|
JA全国女性組織協議会会長
伊藤さなゑ
|
JA全国女性協が創立50周年の記念大会を迎えられたことに、今ひとしおの思いがこみ上げてまいります。
この50年は、まことにめまぐるしく社会も人も、いろんなものが変わってきました。そしてとりわけこの10年は、想像もつかなかったことが、起こりすぎるほど起きました。
農業分野もその例外ではありませんでした。新たな期待を胸に迎えた新世紀の昨年は、冷凍弁当の輸入をはじめ、BSEやセーフガード問題といった、農家にとって死活問題のできごとが立て続けに起こり、ほんとうに悔しい思いのまま、年を越すことになりました。
ですが、ここでくじけていたら、活路を見出すこともできません。こんな時こそ、私たちができること、女性だから発想できることを実行して行くべきです。私達の仕事、農業は、人の命と直結しています。この「命」にいちばん近い「食と農」を基盤としていることに、自信と誇りをもって活動していけば、必ずや道が開けるものと確信しています。すでに女性協では、今年度後半から来年度の活動の柱として、「地産地消」を核に、「命が優先する社会づくり」に向けた取り組みを打ち出しています。わたしたちが、地域から今の悪い流れを変えて行かなければと思います。
ところで、時代の移り変わりと申しましたが、わが女性組織だけを見ても、全農婦協から女性協へと名称が変わりました。綱領や5原則の中身も改定され、長年親しまれた農協婦人の歌も、テンポのよいJA女性の歌として定着してきました。長い歴史の中でも、常にその時代にあった改革が、これまでもなされてきたと思います。
今、新たな時代、50年の節目を機に、私達の組織も大きく脱皮していくべき時を迎えていると思います。もちろん、社会情勢などの要因もありますが、私達自身で変えていかなければ、この先輩から受け継いできた大切な組織が、衰退の道を進んでしまうことを恐れます。部員の減少や高齢化もその現れの1つですし、参加意識の低下も指摘されています。
そのため昨年、JA女性組織活性化検討委員会を開いて、その方向をまとめていただきました。次の50年を見据えて、今から勇気をもって組織の変革に取り組む時だと思います。
とくに私は、昨年、ソウルで開かれましたICA総会に、全国のフレッシュミズと行動をともにしましたが、その若さと活力に、次代の息吹を感じました。
やはり組織が停滞してきたと感じたら、若い人の声を反映させ、新しいリーダーを育てていくことが、私達世代の責任だと思うのです。
また私達の世代には、まだまだ、それこそJA運営への参画や、地域の中で期待されている役割がたくさんあります。けっしてこの組織活動だけに安住することなく、新たな役割に応えていく気概も必要だと思います。
私達が愛する、このJA女性組織が、これからますます発展をとげていくために、全国の仲間とともに心を1つにして、新たな1歩を踏み出したいと思っているところです。