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特集:満足度・利用度No.1をめざして
    挑戦するJA共済事業

ますます高まるJA共済の信頼
3JAに見る優れた推進活動

 平成13年度JA共済優績組合表彰式で「特別優績表彰」を受賞する49JAを代表して登壇し、表彰状を受ける3JAの優れた推進普及活動や体制の特徴を紹介する。3JAの組合長は共通して、厳しい業界の情勢の中で「JA共済に対する組合員・利用者、地域の信頼度はますます高まっている」と力強く語った。そして組合員・利用者の協力に感謝し、LAを柱とする職員の活躍を讃えた。さらに信頼確保へ向けて「努力を重ね」「人と人との絆を強め」「JA共済の使命を再確認していくこと」などをそれぞれに強調した。

JA遠州中央(静岡県)
専門職以外でも恒常推進を担って

山ア春太郎組合長
山ア春太郎組合長

 生保の保有契約高が減り続けている。一昨年までは破たんする社が相次いだ。「そうした姿を見ていると、今後はより意識的に保有純増に取り組まなければならないと思う。
 新契約を伸ばすことも大切だが、解約などで保有を減らさないこと。それがJA共済に対する組合員・利用者の信頼の証だと考える」と山崎春太郎組合長は強調する。
 「生保破たんで保障を削られ、掛け続けた(貯蓄型の)保険料が戻ってこない人もある。そうした中でJA共済の利用者には心からの協力をいただいている。特別優績表彰の受賞も、組合員・利用者のご協力のお陰です」と感謝する。
 また「契約者に万が一の不幸があった場合、JA共済に入っていて本当によかったと喜ぶ姿に接したJA役職員が、だから共済事業を推進するんだという、そうした初心をもって励んできたことも成果の原動力となった。
 だから今後とも初心を忘れず、農協職員としてどうあるべきかという意識改革を絶えず進める必要がある」とも説明した。
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 解約防止対策について友田真琴共済部長は「LAや管理職が出向き、不利にならないようにと懇切に仕組みを説明するなど着実な防止策をとっている」という。過疎地の高齢者が「掛け続けられなくなった」など事情は様々だが、JA共済の優位性やメリットを懇切丁寧に説明する等の努力を重ね、JA共済への一本化への整理を提案するなど、とにかく解約防止率はかなり高い。
 しかし昨年は主産のお茶の晩霜被害や輸入野菜増加などによる農家所得の大幅減少という逆風もあった。
 その中で13年度の推進実績は長期共済の新契約高が2年連続で2000億円の大台を突破。目標を大きく上回った。うち57%が建更、43%が生命系。短期共済も少し伸ばした。
 遠州一円がエリアで、本店は磐田市、支店65。職員数987人のうちLAは81人。推進実績の6割がLA、あと2割ずつは一斉推進と共済クラブ員だ。
 クラブ員は金融係長ら金融渉外職員を中心に、自主的に営農、経済などの職員が加わって計165人。渉外的な業務の職員は、専門職以外でも自主的に恒常推進をするという効率的な制度だ。
 顧客満足度の向上では例えば「既契約1件の家でも年に1、2回はLAが訪問して情報提供や保障提案をしたりしている」と友田部長は話す。
広報誌
 小口契約者宅の訪問はJAが大型化すればするほど消極的になるのが全国的な現状だ。しかし友田部長は「私どものキーワードは『地域密着』だから、それをやる」と胸を張る。
 店舗が地元にある強みで持ち込まれる相談も少なくない。その関係も活かす。民簡保よりも解約・失効が少ないのは、やはり一定の満足度があるからではないだろうかという。
 「それらをアンケートできちんと把握する顧客満足度(CS)調査はできれば年度内にも実施したいと考えている」と友田部長。
 次世代対策も今年度の課題だ。「新しくがん共済もできたので、それと自動車共済を手がかりに若い層の呼び戻しを重点的にやる」と語る。
 すでにLAの訪問では、ねらいを次世代に定め、親や祖父母と入れ代わっての応対をされないようにアプローチしている。
 LAは毎年10人ずつ増やしてきたが、今年度は90人に増員する。

