給

 北出 谷口さんのところはどうですか。

 谷口 米価が、平成5年産米の2万3000円から11年産米は1万6000円へと、1年に1000円づつダウンしていることと、減反強化で生産意欲は減退していますし、JAへ出荷する有利性が薄れてきているのではないかと思いますね。そうしたなかで、JAとしては、紙マルチによる完全無農薬米、減農薬コシヒカリ、有機ひとめぼれなど7つの米づくりを提案し、例えば減農薬コシヒカリの場合には、仮渡金に2000円プラスするなど、生産者にメリットがでるようにしています。

 また、消費を拡大するためには地元の農産物を理解してもらわなければいけないと考え、平成8年から精米機を導入して、管内5市町村と隣接の2市町村の学校給食用を週3回供給しています。具体的には、それぞれの市町村で生産されたコシヒカリ玄米を、JAで市町村ごとに低温倉庫で保管して、市町村ごとに精米をして、地元産の野菜と一緒に専用車で、学校や給食センターなど指定先に配送しています。市町村ごとの地元産にこだわるのは、地元産米の味を知ってもらうことで、長期的な消費拡大と食農教育につながると思うからです。子どものときに食べた味は一生忘れないといわれますから、今後もJAの重要な事業として取組んでいきたいと考えています。

 北出 茨城県は全国でも集荷率の低い県ですが、集荷率を上げるためにはどういう取組みをしていますか。

 谷口 275名の集落代表者(受検部長)を通じてJA出荷を推進していますが、生産者・現場の声を翌年の集荷に活かしていくようにしています。また、全職員規模で庭先集荷を実施していますが、その際1俵75円を職員に支給しています。今後の課題としては、セブン・イレブン方式で24時間受け入れできる倉庫をつくり、組合員の利便性を向上させることも検討しています。

◆町別に作付品種特定、あとは「種も苗も出さない」

 北出 田中さんのところはどうですか。

 田中 広島県はコメの消費が20万tに対して県内集荷が6〜7万tというコメ消費県です。私のところのJAは県集荷の約10%にあたる7000tを集荷していますが、中山間地で経営規模は平均70a、95%が2種兼業で65歳以上の高齢者が約38%という地域です。平成9年に、地域の特色を活かした生産をという「ライス戦略」をたてて進めています。現在、コシヒカリが半分くらいを占めていますが、そのほかに、もち米100ヘクタール団地、酒造好適米450ヘクタール団地を目標にして進めています。このもち米と酒造米についてはJA出荷を確約してもらっています。
 管内には5町がありますが、町別に作付品種を決め、その品種以外は「種も出さない、苗も出さない」という方針で臨んでいます。

 北出 集荷についてはどうですか。

 田中 JAの原点は集荷にありと考え、全量集荷に取組んでいます。平成8年に倉庫を集約化して3000tの低温倉庫を作りましたが、土・日曜でもいつでも荷受できるように3000tの仮置倉庫も作り、朝から夕方まで荷受しています。また、業者に委託して、生産者から電話があればすぐに庭先・圃場集荷する体制をとり、農家の利便性向上に努めています。
 販売面では、全量を広島経済連に委託していますが、食味計を活用した品質の平準化や食味マップを作成するなど、品質が良く安い売りやすいコメを作ることを心がけています。

 しかし、兼業化が進み、耕作放棄地も増えてきていますから、中核農家や営農集団の育成など、JAの果たす役割はいっそう大きくなると思います。国の政策は大規模化ということですが、私のところのような中山間地では20ヘクタール以上の大規模農家は、圃場条件が悪くてできません。中核農家・大規模農家の育成は大きな課題ですが、地域の実情に合わせた政策が必要だと思いますし、稲経ととも補償を切り離した政策にしてもらうほうが良いのではないかと考えています。

集荷率アップで計画的な販売と価格回復を

◆集荷量拡大し計画外を抑えこむこと

 北出 米本さん、いまの皆さんの話を踏まえて、全国レベルではどう考えているのでしょうか。

 米本 米価については、昨年は出来秋の9月に計画外流通米が前年と比べ11万tも余分に出て低価格で流通しましたし、販売業者も今年の2月頃まで計画外流通米を中心として仕入れを行ったため、「緊急需給安定対策」の効果が発揮されず、価格が低迷しました。
 その反省からいえることは、12年産米は集荷段階できっちり集め、JAグループの集荷量を拡大することが、販売のスタートになるということです。JAグループの集荷量を拡大することで、計画外流通米を抑制し、年間を通じて計画的な販売を行い、価格を回復・反転させて、生産者の手取りを確保していかなければいけないと考えています。

