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特集:2003 おんなたちのPOWERで「変革」の風を
    −第48回JA全国女性大会特集−

JA全国女性大会に寄せて
命を生み出す母性の力で
「農の心」を広めてほしい

宮田 勇 全国農業協同組合中央会 会長


宮田 勇氏
 第48回JA全国女性大会の開催、おめでとうございます。この機会にJA運動に結集し、営農と生活を担って日々奮闘されている女性のみなさんに、私の思いの一端をお伝えさせていただきます。
 私にとってのJA運動との接点は、昭和36年北海道の新篠津村農協青年部に加入したときです。
 その後、石狩地区協議会会長、さらに昭和47年、48年には北海道農協青年部協議会会長をさせていただきました。当時から「農協婦人部」と農協青年部は常に農業、農協の発展のため、手を携えて運動に取り組む同志でした。農協婦人部のみなさんは、主婦という家庭内の役割に加え、農業者としての働きも担われていて、若かった私もその活躍の大きさを日々実感していました。
 JA全中会長就任以来、食の安全・安心の確保、米政策改革、WTO農業交渉、JA改革の推進とわが国の食料・農業・農村やJAの将来に係わる大きな課題に直面していますが、今こそ、さらなる女性の活躍が重要だと再認識しています。
 残念なことに今日ほど、食の安全・安心に対する不信が高まっているときはありません。国民の皆さんの不安・不信を払拭し、国内農産物の安全性確保と消費者の真の信頼回復を実現するためには、JAグループとして、食の安全・安心のために「行動」で示す必要を切に感じています。
 現在、JA女性組織では「地産地消」運動を活動の大きな柱に取り組みを進められています。学童農園、学校給食への食材提供を始めとする次世代への働きかけ、直売所、自給率点検運動、農産加工活動など、どれをとっても子どもや消費者と出来るだけ近くつながりながら、地域の農業を守ろうとする取り組みであり、食の安全・安心を確保する重要な活動の一つです。
 また、WTO農業交渉では、2月の東京でのミニ閣僚会議が開催されるなどWTO農業交渉はいよいよ山場を迎えようとしています。「多様な農業の共存」をめざす日本提案の実現のためにも、「地産地消」等をとおして、農業の現状と私たちの取り組みを理解してもらえるような取り組みが重要です。
 一方、組織としてはJAグループ自らによる改革が緊急の課題です。JA改革には、担い手と女性の大幅な参画が必要です。男女共同参画により、ぜひとも女性の立場からこれからのJA運営のあり方などに積極的にご提案、参画いただきたいと思います。
 本年は秋にJA大会を開催します。議案づくりにおいて、JAグループ関係者の一体感が強まり、各々が新しい気持ちで地域の農業・農村の振興に取り組んでいけるようなものにしたいと考えており、そのためにもJAグループ以外の方々ともよく意見の交換を図るなど、農の応援団づくりを全国で展開するとともに、開かれた大会にしていきたいと考えます。
 私は「いまこそ農の心を取り戻そう」と主張しております。最近のわが国は、食に対する意識が低下し、ともすると飽食の時代に象徴されるように、お金さえ出せば食べ物は買えるという安易な考えをもった人が増えています。しかし、農業は生命産業であり、農業・農村の役割は食料の供給にとどまらず、国土保全や景観維持、安らぎの提供など多面的です。どんなに文化や文明が発達しても、そうした農業・農村が生み出す食をないがしろにしては、国が成り立ちません。
 地産地消の活動や農業体験等を通じて、農の現場を知らない都市住民や子どもに食の心を伝えることは私たち生産者の重要な使命です。そしてここに大きな力を発揮できるのはJA女性組織のみなさんだと確信します。営農と生活を担い、生産者であると同時に消費者でもあり、そして命を生み出す母性を備えている女性が縦横に活躍できる場です。
 ぜひ、今までの取り組みをさらに一段大きく広げていただき、「農の心」を国民のみなさんに植えていただきたいと願っています。
 そして、私たちJAグループは一丸となって、「安全とやすらぎの風」、「改革の風」、「地域社会への元気の風」を日本中に吹き込んでいく所存です。
 JA女性組織のみなさん、ぜひご一緒に歩んでまいりましょう。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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