 【JA概要】(13年度末)
▽都市近郊地帯▽組合員(准を含む)4万3923人▽保有契約高2兆2433億円▽新契約高2008億円(1万1943件)▽自動車共済新契約高17億5300万円(40112件)▽JA貯金4283億円▽JA貸付金1177億円▽購買高95億円▽販売高112億円。

JAなごや(愛知県)
人と人との絆でニーズ掘り起こす

梅村光雄組合長
梅村光雄組合長

 建更が大きく伸びた。前年度の長期共済新契約高は1251億円。うち建更が75%を占めた。そこには一昨年9月の東海大豪雨禍の影響がある。また東海大地震発生の予測情報による災害対策への意識の高まりという背景もある。
 「豪雨禍の時は被害者への共済金支払いを早くするためJA職員は本当に寝食を忘れ、JA共済連の応援を得ながら、献身的に査定や手続きを急いだ。その基盤には組合員との心の絆を強めてきた日常活動の積み重ねがある。それが災害時に発揮された。さらにまた前年度の共済推進実績につながったと思う」と梅村光雄組合長は職員を讃えた。
 「JA共済は地元密着の災害対応で救援活動などもする。損保などの手続き姿勢とは違う」とJA共済の優位性も強調した。
 とはいえ名古屋市は大都会。多くの事業分野で競争が激しい。このため「人と人との絆で地域と共存するJA」が経営理念だ。
 職員数は596人。LAは90人だが、特徴的なのは金融などとの複合制だ。
 「組合員は生命と財産をJA共済の保障に委ねてくれる。だからJAとしては安心して利用してもらえる体制を築いてきた。それが推進の成果にもつながっている。だがJAは総合事業だ。一つの事業が安全でも他の事業がだめなら信頼を損なう。職員も総合性を持つ必要がある」というのが組合長の考え方だ。
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 加藤至共済部長は「複合制なら、あとで改めて専任が訪問しなくともすむ。また担当LAが“得意先”家庭のニーズを金融面などからも掘り起こし、提案ができる」と説く。経済事業などにまたがる情報も得意先から得られる。また「職員を育てる観点からも複合制にしている」とのことだ。
 職員の中には得意先係がいて、LAはこれを兼ねる。得意先係には共済、金融などにまたがる推進項目があり、それぞれに目標を立てて活動する。得意先係には5ランクあり、目標を達成すれば上のランクに挑戦して自分を磨く。もちろん励みになるように報奨金が出るし、表彰制度もある。
 原則として一斉推進をしないのも大きな特徴だ。恒常推進が基本で、推進の9割はLAが達成。一人平均11億円(保障金額)の実績だ。人材が育っている。
広報誌
 一斉推進では、成果を望めない家の訪問はやめてしまうが、LA体制なら足しげく通って絆を強め、得意先にしてしまう。恒常推進は絆を強める手立てだ。
 「渉外職員としての意識を定着させるために恒常推進にした。各支店で目標を立て、それを達成するためにLAが恒常推進をどうするかを支店単位で考えている」と加藤部長はいう。
 だから夜間推進もやらない。その代わり本来、全職員でやらなければならない推進をLAにさせているのだから、それをバックアップしなければならないという認識が浸透。うまく協力体制が機能している。
 顧客情報は各支店内、本店と支店間、事業部門間で絶えずLAに提供される。
 建更の比率が高まったので今年は生命系共済の推進に力を入れる。4月の出足は長期全体で年間目標の19%達成と好調だ。次世代のニーズは生命系中心なので壮年層対策と併せて今後アプローチを積極化する。
 解約防止では、解約による新契約は実績にカウントしないなどの対応がある。
 顧客満足度の向上はJA全体の取り組みとして支店の窓口コンクールをしている。審査項目は美化、対応、セールスなどだ。