 そうすると、どうすれば集荷率をアップできるかということになりますが、集荷に特効薬はありません。食管制度ではJAに集まってくる仕組みとなっていましたが、食糧法ではそうなっていません。日ごろからのJAと組合員との信頼関係によって集荷していくことになります。
 12年産米の集荷のポイントとしては、まず、購買・信用・共済など他部門と連携したJAをあげた集荷推進体制の整備と情報伝達の徹底だといえます。そして、庭先集荷・圃場集荷の拡大と、荷受時間の拡大などによる生産者の利便性を向上させることです。

 また大規模農家への巡回などによるニーズの把握と、JA・連合会の連携した販売支援・経営指導・大口メリット還元などを検討することも大きなポイントです。
 さらに、計画生産実施者の計画外流通米を全面委託と部分委託によって取扱うこと、目標設定と進行管理など、JAの現状を分析して、実態に応じて効果的な集荷対策を構築し、あらゆる手法を駆使した集荷を実践して、JAグループの集荷数量を拡大し、われわれがコントロールできない計画外を抑えていくことだと考えています。
 仮渡金については、入札での値幅制限が廃止されて、年間販売価格の見通しがつきませんので、内金・追加払方式を基本としますが、水準は集荷直前の状況を踏まえて、柔軟・効果的に設定する必要があります。

◆流通経費削減が大きなポイントに

 北出 流通の状況も変化してきていますね。

 米本 食管法から食糧法になり、さまざまな規制が緩和されたことで、コメは「特殊商品」から「一般商品」になりました。そのために計画外流通米が増えてきているわけです。そして量販店がプライス・リーダー化し、卸の経営が厳しくなり倒産するところも増え、大手卸による合併も進んできています。また、大手商社が進出するなどコメの流通業界の再編が急速に進んできています。
 また、販売価格が下がるなかで、産地間競争が激しくなっていることもあって、流通経費は逆に増えてきています。この流通経費をいかに削減できるかが、これからの大きなポイントになると思います。先ほど尾崎さんから事務処理の複雑化・煩雑化という話がありましたが、合理的な事業方式の確立も大きなポイントだと思います。

 北出 経費削減ということでは、先ほど尾崎さんから自主流通米の経費がどう使われているのかについて、組合員の関心が高くなっているという話がでていましたね。

 尾崎 経費明細を求める組合員もいますね。

 米本 生産者の信頼を得るために、共同計算の内容は100%オープンです。問題は、自分の産地の米だけを売り抜けようとして、販売促進費(いわゆるリベート)をかけすぎることです。
 産地間で必要以上の競争をすると、買い手に足元を見られ、価格低下の悪循環を招き流通経費が限りなく増加していきます。

 JAグループとしてみんなで整然と販売すれば、流通経費を削減することができますが、「自分の産地だけは売り抜けたい」という考えをどう調整するかです。そのときに大事なことは、売り急がなくてもJAグループ全体として最終的には販売が確実になされる仕組みをどのように構築していくのかということだと思います。また、経費の削減は計画外流通米との競争力強化の問題でも重要です。

◆消費者の嗜好変化に的確に応える

 北出 消費拡大も重要な課題ですね。

 米本 消費拡大の取組みとしては、全農としては関連会社や取引先をメンバーとする「推進協議会」を設置して、コメ消費拡大に取組んでいますが、コメを原料とする商品の開発、谷口さんのところで取組まれているような学校給食の新たな仕組みの検討などを考えています。
 先ほどササニシキの話がありましたが、数年前まではササニキシが主流で、農家が大事に生産していたのですが、卸はコシ系統でないと売れないということで、ササニシキの生産を大幅に減らしてきた経過があります。今になってササニシキのさっぱりした食味に嗜好が戻ってきたということですが、それなら卸の購入価格をもっと引き上げる等、ニーズを価格に反映させてもらわないと、生産を増やすことは難しいのではないかと思います。

全国一律の活性化対策でいいのか

◆麦・大豆は「コメよりもゼニになるぞ」の声も

 北出 今後5年間の政策として「新たな活性化対策」が出され、麦・大豆を本作へといわれているわけですが、このあたりはどうですか。

 尾崎 管内の転作面積は3700ヘクタールですが、麦が800ヘクタール、大豆が500ヘクタール作付されています。麦・大豆本作といっても、まだ転作の延長という感じですが、意欲的な取組みも始まっていますので、平成16年までには2000ヘクタールが麦・大豆になるのではないかと考えています。
 機械による低コスト栽培をしている生産者からは「コメよりもゼニになるぞ」という声もありますね。

