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特集 地域農業戦略と系統信用事業の役割

第48回全国JA金融推進大会

座談会 組合員と地域に支持される「JAバンク」めざして
一般金融機関とは異なる生存基盤がっちり
「大競争時代」に「勝ち組」の地歩確立へ

JAたじま代表理事組合長  田口 義修 氏
JAいわて中央専務理事  長澤 壽一 氏
司会:東京農業大学教授  白石 正彦 氏

 農業を中心とした地域振興に果たすJAの信用事業の役割は大きい。今後、金融機関としての専門性の発揮が一層 「JAバンク」には一般金融機関とは異なる確固とした生存基盤がある。座談会では、そこが具体的に語られ、コーディネーターの白石・東京農大教授は「JAの特性を生かした」JA金融の展開ぶりが「印象的だった」とまとめた。JA金融の強みは、資産家との結びつきだが、さらに集落ぐるみの起業を支援して組合員との絆を強める展開なども話題になった。両JAの貯金シェアはエリア内で25‐30%と高い。JA金融の存在価値は、地域農業振興を進める上での役割発揮が、その一つ。これについても▽農産物の直売事業がハウス施設の投資に直結した▽規模拡大をする認定農業者への労働力提供‐‐など豊富な取り組みが紹介された。また「地域に根ざした活動」とはどういうことか、という問い直しもあった。両JAの活動は「大競争時代」の「勝ち組」になる方向を示唆していた。
田口 義修(たぐち・よしのぶ)氏
昭和34年豊岡市農協参事、平成3年兵農能率協会、平成4年豊岡市農協常務理事、平成7年たじま農協専務理事、平成11年同農協代表理事専務を経て代表理事組合長。
長澤 壽一(ながさわ・じゅいち)氏
昭和31年県立盛岡一高卒。昭和33年見前農協入会、51年同農協参事、平成3年都南農協参事、平成5年専務理事、平成11年岩手中央農協専務理事。
白石 正彦(しらいし・まさひこ)氏
九州大学大学院修了。農学博士、東京農業大学国際食糧情報学部教授。昭和53〜54年英国オックスフォード大学農業経済研究所客員研究員、平成5〜7年ICA新協同組合原則検討委員会委員、平成10年ドイツ・マールブルク大学経済学部客員教授、日本協同組合学会会長。


◆広域合併でイントラネット活用による組織強化へ 白石氏、田口氏、長澤氏の3Shot

 白石 昨秋のJA全国大会は「地域農業戦略づくり」と「系統信用事業の改革」を打ち出しましたが、この二つのかかわりを念頭に、田口組合長から、まず地元の概況などをお話いただければと思います。

 田口 但馬牛、コシヒカリなどの産地として知られていますが、生鮮野菜はいろんなものを少しずつ作っています。
 しかし販売高は毎年少しずつ下がっています。生産量はそれほど変わらないのに単価が下がるわけです。とくに販売高の6割強がお米なので、それが響いています。
JAたじま本店の全景
JAたじま本店の全景

 白石 長澤専務はいかがですか。

 長澤 ひとめぼれを中心にした米が基幹作物で、果樹はリンゴなどです。畜産は南部牛をはじめ最近は非常に肉質のよい黒豚が好評です。野菜は様々な品目を作っています。
 平成11年に3JAが合併し
  @レベルの高いJAに足並みをそろえる
  A組合員の所得が岩手県1番になるような指導体制を確立する
  B拠点支所別の経営分析で赤字解消をはかる、
という三つの目標を掲げ、その後、着実に前進しています。
 @に関しては、いい意味でのライバル意識をもって仕事をするようにしています。Bは例えば赤字が500万円ある拠点支所では、次年度にそれを400万円に減らすといった手法を取り入れています。

 白石 岩手県一の所得というのはどういうことですか。

 長澤 販売ロットが大きくても組合員個々の所得が少なければ、JAの価値が薄れますから、組合員所得の優先をはかったわけです。

 白石 JAたじまは7年に1市6町のJAが合併しましたね。

 田口 ええ、さらに今年4月には1市18町の4JAが合併し、エリア面積は香川県や大阪府より大きくなり、東京都とほぼ同じになります。

 白石 1県1農協なみですね。

 田口 しかし山が多いので、交通アクセスが難問です。
 そこでJA職員が何度も谷間を往復しなくてもよいようにとパソコンによるイントラネットシステムの構築を考えています。LANはすでに導入しております。自治体がパソコン研修会を開いたりしていますので、組合員のパソコン利用も広がりそうです。

