「米の需給と価格安定の実現めざして」 健康長寿に不可欠なごはん食の伝統 |
農林水産省と(社)日本医師会、(財)全国米穀協会が共催したシンポジウム「お米・健康サミット2000−ごはん食で生活習慣病の予防を」が11月2日、日本医師会館で開かれた。今、わが国では食生活の乱れを一因とする動脈硬化性疾患や糖尿病など生活習慣病の増大が問題となっている。こうした生活習慣病を予防するため、同シンポジウムでは食生活のあり方とごはん食の意義について医師が最新の研究成果をもとに報告。専門家は一様に、健康で長生きするため「ごはん食の伝統はなくてはならないもの」と強調していた。 |
現在、わが国は世界一の長寿国となっているが、1965年では脳卒中死亡率が世界一だった。その後、脳卒中を減らすとともに、欧米のように心筋梗塞が増加しなかったために長寿を達成したという。
■米飯給食で子どもの脂肪摂取が改善 順天堂大学小児科の山城雄一郎教授が小学生を対象にした最近の調査では、食事から摂取する総エネルギーの33.8%を脂肪が占めていた(適正値は25〜30%)。しかもこれは農村部と都市部に差がなく全国的な傾向で「子どもの食は憂慮すべき状態になりつつある」という。とくに給食ない日の脂肪摂取率が高く、それにともなって毎年、コレステロール値も上昇、最近では米国の子どもたちよりも高いとの指摘もされている。 「副食がバラエティの富みしかも低脂肪になったためだろう。学童期までに繰り返し経験した味覚は脳に刷り込まれ、その後の食行動に大きな影響を与える」などと学校給食の意義などを訴えた。 ■やせと肥満が共存するヤング世代
聖マリアンナ医大の中村丁次栄養部長は、「ヤング世代には肥満とやせが共存している」と指摘。 またダイエットについては、ごはんは太る、との誤解も問題だ。医学的には、ごはん(糖質)では、多少、過食しても自己調整能によりエネルギー収支のバランスをとるよう働くが、一方、脂肪はそうした機能が働かず余分なエネルギーとなって肥満の原因になることがはっきりしているという。「穀類を中心とした食事をすれば肥満にならない。若い世代も健康を考えた食事をすることが大切だ」と中村部長は指摘した。 |
農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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