| |||
特集:コスト低減のシンボル商品 全農自ら開発・製造する「ジェイエース」特集 |
コスト低減のエースとして期待 JA全農肥料農薬部長 松永公平氏に聞く |
JA全農は、生産コスト低減のためにさまざまな取り組みを展開しているが、農薬分野では共同開発、原体メーカーからの直接購買とともに特許切れ農薬対策に取り組んできている。今年10月31日に大型園芸用殺虫剤アセフェートの特許切れ農薬「ジェイエース粒剤」の農薬登録を取得し、12月から予約注文を開始した(出荷は15年1月下旬ごろ)。そこで、「ジェイエース」上市の意味と今後の展開について、松永公平肥料農薬部長に聞いた。 |
◆低コスト農薬の3つの柱 ――特許切れ(ジェネリック)農薬である「ジェイエース粒剤」の農薬登録が取れ、上市されますが、平成7年から進められている「生産資材費用低減運動」のなかで果たす役割をどのように考えておられますか。
松永 生産資材の費用を低減するために、農薬分野ではJAグループを代表して全農が毎年「価格交渉」をしてきていますが、農薬は特許という厚い壁に守られており、農業サイドの要求が完全には通りにくい環境にあります。このため、次の3つの購買施策を掲げて事業を進めてきています。 ◆特許切れ農薬に市民権を与えるため自ら開発に着手 ――全農は登録制度の改善を求めるなど、特許切れ農薬対策に積極的に取り組まれていますが、なかなか国内では普及しませんね。 松永 医薬では日本でも特許切れ品が一定程度普及し、価格引下げに貢献しています。農薬でも諸外国では特許切れ品が普及し、特許切れ農薬専門メーカーが大きな実績を確保しています。しかし、国内では農薬登録制度の関係から普及が一般的ではないのが現状だといえます。 ◆JAグループ ――「ジェイエース」の普及目標はどれくらいを考えているのでしょうか。 松永 数年のうちには、アセフェート剤シェアの30%を確保したいと考えています。 ――アセフェートの先行剤としては、「オルトラン」があり、家庭園芸用としても使われ知名度が高いわけですが、30%をめざしてどのような普及戦略を考えていますか。 松永 「ジェイエース」とは、JAグループのエースという意味ですから、JAグループのコスト低減のシンボル商品として組織にご理解をいただいて、普及推進していきたいと思います。 ――製剤メーカーの普及推進はないわけですね。 松永 肥料の「アラジン」と同様に、自らの剤として、自ら汗を流して普及していくということです。アラジンの経験を活かして組織のご協力をいただき普及していくつもりです。 ◆「黄門さま」をイメージキャラクターに知名度向上 ――組織の力で普及していくということですね。 松永 もう一つは、知名度を向上させる対策として、広告宣伝に力を入れていきます。組織の力と広告宣伝という2つを軸にしていきたいと考えています。 ――知名度向上としては、具体的にはどのようなことを考えているのでしょうか。 松永 知名度向上のためのイメージキャラクターとして「黄門さま」を採用し、商品パッケージやチラシ・ポスターなどの販促資材に使うなど、これを前面に出して広告宣伝します。先行の「オルトラン」は30年近い歴史もあり、大変に知名度が高いので、組織による推進を側面から支援するという意味で、なじみやすく、すぐ覚えていただけるキャラクターとして「黄門さま」が最適ではないかと思っています。水戸黄門は庶民の味方のイメージがあるので、「ジェイエース」のキャラクターとしてぴったりですね。 ◆水溶剤を登録申請、適用作物も逐次拡大へ ――剤型の拡大や適用作物拡大についてはどう取り組まれていくのでしょうか。 松永 水溶剤について現在、農薬登録を申請しており、近い将来に取得できるものと期待しています。 ――特許切れ農薬の今後について考えを聞かせて下さい。 松永 まずは「ジェイエース」を成功させることに集中します。「ジェイエース」の成功により、先ほどもお話したように、日本の各農薬メーカーが特許切れ農薬に積極的に取り組んでいただくようになればと考えています。
|