◆農地の流動化促進で経営規模拡大し農業振興へ

 白石 農業振興について合併後の課題とか目標はいかがですか。 田口 義修 氏

 田口 これからは但馬地域全体として、どういう農業をつくっていくかを考えなければなりません。
 それから農地の流動化が一つの課題ですね。耕作放棄田が山間地などに出てきていますから、それを、どう専業農家に集めるかです。
 また営農集団をどうつくっていくか、新しい特産品をどう作り出すかです。先の合併後はピーマン産地を形成した実績があり、近畿地方では一番大きい産地になりました。
 観光客を対象にした農業にも取り組みつつあります。

 白石 JAいわて中央は、販売金額が120億円ですか、なかでも、もち米生産では日本一のJAです。今後の農業戦略はいかがですか。 長澤 壽一 氏

 長澤 農地保有合理化事業を「農地貸し借り安心事業」と、やさしく銘打って、積極的に貸し手と借り手の間の農地流動化を進め、経営規模の拡大に力を入れています。

 また、農作業受託組織の中に「機械銀行」というのがあり、「機械貧乏」にならないように有効活用して受委託を円滑化しています。
 それから農業改良普及センターのOBたちにJAの営農センターで働いてもらっていますが、例えば防除の薬剤などを教えるだけではなく、その後、現地にも出向いてフォローし、必要な場合は改めての対策も指導してくれています。これは、すばらしいことだと感心しています。

◆独自資金や制度資金の活用で地域の農業をサポート 白石 正彦 氏

 白石 では信用事業の実績や課題に入って、JA独自の融資制度などについて、お聞かせ下さい。

 田口 私のほうは、経済活動が、それほど活発な地域ではありませんので、貯貸率は低く、19%です。
 農家の内職はわりとたくさんあります。例えばビニールカバンの産地なので、家庭内のカバン加工などがあります。しかし農家自身が投資をする事業は余りありません。また農業投資も今は減少傾向です。
 JAは独自に金利の安い「営農資金」をつくっており、土地改良資金とか農機具導入などの投資に使ってもらっています。
 一方、「観光開発資金」という独自資金を創設し、農家が中心になっている観光事業などに利用されています。また城崎温泉の旅館などにも使っていただいております。

 白石 旅館は准組合員ですか。

 田口 ほとんどがそうです。正組合員も少しはいますが。
 一方、スキー場への融資が特色ですね。各集落はそれぞれの里山をスキー場にし、組合員農家の出資による会社をつくって運営しています。
 そこでJAはリフトや山小屋、民宿施設などの投資に貸し出しています。また運転資金融資もあります。

 白石 JAいわて中央の取り組みはどうでしょうか。

ディスクロージャー
JAいわて中央の
ディスクロージャー誌
 長澤 制度資金を優先的に活用しています。しかし県都盛岡市の一部と隣接の紫波町、矢巾町がエリアという立地から、組合員は土地資産の運用に関心を抱いています。このため資産運用の相談業務を強化しながら、マンションやアパートの経営資金貸出に積極的に取り組み、また入居者のローン関係を中心にした融資も手がけています。貯貸率は約28%です。
 営農関係でも立地を生かして、産直事業に取り組み、JAの直売所が3カ所あります。駅前と団地と営農センターに1店ずつです。
 組合員数はJAたじまさんの半分くらいですが、うち約320人が直売所に出荷しています。年間売上げは約2億円です。一人当たりでは65万円ほどになる勘定です。

 白石 産直は農家の女性が担い手ですか。

 長澤 そうです。とくに若いお嫁さんたちが積極的ですね。消費者の評判も上々です。自分で収穫し、値段をつけ、袋や束に個人名を明記した野菜や果物を直売所に並べるというやり方です。JAは手数料をもらい、職員がサポートしています。
 しかし冬場はどうしても品薄になります。このため若い女性たちは、年間を通した供給の安定をはかってハウス栽培を始めました。
 施設をつくる資金借り入れの申し込みがあったので、JAとしては積極的に「農業経営資金」を融資し、励ましました。この資金は11年に創設したJA独自の制度です。