 【JA概要】
▽都市近郊地帯▽組合員(准を含む)2万2195人▽保有高1兆4752億円▽新契約高1251億円▽自動車共済新契約高8億2000万円(1万6137件)▽JA貯金4890億円▽同貸付金1973億円▽購買高23億円▽販売高9億円▽主な農産物は米、ブロッコリー、ミツバ、ホウレンソウ。

JAグリーン近江(滋賀県)
使命を自覚してバランスよく推進

野田幸雄組合長
野田幸雄組合長

 前年度は年金共済の伸びが目立つ。また養老生命共済や、みどり国民年金の獲得、それに自動車共済の付帯率アップなど、バランスよく成果を挙げた。
 「全国的に解約・失効などで保有高の維持が困難なJAが多い状況の中、保有高が純増に結びついたことはJA職員の意識の持ち方である」と野田幸雄組合長は談話の中で指摘。
 今回の特別優績表彰は「ひとえに職員とLAが目標達成に向け、一体となって取り組んだ結果」と喜びを述べた。
 県下のJAには合計214人のLAがいる。その中でベスト70を全共連の基準で選ぶが、年金共済ではJAグリーン近江から21人が入った。ベスト10では半数を同JAのLAで占めた。また長期共済(10億円以上)では20人がベスト70入りした。
 同JAのLAは43人。その約半数が県下トップクラスというわけだ。LAの活動計画はパソコン(構内端末)に入力、リアルタイムで実績管理をしている。実績低迷で計画と大きくかけ離れた場合は上司との面談で指導を受ける。
 森本長一共済普及課長は優れたLAの特徴を「やはり準備が早い。また年間目標をきちんと週間化し、その達成を積み上げている。しかも前倒し達成を追求して土・日曜日の推進を厭わず足で稼ぐ努力をしている。一方、契約件数がやや少なくても1件当たりが大口のLAもいる」などと話した。
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 全職員数は599人。前年度までは実績の約半分を一斉推進で挙げてきたが、今年度は恒常推進の比率を6割に上げる。今後はLAを1年に2人ずつ増員、50人にする計画だ。
 契約見直しにも力を入れている。その人の保障内容について十分な点検を行い、不十分な保障や、無理な契約の場合はもっとも適切な保障プランを提案する。しかし優良契約の場合は継続を勧める。「そうしてこそ信頼が強まる」と森本課長。
 また「このような保障点検は解約・失効の減少につながり、歩留まり改善で保有純増が増えた」ともいう。
 次世代対策ではターゲットを定め、さまざまな工夫をこらし前年度は養老生命共済を伸ばした。
広報誌
 顧客満足度の向上では共済事業の場合、交通事故の処理で(1)親切(2)正確(3)スピードの3S運動を強化しており、自動車共済の車両と人身傷害保障特約の付帯率が格段に上がった。
 みどり国民年金は県下で58件の加入のうち55件が同JAの成績だ。
 広報活動では一斉推進に合わせて6月号の情報誌に共済の記事を掲載。また職場内の広報でもタイムリーに共済の特集を組み、意識づけを図っている。
 今後について野田組合長は「保険各社が様々な保障をテレビコマーシャルで宣伝する中で、JA共済のよさを組合員だけでなく、地域住民に知っていただき、『安全・安心』で生活できる地域社会づくりを進めていくことがJA共済の使命だ」と使命を強調。
 「時代は大きな転換期に入っている。JA共済は、それぞれの個性を生かすべくLAを中心に育て上げ、新しい時代にふさわしいモデルをつくっていく時期を迎えている」と課題を挙げ、今こそ「JA共済の使命をしっかりと振り返ることが重要だ」と述べた。

 【JA概要】
▽都市近郊地帯▽組合員(准を含む)1万9474人▽保有高1兆947億円▽新契約高822億円(4435件)▽自動車共済新契約高9億1300万円(2万4501件)▽年金共済同5億5693万円(1008件)▽JA貯金1848億円▽同貸付金508億円▽購買高92億円▽販売高122億円▽主な農産物は米、麦、白・黒大豆、畜産。


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