●趣 旨
冬期における火災盗難の多発期を迎え、防災・防犯管理の徹底をはかるため、本年度も「農業倉庫火災盗難予防月間」を設け、関係機関の協力を得てJAグループが一体となって全国一斉に強力な運動を展開する。
一方本年産水稲の作柄は作況指数104の「やや良」(10月15日現在)となっており、在庫の増大は避けられず、地域によっては依然厳しい管理環境下にある。
このため、農業倉庫業者は食糧法の下、より一層の自主保管管理体制の強化をはかり、適切な保管管理を励行するとともに、とくにこの月間においては農業倉庫における火災および盗難事故防止に重点を置いた倉庫見回り、施設・設備の整備・点検等を行ない、事故防止に万全を期するものとする。
●期 間
平成12年12月15日から平成13年2月15日までの2ケ月間。
●実行項目
「政府所有食糧等の保管管理要領」および「消防法令」によるほか、別添「農業倉庫火災盗難事故防止対策」に定める火災盗難予防に関する事項を確認して点検を行ない、必要な対策を実行する。
●火災盗難予防運動の推進方法
◎全農・農業倉庫基金
食料庁ならびに関係機関の協力を得て、次の予防運動を推進する。
(1)全農と農業倉庫基金はJAおよび経済連(全農県本部を含む、以下同じ)の農業倉庫担当者を対象に研修会を開催し、趣旨の徹底と意識の高揚をはかる。
(2)「農業倉庫火災盗難予防月間」ポスターを全国の農業倉庫に配布するほか、「農業倉庫と防災」誌、新聞等を活用して趣旨の周知徹底を図る。
◎経済連
食糧事務所、県庁、市町村消防本部(局)ならびに関係機関の協力を得て次の予防運動を推進する。
(1)JAの倉庫担当者を招集して火災盗難予防に関する会議、消防訓練等を実施し、防災・防犯意識の高揚をはかる。
(2)巡回指導班を組織して倉庫巡回を行ない、農業倉庫の火災盗難予防設備および消火設備の点検・整備を指導する。
(3)「農業倉庫火災盗難予防月間」ポスターを掲示し、関係者の意識の高揚をはかる。
(4)経済連機関紙・地方新聞等を活用して火災盗難予防運動の趣旨を徹底する。
◎JA
食糧事務所支所ならびに市町村消防本部(局)、消防団および警察署の協力を得て次の予防運動を実施する。
(1)農業倉庫における保管米麦の重要性を認識し、役職員の意識・責任感の高揚をはかる。併せて、倉庫見回りを行ない防災・防犯の徹底をはかる。
(2)農業倉庫等の火災盗難予防設備および消防用設備等の一斉点検を行なう。
(3)事務所、農業倉庫、共乾施設等に「農業倉庫火災盗難予防月間」ポスターを掲示し、職員や関係者の注意を喚起する。
(4)この期間中、消防・警察関係の協力を得て、防災・防犯についての指導を受ける。また、消防訓練を実施する。
(5)組合員および付近住民に有線放送、ケーブルTV、チラシの配布等により、火災盗難の緊急連絡の協力を要請する。
農業倉庫火災盗難事故防止対策
農業倉庫において、火災盗難を未然に防止し保管管理の万全を期するため、次の事項を実施する。
T、防災体制の確立
1.農業倉庫の防災体制を確立するとともに、災害時における役職員の行動規準を定める。
(1)事故発生時における通報を敏速に行なうため、非常時連絡先表を掲げるなど連絡体制を整備しておく。
なお、火災事故の発生の際に初期消火に役立つよう、平素の訓練に努める。
(2)農業倉庫の総括責任者、上級責任者、現場保管管理責任者および火元取締責任者を定め、倉庫各戸前にその氏名を掲示する。
当該責任者は相互の連絡を密にして事故防止対策の徹底をはかる。
(3)農業倉庫の鍵の保管責任者を明確にするとともに、保管場所を特定し、厳格に管理する。
(4)警備規程を策定し、これにもとづき倉庫・庫内の巡回を行なう。
(5)本庫のみならず、支庫にも宿直等にかわる常時監視体制を敷く。第三者に、警備を委託する場合は宿直と同等の効果が得られるよう措置する。