 白石 Aコープ店舗で販売する野菜や果物も地場産のものですか。

 長澤 いやぁ、それは市場からの買い付けが多くなっています。

 白石 「アグリマイティ資金」というのはどういう資金ですか。

 長澤 例えば、近代化資金融資が需要の8割7割にとどまる場合、あとの2割3割をアグリマイティの融資で補完するといった形です。

 白石 生活面で、賃貸マンション建設資金などは住宅金融公庫の融資がありますが、その辺は?。

 長澤 住宅公庫の金利が高いためそれよりも低利のJA資金に借り換えをする利用者もありますよ。
 それから今度、農林中金などが資産運用のパイロットJAを設定するという話が出ておりますので、うちも手を挙げることを決めました。
 資産運用には、まず相続税の問題があります。これは当主の死亡後に相談があっても、もう遅い。そこで生前(のうち)に節税対策を練らなければなりません。うちも、こうした課題に本格的に取り組む方針です。

◆地域に根ざし貢献広げる目標管理型の事業を目指す

 白石 信用事業と高齢者福祉など助け合い運動の関係はどうですか。

 田口 福祉積立をやっています。契約者はJAの葬祭事業や福祉事業を割引料金で利用できます。
 高齢者福祉はホームヘルパーの派遣を中心にしています。資格者はたくさんいますが、現在118人が介護や家事の支援に走り回り、ヘルパーによっては1日2回、例えば、おむつの交換に行く人もいます。
 介護保険がスタートしてから忙しくなりました。ケアマネージャーも3人います。4月からは豊岡市のデイサービスセンター施設の管理を受託することになりました。

 白石 JA金融と、他の金融機関との競合はいかがですか。

 田口 銀行は一生懸命に入り込もうとしていますが、例えばスキー場などは農家が起こした事業なので、最初からのつながりがあり、やはりJAのほうが強いですね。

 白石 いわて中央のほうは?

 長澤 競合に関連して「地域に根ざした」とか「地域密着」とかいわれますが、それは具体的にどういうことなのかと私は考えます。
 地域には様々な組織があります。やれPTAとか趣味のサークルやスポーツの会とかね。私は、そうした組織の中にJA職員が必ず1人はいるという必要性を痛感します。
 所属するだけではなく、事務局や世話役を引き受け、お手伝いをする必要があります。そうすることで情報がたくさん入ります。また、まじめに仕事をしていると「あれは、どなた?」と注目され、「農協職員だよ」といったささやきから、JAのイメージアップになります。
 そうした「地域に根ざした」職員の活躍が「地域密着型」の事業展開につながると思います。
 だから、地域組織の世話をする職員にはJAが月々、何千円かの手当を出してはどうかと考えます。なりしろ地域や各家庭の情報が入り、金融や共済の推進につながるし、本人のやる気も出てきます。
 地域に根ざした事業の追求ということでJAの金融事業は現在、目標管理型業務の13年度導入に向け、渉外担当20人を28人に増やして体制をすでに固めました。13年度からは、積極的にJAから足を運び、提案型で貯金、貸出金を推進します。

 白石 専門的には目標管理型を取り入れ、同時に職員たちによる地域貢献を広げていきたい、ということですね。女性部の活動はどうですか。

 長澤 女性部と青年部は「大地の応援団」という事業を昨年から始めました。小学生を募って農業体験をしてもらうものです。親もついてきて子どもと一緒に生育状況を楽しそうに観察したりしています。
 稲作は田植から収穫まで、リンゴは摘果から収穫までを体験します。畜産加工ではソーセージづくりもやり、また伝統のしめ飾りづくりも教えるなど内容は豊富です。ひまわり団地も造成しました。今後も続けたいといっています。

