不良債権処理、そして4月1日からのペイオフ解禁などを目前に、庶民の「銀行離れ」も多いといわれ、金融機関の動きもあわただしい。そんな中で「経営破綻のない信用出来る金融機関」として各地のJAバンクが健闘している。広報誌などを通じて自己資本比率や貯金量などの情報公開(ディスクロージャー)なども積極的に行い、「安心・信頼」のJAバンクの優位性を訴えているのが特徴だ。本紙に寄せられたJA広報誌から、各地のJAバンクの元気ぶりをみてみた。
◆不況に負けず営農を
元気をパワーアップ資金で
−JAひろさき(青森県)−
青森県のJAひろさきは、新発売の「パワーアップ資金」の活用をよびかけている。デフレ不況が続く中、融資で元気を出して営農に取り組んでもらおうというもので、「元気が出る!今がチャンス!借り入れ金利は貴方が決める」のキャッチフレーズで、2月1日からスタート。
取扱い期間は16年6月25日まで。使い道は自由なのが魅力。金利は2.5〜5.5%で限度額は300万円まで。返済期間は2年以上10年以内。特産のリンゴ市況も芳しくなく、気分的に重い昨今だが、ここで頑張っていただこうというもの。昨年9月から行っている「JA定期積金セール」(1年以上の定期貯金)の期間は3月29日まで。一昨年から特に懸賞は付けていない。
◆賞品目当て? の契約も
評判上々「スプリング定期」
−JA上伊那(長野県)−
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12億7900万円と昨年より3%増だった
「正月だるま貯金」
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長野県のJA上伊那では、2月1日から始まった県統一の「スプリングキャンペーン」(定期積金)が好調だ。中には「賞品がいいので、それを目当て」?の人もいるくらい賞品も喜ばれているという。
2月1日から4月30日までの期間で、給与振込、定期積金(新規30万円以上)の契約またはマイカーローン新規契約者に「つたえてちょきんぎょ(マグネットクリップ付き録音再生機)」または「ちょきんぎょペアマグカップ」をプレゼントするもの。
同JAは、家内安全を願う「正月だるま貯金」を毎年行い、だるまをプレゼントしているが、年始め1月4日の営業日に行われた今年は、昨年を約3%上回る12億7900万円余が貯金されて好調の出だしとなった。配られただるまも1万個以上。お年玉を貯金する子どもたちには、今年の干支・馬をかたどった貯金箱が贈られ好評だった。
また、マイカーローン、教育ローンはじめ各種利用者に対しても、7月31日までの期間中の入会者には「ちょきんぎょカラフルペン(20色セット)」プレゼント、入会後3カ月以内のカード利用者には利用金額に応じて現金1万円キャッシュバックプレゼントなど多彩なプレゼントを用意。さらに抽選で毎月1000人に「ちょきんぎょガーデニングエプロン」をプレゼントしている。
ペイオフ解禁を目前に、貯金の扱いは今後どうなるのか相談にくる人も増えている。
農村地域が多いだけに、各種団体のお金を預かっている人たちが、預かり金に何かあったら大変だと相談にくる人が多い。そういう人たちには「経営破綻のないJAバンク」の優位性を話し、また、自己資本比率やJAの貯金量などの情報を伝え(ディスクロージャー)安心してもらっているという。
◆他行から移動目立つ
ニュー福祉定期も金利優遇
−JA山形おきたま(山形県)−
山形県のJAおきたまでは、最近、住宅ローンの借り換えが目立ち、すでに8億円に上っている。
就職シーズンに向けて行っている春のキャンペーン「自動車ローン!Car Rorn!」も好評だ。「お得!あなたの夢を応援します!この機会をお見逃しなく!」と、最高500万円までの融資。固定金利2.7%、変動金利2.5%。融資期間は最長7年。
このほか、大型住宅ローンやリフォームローン、購買ローンや生活ローン、教育ローンなどで組合員の生活、営農を応援している。
また、3月1日から「ニュー福祉」定期貯金の取扱いもスタート。「やっぱりJAでよかった!」のキャッチフレーズで、金利は他の金融機関の福祉定期貯金が1%なのに対して1.1%と0.1%高くなっているのが自慢。預け入れ限度は300万円。来年2月末までの1年間。超低金利の中での優遇金利なので、今後が期待されている。
◆7周年で「3つの感謝」
キャンペーン好評で目標達成にも自信
−JA山武郡市(千葉県)−
千葉県のJA山武郡市が2月1日から始めた「まるまる7周年キャンペーン」が好調だ。5月31日までの4カ月間、「おかげさまで7周年!/感謝の気持ちを皆さまに!」のキャッチフレーズで、「1年以上、20万円以上の新規定期貯金契約で特典がいっぱい!」。
内容は、▽感謝その1−抽選権付き定期預金・ファンタジー賞「海のテーマパークチケット」ペアでプレゼント、デリーシャス賞「選べる産地直送うまいもの」プレゼント。▽感謝その2−金利優遇サービス・まるまる7周年にちなみ基準金利+0.07%でお預かり。▽感謝その3−もれなくプレゼント・もれなく「ちょきんぎょ通帳ケース」プレゼント。
JA広報誌はもちろん、新聞折り込みなどでも広く宣伝中。目標は新規30億円。「冬のワクワク定期貯金キャンペーン」では、39億円を超えて目標も突破し好調だった。春はボーナスなどの財源がない時期だが、2月中旬ですでに13億円を超えており、期間半ばで達成の見込みという。