2.消防署・警察署の協力を得て、防火・防犯の指導を受ける。
U、施設の点検と整備
1.火災防火
(1)建物
@農業倉庫周辺の建築物の構造・配置を、防火上の見地から見直し、改善に努める。
A下屋の一部を事務所に利用する時は、原則として火気を用いない。
Bガソリン、灯油、LPガス等の燃料は、必ず所定の危険物貯蔵庫に格納するものとし、農業倉庫には絶対保管しない。
同様に、穀物に臭いが移る農薬、肥料等についても専用倉庫へ保管するものとし、農業倉庫へは絶対に保管しない。
C農業倉庫構内の要所に、火気使用禁止および禁煙の標識を掲示し、指定場所以外での火気の使用を禁止する。
D農業倉庫構内の休憩所に、水を張った吸殻入れを備え、喫煙場所を特定する。
E農業倉庫内外の見回りを励行し、庫外の枯れ草・塵芥の吹きだまりは、必ず除去するなど、清掃に努める。
(2)電気設備
@電気の配線および警報器・電灯等の電気設備について、財団法人電気保安協会による絶縁抵抗試験を(2年に1回以上)受け、電気火災の発生を防止する。
A倉庫内には原則として裸電球を設置しない。
やむを得ず設置する場合においては必ずグローブを併置する。
B断熱構造の低温倉庫等における天井の照明灯は、吊下式として断熱材と隔離する。
(3)暖房設備
倉庫構内の建物において使用するストーブは、日本工業規格に合格した自動消火装置(石油耐震自動消火装置、ガスは立ち消え防火装置)付きのものとする。また、ストーブの下敷きには不燃性の資材を使用する。
(4)消火設備
@「簡易消火器具の農倉設備における最低基準」にもとづき、消火器を設置する。
なお、消火器は指定機関の検定合格品を使用する。
【注:「指定機関」は日本消防検定協会をいう。消防法第21条17】
A消火器の備え付け場所を明示する。
B消火器は、点検・整備規準にもとづき、一定期間(3年に1回)ごとに指定機関による点検・整備を受ける。
【注:消防法施行規則第31条の4】
C消火器の性能および使用方法について、演習を行なうなど担当者に徹底する。
(5)初期消火
@火災発生の際は、倉庫の出入口、天窓、地窓を密閉し初期消火に努めるとともに、速やかに関係機関に通報する。
Aウレタン系、スチレン系など可燃性断熱材を使用した倉庫では、爆燃現象を引き起こす危険があるので倉庫出入口に「可燃性断熱材使用」の旨を大書きで表示する。
2.盗難防止
(1)構内への侵入を防ぐため、周囲に塀を巡らす等により無用の者の出入りを排除する。
(2)入出庫作業にともなう下屋・検査場所等における米麦の仮置きは、極力短時間に留める。事情により、仮置きが翌日以降にわたる時は、厳重な警戒体制をとるものとする。
(3)本庫の戸は可能な限り二重戸とする。
扉の外側は鉄製または木製亜鉛板張りとし、難燃性の断熱材を使用する。
(4)施錠は可能な限り複数とりつけるものとし、うち一つは「かくし錠」または「オトシ錠の盗難予防効果の高い錠を使用する。
(5)防錠の確認は、確実に実施する。
(6)盗難の集団化に対処し、防犯ベルを設置する。
防犯ベルの作動状況を随時検査し、外部配線の露出部分を被覆する等により防犯設備の機能強化を図る。
(7)倉庫構内の要所に、外灯を設置する。
(8)休日、深夜における倉庫の監視体制を点検・整備する。
とくに人里離れた支庫については、周到な防犯設備を装備するとともに、在庫品の早期出庫または本庫への集約化を図る。
(9)保管台帳、荷渡指図書等を整理し常に在庫品と照合する。
(10)盗難事故が発生した際に、報告を受けた経済連は関係機関へ速やかに連絡するとともに、近隣の農協に通報し警戒を促す。
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