◆リテール分野の強み活かし証券運用や地元融資増やす

 白石 金融機能の強化などについて、JAたじまはいかがですか。

 田口 12年度は一気に店舗を減らすという支店の統廃合をしました。37のうち10支店を統合し、1つを増やして現在は12支店です。これは13年度も続けます。その補完として渉外を充実し、現在62人です。
 なくなった支店のエリアでは渉外職員が1集落を担当して月に最低2回は各戸を訪問し、そこの200‐250戸については、どんなことでもお聞きして帰り、まるごとJAとつながりを持つようにしました。
 訪問時には年金を届けたりもし、高齢者家庭などで担当職員に用があれば、すぐ職員の携帯に電話が入って飛んでいける仕組みです。
 一方、統合した支店の中は専門化し、融資相談に応じています。また融資案件の検討は複数体制です。

 白石 渉外は御用聞きですね。

 田口 地域密着をさらに深めていこうという趣旨です。しかし合併前の昔は本店だったところ、利用率の高いところを一気に減らすのですから大変でした。とはいっても、実施後の混乱などは聞いていません。
 白石 管内の金融機関の中でJAのシェアはどれくらいですか。
 田口 管内の他の金融機関店舗数は48ありますが、大きいところはJAと但馬銀行(地銀)と但馬信用金庫の三つに絞られます。預貯金のシェアは、その3機関で三分の一ずつを分け合っている形ですね(郵便局を除く)。あとの金融機関は1%とか2%のシェアにとどまっています。
 地銀や信金は豊岡市内の企業に顧客が多く、JAの場合は、法人向けは少ないけど、リテール分野はやはり強いですよ。農村部だけを比べたシェアはもっと高くなります。

 白石 貯貸率を高めていく課題についてはいかがですか。

 田口 農業資金の需要減退で大変苦しいところですが、今後は観光事業とか、地元法人への融資を増やしていきたいと思います。

◆農業後継者確保対策にシステム作りの強化へ

 白石 一方、資金運用面では、証券運用が結構、高いですね。昨年3月末で115億円。これを4年前と比べると倍増です。さて、いわて中央のシェアはどうですか。

 長澤 管内の金融機関店舗数は郵便局を除いて21あり、預貯金のシェアは29.9%です。

 白石 随分高いですね。四分の一に達しているのですから。

 長澤 収益改善については、JAの支所は16あります。他の金融機関合計21に比べ、これは、ちょっと多過ぎはしないかと考えました。そこで支所・出張所のうち貯金残高10億円以下のところは窓口扱いをやめて全部ATM(現金自動預け払い機)に代えていく方針です。
 白石 変化の激しい時代ですが、あと5年後くらいをみて、地域農業をこうしたいとか、あるいは、それをサポートする信用事業はどうあるべきかなどについて、お話いただければと思います。

 田口 一番大きな問題は、後継者難です。どう補充していくかといっても、若い農業後継者は限られていると思います。そこで定年退職者に後継者として農業をやっていただけるようなシステムをつくっていきたいと考えています。

 白石 元気な高齢者に生きがい農業をやってもらうわけですか。

 田口 農業で生きていただくためには、栽培技術を身につけるとか経営ノウハウの勉強などが必要になりますから、そういった研修の仕組みをつくらなければなりません。
 そうしないと、継続して農業をやっていくことが難しいと思います。
 また扱いやすい機械を早く動かせるようにするといった仕組みなども考える必要があります。後継者確保対策として、そうした課題を検討していきたいと考えています。
 それから輸入農産物の急増という問題があります。国産品が輸入品にどんどん押されて価格が落ち込んでいます。今後、専業の農家はどうなるのかという心配があり、先行きがまったく見えません。
 しかし、日本人は本物志向が強いわけですから、そこをねらって、新鮮で安全で、安心して食べていただけるようなおいしいものを作っていくという対策があると思います。

◆認定農業者の育成と集落営農構築で地域振興に尽くす

 白石 信用事業については、どうみておられますか。

 田口 金融ビッグバンとかペイオフ解禁とか業界の再編成とか、いろいろあります。しかしJAの場合は先ほども話題になったように、地域と密着して生き残るんだと、私は常々といっております。
 だからJAは組合員と幅広い「面積」で、つまり体のどの部分にもわたる全身の幅広い面積で、つながりを持って、そして一緒になって地域の発展に尽くしたいと思います。

