「食と農」女性ベンチャーら大活躍 ファーマーズマーケット核に多彩な事業活動を展開 −JAあいち知多 あぐりタウンげんきの郷 |
愛知県のJAあいち知多(竹内寛幸組合長)は「あぐりタウンげんきの郷」というファーマーズマーケットを中核にした施設をつくり、昨年12月23日のオープン以来、1日平均6000人の客を集めるという好調のすべり出しをみせている。そこで働く約120人の9割は女性だ。野菜などを出荷する生産者は12月中で約280人。これまた毎日搬入してくる顔ぶれの約6割は農家の主婦たちである。場内にはファーマーズマーケットのほかに多彩な施設が並ぶ。加工施設の一角にある惣菜店は女性起業家7人の共同経営だ。ここでは爆発的な女性パワーが多方面で発揮されている。 げんきの郷は大府市内に広がる。エリアは5.5ヘクタール。建設の端緒は地力の低下にあった。なんとか土壌を再生させたい、農業を復興させたいとJA合併前の旧JA東知多は「アグリルネッサンス構想」と呼ぶ壮大な設計図を描いた。 |
あぐりタウン 「げんきの郷」 のシンボル・ 時計台 |
●土づくりを基本にJAに先行して
それは土づくりを基本とした持続性のある有機農業を目ざす内容である。この構想にもとづいて、げんきの郷ができた。 ●ビジネスチャンスとらえた女性たち 惣菜店はモデル農園グループの仲間7人が設立した有限会社「七工房彩菜」が経営する。
社長は前JA理事の鈴木香津美さん、「今後もモデル農園の野菜にこだわった安心・安全な惣菜を提供していきたい」という。 げんきの郷建設というビジネスチャンスをとらえた女性ベンチャーの事業活動は好調のスタートを切っている。 ●拠点を広げ、農業復興へ壮大な構想
そして女性の活動で消費者とのつながりを広げ「農業に対する地域住民の理解を深めてもらえば農業復興は夢でなくなる」とロマンをふくらませる。 施設群はファーマーズマーケット、グリーンセンター、加工施設、レストラン、そして天然温泉と実に多彩だ。それらをトータルした集客力の強さを発揮している。新年度には食と農と健康について学ぶ学習・研修施設「アグリカレッジ」を建設する計画だ。 ●行動力、感性生かし活動参画広げる
この地域は重量野菜の生産が中心だったが、多品目生産に転換して多様な需要に応える。これは高齢者に元気で農業を続けてもらう生きがい対策だ。女性と高齢者の元気な行動を引き出したいと中嶋専務は語る。 資源リサイクルでは風力発電も計画中だ。温泉施設の横に巨大な風車を立てる。羽根を含めると高さ60メートル。発電量は年間約80万キロワット。げんきの郷の電力需要量は50キロワットなので余った分は売電するという計画だ。 アグリルネッサンス構想は農業復興にかけた壮大なロマンへの挑戦といえる。そうしたJAの取り組みの中で行動力や感性を生かした女性の参画が今後さらに期待される。 |
農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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