◆収穫期が梅雨とぶつかることが問題

 北出 田中さんのところは、どうですか。

 田中 麦・大豆は伸びないとみています。転作面積は1300ヘクタールありますが、麦・大豆に誘導しにくいですね。なぜかといえば、麦の場合は、刈り取り時期に梅雨に入るからです。大豆は、品質が悪く交付金対象のものが出てきません。品質・収量の面から機械化ができないという問題もありますね。

 北出 谷口さんのところは…。

 谷口 かつて麦500キログラム、大豆300キログラムを目標とする「5・3運動」というのをやりましたが、品質が悪くてやめました。その苦い経験をした生産者が、まだ現役でがんばっていますから、取組みにくいんですね。転作面積は2000ヘクタールありますが、大多数は調整水田になっています。
 今年は梅雨入りが1週間早くなったので、麦が300〜400ヘクタール収穫できませんでしたし、規格外が800tもでました。

 北出 規格外が800tも出ると大変ですね。

 谷口 810円ですから生産者の手取りは厳しいですね。

 田中 品質と立地の問題だと思いますね。梅雨入りまでに刈り取れる品種はないのかと思いますね。

 谷口 その通りですね。

 北出 尾崎さん、活性化対策で最高額は7万3000円ですが、この対策を成功させるためには、なにがポイントになりますか。

 尾崎 一番のポイントは販売ですね。管内には、大規模農家で転作だけを引き受け、20〜30ヘクタールやっている人が多くなっています。そして、「コメよりもゼニになる」ということで、麦の後に大豆をやりたいという人が増えてきています。
 ただ、今後も続くかというと、麦・大豆の交付金がなくなるときが分かれ道になると私は考えています。そういう意味では、対策の期間は5年ではなく10年にして欲しいと思いますね。

 北出 米本さん、麦・大豆の本作定着化について、どう考えていますか。

 米本 麦・大豆の本作化は、自給率向上という国民的な課題に応えるということですから、やっていかなければいけないわけです。
 しかし、土地や気象条件に対する対策がなければ、全国一律にはやっていけないと思いますね。それから、長期的に生産者の手取りを確保できるのかという問題もあると思いますね。

 北出 一度、苦い経験をしてコメに戻ったという話がありましたが、そういうことをなくす政策が必要だと思いますね。それから、作ったものを売るための方策がなければ、生産者の手取りを確保することができませんね。その点は尾崎さんどうですか。

◆適地・適作の精神で本作を進める必要が

 尾崎 麦についていえば、実需者のニーズに応えたものをといわれていますが、ありていにいえば、大手製粉会社が仕切っていて、その言いなりになっているんじゃないでしょうか。いいとこ取りになっていて、国産麦は味付け程度の役割になっていると思いますね。
 大豆は、豆腐にしろ納豆にしろ大手加工業者がいませんから、地場の加工業者とか生協との契約なので、一定程度はやっていけるんじゃないかと思っています。

 4年前に麦が70%規格外になったことがありましたが、生産者は「そういうこともあるよ」といって、あまり騒ぎませんでした。今年は、バラ流通100%をめざし、施設処理を開始しました。また料金も利用しやすいように設定しました。

 北出 谷口さん、これからの政策的な要望としてはなにかありますか。

 谷口 生産から消費にいたるまでの対策をぜひたててもらいたいたいですね。とくに、消費者が本当に消費してくれるのかどうかです。消費してもらうためには、消費者に自給率の問題や、国産麦・大豆を理解してもらうことが先決です。とくに、若い人へ提案をして、食べてもらうことだと思います。

 北出 田中さんはどうですか。

 田中 全国一律の画一的な政策でいいのかという問題があると思います。それぞれの地域にあったメニュー提案をし、適地・適作の精神で本作をすすめる必要があるのではないでしょうか。

12年産米集荷は生産者の利便性を向上させて

 北出 12年産米の集荷対策については、これからがいよいよ本番ということになるわけですが、具体的にどのようなことを考えられていますか。

◆CEの荷受部分を活用して24時間受付を

 谷口 先ほども話しましたが、全職員規模で、シートパレットを活用した庭先集荷を実施します。11年産米では集荷量の80%がこの方法で集荷されています。また、検査には受検部長が立ち会いますので、庭先集荷でも自己搬入でも、生産者個人は立ち会わなくていいことにしています。
 また、12年産米からは経済連の共計から庭先集荷対策費が60キログラム160円出ることになりましたので、庭先集荷の生産者負担運賃は無料にしますし、自己搬入の生産者には同額を奨励金として出すことにしました。

 それから、生産者の利便性を高めるためと兼業農家対策として、できたものをいつでもJAに持ってこられる体制をとります。具体的には、カントリーエレベーターの荷受部分を活用して、モミ入庫が完了後、玄米を持ちこみたい生産者に対して、一定期間、24時間受付を実施します。