 白石 営農面、生活面と、幅広い面でつながりを深めるわけですね。

 田口 信用だけ共済だけというつながりでは不足です。それから地域発展をいいましたが、これは地域がよくなってこそ農業もよくなるんだという考え方です。農家だけが、がんばっても地域はよくなりません。住民全体が地域振興に力を合わせる必要があります。それが地域の農業振興につながってきます。

 白石 JAいわて中央はどうですか。

 長澤 いわて中央農協では、大事にしなければならないのが認定農業者です。226人いて、それぞれ規模を拡大していますが、それにつれて労働力を増やす必要が出てきました。そこで非農家の方々に支援を求めて昨年初めてパートの農業従事者を募集しました。こうした認定農業者対策を着実に進める方針です。
 一方、家族農業者対策として、家族的なふれあいの中で集落の力を結集した集落営農を築く必要があります。例えば、きょうはこの家が休みをとるから、ほかの家が農作業を代行するとか、あるいは、サラリーマンの息子がきょうは休みだから、よその家の農作業を手伝いにいかせるといった集落営農を構築していく認識を深めたいと思います。

◆リスク管理体制強化で地域に信頼されるJAへ

 白石 信用事業のほうは?

 長澤 渉外担当を28人体制に強化したのだから、定期積金にも力を注ぐ必要があるということになっています。うちも先ほど話に出た葬祭積立を月3000円で進めています。また温泉旅行を楽しむ「湯けむり定積」とか、三陸へ行って魚をたらふく食べる「グルメ定積」などもやっております。あとは、これから大事なのは、年金をいかに獲得していくかということだと思います。

 白石 それから、昨年のJA全国大会は「組合員と地域に支持されるJAバンク」を確立するためJA、信連、農林中金が一体的な業務運営を展開することを決議しましたが、それに対応する法整備では、政府が農協法改正や信用事業の新法を検討中です。その柱はセーフティネット構築など危機管理だと思います。これについてのお考えはどうですか。
 長澤 コンプライアンス(法令遵守)の提起については、みんなで認識が成立しましたが、それと車の両輪だといわれるリスク管理委員会の設置はこれからです。
 2月の理事会では、リスク管理の新しい内容を説明し、3‐4月には委員会の規定なり構成メンバーなどを決める考えになっています。

 白石 自己資本比率は16.74%と高いですね。

 長澤 いやぁ、県下の平均よりは高いと思いますが……。

 田口 私のところも、いま新しいリスク管理体制を組んでいます。いまのところは貸出に関しては内容の安心なものばかりだとみています。しかし、4月には合併をしますので、そのあとのことを、いろいろ考えています。

 白石 JAの特性を活かした地域農業戦略づくりを土台とし、個性的にかつ自信を持って信用事業に取り組まれている実態をお話頂き有り難うございました。

 田口組合長と長澤専務のお二人とも、「地域で信頼されるJAづくりやJAバンクづくり」のために、一方で、JAの総合性と専門性を組み合わせた事業経営体制の内部革新と他方では特に組合員とJAの組織事業活動のつなぎ役として職員の活躍を引き出す仕組みづくり、「人材づくり」を重視されている点が印象に残りました。

(座談会を終えて)
 JAたじまの田口組合長から「JAは、組合員と幅広い『面積』で、つまり体のどの部分にもわたる全身の幅広い面積で、つながりを持って、一緒になって地域の発展に尽くしたい」「地域が良くなってこそ農業も良くなるんだ」という考えに基く組合員密着型の取り組み実態や、JAいわて中央の長澤専務の「農地貸し借り安心事業」や女性部と青年部の「大地の応援団」事業の支援などの実態をお話頂いた。お二人に共通するのは、農を重視し地域貢献のための個性あふれる多面的な事業活動と複合化したJAの信用事業こそ、21世紀の総合農協の新地平が開けるものだという点であろう。  今後、金融のビッグバンに備えるJA系統金融のセーフティネットづくり、検査マニュアルづくりなどの取り組みが急がれるべきであるが、同時に、組合員の目線を重視した「地域農業・生活福祉・地域開発」の3本柱を組み合わせつつ、@JAらしい地域個性を開花させる独自の基本構想(プラン)づくり、A組織力重視型の実践、B金勘定に偏重しない、人的能力発揚を重視した実践の見直しという内発的なプロセス重視の一環として信用事業システムの改革が求められていると考える。(白石)




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