ペイオフ解禁を目前に、各支所でもいろんな相談がきているが、そこは「JAバンク」の優位性を強調し、むしろ他の金融機関からの移動も視野に宣伝していく。
融資部門では、7周年を記念して「応援団ローン」も3月からスタート。文字どおり生活応援融資で、使途は特に限定せず、営農資金が限度額600万円、生活資金が同300万円。30億円の枠を組み、積極的な活用をよびかけている。
◆年間通じて「わくわく」
「ダブルチャンス定期」が好評
−JAわかさ(福井県)−
福井県のJAわかさは、1月21日から「ダブルチャンス定期預金・わくわくチャンス5」がスタートしたが、好評で、目標額はほぼ達成しそうな勢いという。
県の統一キャンペーンだが、期間は4月30日までで、定期積金1口50万円以上、期間3年以上の新規契約で個人。満期給付額50万円ごとに1本の懸賞品抽選権が付く。豪華賞品が準備されており、チャンスは2回(第1回抽選7月、第2回抽選10月)。第1回抽選ではDX賞が越前がに20本をはじめ、A賞・若狭かれい30本、B賞・JA越前たけふ白山すいか50本、C賞・JA花咲ふくい・幸水梨100本、D賞・JAテラル越前たんちょう餅300本など、若狭ならではの特産品が並ぶ。
第2回抽選では、DX賞が13型液晶テレビ10本、A賞・5.1chサラウンドDVDシステム20本、B賞・デジタルカメラ30本、C賞・ホットプレート(たこ焼きプレート付き)40本、D賞・IH調理器クリーンクッカー100本など。抽選時期が夏、秋と2回で、1年中「わくわく」できるし、DX賞が2度当たる可能性もある。
融資で毎年好評なのは「マイカーローン」。今年も5月末までのキャンペーン期間で優遇金利変動2.00%(2月8日現在)。返済期間は6カ月以上最長7年。融資金額は10万円から500万円まで。春に向けて申し込みも多いという。
このほか住宅資金キャンペーンも6月30日まで行っている。新築・土地購入から中古住宅購入、増改築、さらに住宅金融公庫など他の金融機関からの借り換え用になど用途を広くし、50万円から5000万円以内、融資機関は3年以上35年以内。金利は特別金利(金利選択型で3年固定最優遇金利)で1.9%(2月8日現在)となっている。
◆独自のクジが受ける
好調なキャンペーン
−JA越後中央(新潟県)−
新潟県は今、春に向けて「With Youキャンペーン」を統一して実施中(2月1日〜4月30日)だが、JA越後中央は、これと併用しながら、金額も下げ、より貯金しやすくした独自のスピードくじを付けて好評だ。
1月4日からの「貯金始め」でスタートした今年の信用事業だが、正月貯金は好評で、干支貯金箱プレゼントやチビッ子にはお菓子のプレゼント、そして恒例の空くじなしの抽選会も大盛況だった。これに続く「With Youキャンペーン」だが、県のスピードくじ対象は貯金100万円、定期50万円につき抽選券1枚進呈。賞品は、「もれなく贈呈」が給与振込・財形貯蓄・カードローンのいずれかの契約者に「with youフレッシュケアセット」プレゼント。「抽選」では各50人にフットバスセット、折りたたみ自転車、DVDプレイヤーのいずれかを贈呈することになっている。
越後中央は、これに定期貯金(個人、新規、期間1年以上)10万円につき店頭スピードくじ1枚(1人最高10枚まで)、定期積金24万円につき同1枚(1人最高10枚まで)を付け加えた。賞品も、A賞カーペット100本、B賞洗剤セット300本、C賞ボディーソープ・ハンドソープセット600本など。さらに、「はずれ券」でも応募した人の中から抽選で特別賞(現金10万円5本、Nツアー旅行券5万円分10本)が当たるように工夫している。
新規の動きはまだ鈍いが、目前のペイオフ解禁を控えて、満期で他の金融機関に替えたケース、その反対のケースなどもあり、顧客拡大も大きな課題で、新規だけでなく、満期で継続してくれる人も大事にしながら、これからの伸びに期待している。
ペイオフ解禁を前に、いろんな相談もきているが、広報誌などを通じて「経営破綻のないJAバンク」を強調。自己資本比率12.87%はじめ貯金量などディスクロージャー(情報公開)にも力を注いでいる。
◆「卒業旅行定期」が人気
教育ローン「大好き!島根」も
−JAやすぎ(島根県)−
島根県のJAやすぎでは、JAの教育ローン「大好き!島根」が好評だ。県統一のキャンペーンだが、問い合わせも多くあり、新学期に向けて一層の活用を呼びかけている。
昨年11月から始めて今年4月末までのキャンペーン。金利は変動型で2.4〜2.8%、固定型で3.3〜3.7%、最大で年0.4%優遇。融資額は限度500万円。返済は7年以内。
これとは別に、毎年行っている子ども対象の「定期積金でゆく『東京夢紀行』」が受けている。小学生が対象で、卒業時期に満期になるよう組んであり、春休み企画の卒業記念旅行として参加者も多い。大体2泊3日の旅だ。今年の日程は、3月26日からの3日間で、東京・羽田空港からお台場、NHKスタジオパーク、皇居、東京江戸博物館を見学して晴海で1泊。翌日は東京ディズニーランドから東京タワー、車中泊で帰路へ。参加費は5万9800円。JAから随行員も出し、今や恒例の記念旅行としてすっかり定着しているという。