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特集:21世紀の農業に虹の橋を架けよう
農業再建と地域活性化のために |
21世紀の日本農業と「安心システム」
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狂牛病の発生が大きな社会的問題となり、食品に対する「安心・安全」のあり方が問い直され、「全農安心システム」が提唱する「トレーサビリティ」への認識が高まっている。そこで、このシステムの基本的な考え方を原耕造全農農畜産物検査・認証事務局長に執筆してもらった。 |
◆今起きている事の背景
狂牛病の問題は留まるところを知らずに、消費者には食品不安を、生産者には経営不安を、流通には販売不安を引き起こしている。現在、狂牛病だけが問題となっているが、それ以外にダイオキシン、O157等の食品に係わる様々な危害に対してどのように対処したらよいかの問題は以前から指摘されていた。現在の法律の枠組みを修正することで対処しようという動き(食品衛生法の改正要求)もあるが、関係する省庁が複数に渡ることもあり誰もが手を付けられなくて現在に至っている。 ◆今、何が必要なのか それではどうしたら良いのかというと、飼料から消費までを1本の鎖でつなぐ仕組みを早急に作ることなのだ。消費者が食べる牛肉に飼料の成分から個体管理された牛の履歴書が付いていて、その履歴書を消費者自身が見て判断をするという仕組みである。 ◆トレーサビリティと安心システム 実はこの仕組みを作ろうとしているのが「安心システム」なのだ。当初、このシステムを企画した時は、有機JAS法に対してJAグループはどのように対処したらよいかという視点であり、食品危害への対処策としての位置は低かったが、時代の激変のなかで現在では非常に注目されてきている。システム開発に係わるこれまでの経過と今後の予想を表にしてみた(表参照)。 ◆トレーサビリティの効果 トレーサビリティについては今後、新聞紙上を賑わす言葉になり、食品危害に対するキーワードのようになると思うが、この仕組みがもたらす効果は多岐に渡っている。 ◆食と農の距離を縮める このように安心システムは「食の安全性」だけの仕組みではなく「食と農の距離」を縮めるという狙いも持っている。これからの食品売場は、まさにトレースされた食の情報の発信基地となるだろうし、その結果、食と農の距離を縮めた国産農畜産物が輸入農畜産物に対抗できるようになるのだ。セーフガートが本格発動された場合、猶予期間の間に安心システムの導入を図り、消費者の信頼を勝ち取らなければならない。 ◆食農教育と経済事業の連携 これまで食農教育・総合学習・産直交流会・グリーンツーリズム・自然保護・環境保全型農業等の取り組みはなされてきたが、有機的つながりはなかった。安心システムでは、これらの従来の取り組みをトレーサビリティという一つの手法で繋げる活動を展開している。 ◆環境監査と「身土不二」 環境監査とは生き物調査に基づき、環境負荷軽減の目標を復活させる地域の棲息動物に定める活動なのだ。従来の人間中心の生きかたから地域の棲息動物とともに生きる方向に転換し、棲息動物の目線に合わせた農業生産方法を地域全体で実施しようとする試みなのだ。活動には地域の稲作農家、畑作農家、畜産農家、地域住民、地域の子供たち、産直の消費者、地域JA、地域行政、ボランティア等が参加し、皆が一体となって負荷軽減のための行動計画を作成し、それを皆で実行をしてゆこうということなのだ。 |