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特集:総合力発揮で信頼性を確保―
    リテール分野拡大で飛躍をめざすJAバンク

「JAバンクシステム」スタートから1年
安定経営へ着実な取組み

 全国JA貯金の残高が昨年12月末に初めて75兆円台を記録した。昨年1月にスタートした「JAバンクシステム」を通じて着実に信頼性を確保してきた証しといえる。
 同システムを運営するJAバンク中央本部は、JAなどの経営を定期的にチェック(モニタリング)しているが、昨年4月にJA中央会が設けた「JA全国監査機構」との連携で、経営破たんの未然防止策は実効性を一層高めた。
 またJA合併などを含め全体の財務健全化を図った結果、自己資本比率4%未満のJAはなくなった(昨年8月農水省発表)。貸倒引当金の不良債権に対するJA全体の引当率も42%で全国銀行133行の31.8%より高い。
 昨年は農林中金と信連の統合による事業運営の効率化にも大きく踏み出し、宮城県信連との統合が第一号として10月に実現した。今年3月には岡山、5月には栃木の県信連と統合する。
 このあと秋田、山形、富山、長崎がすでに統合方針を決定し、協議中だ。
 業務一体化のインフラ整備も進んだ。これまでは各県ごとの電算システムだったが、JAバンクは「全国どこでも高度なサービスの提供」に向け、全国統一の「JASTEM」(ジャステム)システムへの移行を進め、今年1月までに11県での稼働となった。
 これによってATM(現金自動預払機)の24時間・365日稼働やインターネットバンキングに対応する全国システムの取扱規模は店舗数で約3300店、ATMで約3800台に広がった。平成18年度には全国で稼働する見込み。
 一昨年にはすでに系統イントラネットが稼働するなどIT(情報技術)戦略を着実に進めている。
 一方、貸出ではリテール(小口金融)を“主戦場”とみて住宅ローンを中心に個人ローンの伸長に力を入れた。JAカードのIC化を進め、新型のカードローン投入やキャッシュカードとクレジットの一体型カード発行などにも取り組んでいる。
 農業融資では一昨年から「手引き」や「ハンドブック」などのツールを次々に発行。担い手対応では昨年12月に農業法人代表との経営レベルの情報交換会を開催するなどした。今後も定期的に開く予定。
 11月には情報ネットワークJAの組合長や担当理事を対象に初めて「JAバンクトップセミナー」を開き、リスクマネジメントと有価証券運用をテーマに情報交流をした。(2003.3.3)


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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