◆全職員が農家を回り、JAとのパイプを太く

 北出 田中さんのところは…。

 田中 集荷業者が3社いますから、JAとの契約をどこまで積み上げられるかが課題だと考えています。そのためには、JAと農家のパイプを太くすることで、信頼関係を高めなければいけませんから、行政と一緒に、全職員がマンツーマンで全農家を回り、JA集荷を話します。
 JA外に出す農家については、リストアップして管理職を中心にした集中推進を行うことにしています。  兼業農家が多く、土日の集荷が多いので仮置倉庫での土日荷受を実施していますが、12年産米では利便性の向上ということで、カントリーエレベーター、ライスセンター、玄米仮置倉庫での荷受時間を延長し「JAはいつでもとってくれる」という体制をとります。また、庭先集荷、圃場集荷をさらに迅速化したり、カントリーエレベーターの運営改善で生産者の荷受待ち時間の短縮をはかるなど、利便性を向上させる予定です。

 そのほか、広報車による集荷PR活動や保有米1戸1袋追加集荷にも今年度から取組むことにしています。

◆庭先集荷はエーコープラインに一括委託

 北出 尾崎さんのところは…。

 尾崎 管内には380の集落がありますが、受検組合を通じてJAの集荷方針を説明し、実施するという昔からのシステムができあがっているので、集荷にはあまりお金をかけていません。また、どちらかというと自己完結型農家が多いので、JAの利便性向上のための取組みは限られたものになっていますね。庭先集荷については、昨年からエーコープラインに一括委託です(本号7面参照)。
 あとは、カントリエレベーターの利用率向上対策も兼ねて、12年産米から利用料を引き下げることにしました。専業的な農家では、土地収益性の低い稲作よりも施設園芸などで規模拡大をしていこうという傾向があります。コメの収穫期でも施設などの農作業に支障がおきないように収穫だけに特化して、乾燥・調整はカントリーを利用する傾向が強くなっていますので、13年度からはコンバインのリース事業を始めようと考えています。

◆生産資材と連動する大規模農家の計画外出荷

 北出 計画外流通にだすのはどういう人ですか。

 尾崎 栽培方法にこだわりを持ち、自分の農業にプライドを持っていますね。JAに対しても「自分の農法を別売りせよ」といってきます。
 それから大規模農家などの場合には、生産資材と連動しているケースが多いですね。JAでは、大規模農家対策として、一定金額以上の購買金額に対して奨励金(割戻)を出していますが、今年度は奨励措置、価格、決済サイトなどについて大幅に見直すことにしています。

 田中 私のところでも、肥料農薬について、中核農家・営農集団などを対象に予約金額の一定割合を奨励金としています。JA外出荷としては、兼業農家が勤め先の職場で販売するケースが多いですね。それと広島市内の販売業者に出す人もいます。こうしたJA外へ出荷する農家をどうJAへ誘導するかが、これからの大きな課題だと考えています。

集荷に主体的に取り組むJAを広げること

 北出 最後になりましたが、これからコメの集荷でJAの果たす役割についてお話下さい。まず谷口さんから…。

 谷口 コメの消費を拡大するためには、消費者に食べてもらう運動をする必要があると思います。私のところでは、消費者に実際に農業を体験してもらい、農業を理解してもらうような取組みを進めていきたいと考えています。

 北出 尾崎さんは…。

 尾崎 集荷率を向上させるために、いままではJAとして黙認してきた有償無償の縁故米を、JAに出してもらうようにしていこうと考えています。

 北出 田中さんは。

 田中 コメは農家とJAをつなげる最後の事業だと考えています。農家とのパイプを太くするために、農家組合員とのコミュニケーションを、全職員で行っていかなければいけないと考えています。

 北出 最後になりましたが、米本さんからは…。

 米本 全農では、12年産米の集荷・販売対策のポイントを「流通経費の削減・合理的事業方式のもとで、JAグループが自ら主体的に集荷・販売に取組むことが最大のポイント」とまとめましたが、コメの集荷に主体的に取組むJAを広げていくことだと思います。
 JAグループとしてコントロールできるパイが大きくなればなるほど、価格や需給調整にも大きな影響力を行使できます。そのために、今日ご出席のみなさんのようなJAがたくさん出てきて、点から面へ広げていくことだと思います。

 北出 今日はお忙しいなか、貴重なお話をいただきありがとうございました。


農協・関連企業名鑑 社団法人農協協会 農業協同組合新聞 トップページにもどる

農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
webmaster@jacom.or.jp