JACOM ---農業協同組合新聞/トップページへジャンプします

特集:低コストで確かな効果をあげる水稲除草剤

JA全農が「ありがとうキャンペーン」
平成14年12月から15年7月

 低コスト省力化をめざすJAグループ農薬事業の牽引役として、JA全農が初めて農薬登録を取得し、12年12月に発売したMY−100混合剤は、わずか2年で25万haへの普及を実現した。JA全農は、15農薬年度での目標を48万haとし、それを実現するために、この12月から「MY−100ありがとうキャンペーン」を展開する(一部地域では実施しない場合があります)。

◆24万ha超へ普及ほぼ目標を達成――14農薬年度

滴下マンを利用したフロアブル剤の田植同時散布風景
滴下マンを利用したフロアブル剤の田植同時散布風景

 MY-100は、ノビエの発生前から2.5葉期までの処理適期をもち、しかも50日以上の残効がある優れたヒエ剤であると同時に、10アール当りの投下量が4〜8グラムと他のヒエ剤に比べて少ないこと。さらに、土壌吸着力が強いために、地下水や河川への流出が少ないなど、環境に優しい除草剤としても高い評価を得ている。
 現在、上市されているMY-100混合剤は表1の14剤だが、粒剤、フロアブル剤からジャンボ剤、顆粒水和剤などの省力製剤、田植同時処理適用剤、SU抵抗性雑草に対応したクロメプロップ混合剤など品揃えも豊富で、散布方法や散布実態に合わせた薬剤の選択ができることも魅力となっている。
 14農薬年度の実績は、24万3776ヘクタールと目標の25万ヘクタールにはわずかに届かなかったが、前年度実績の2倍以上の伸展をみせた。剤型別にみるとフロアブル剤が全体の49.9%を占め、次いで粒剤28%、ジャンボ剤19.5%となっている。MY-100剤の商品名と取扱会社は(表1)の通り。

◆秋田2万ha超
  福岡の普及率47%

田植同時処理で水稲除草剤の省力化に貢献
田植同時処理で水稲除草剤の省力化に貢献

 都道府県別の普及面積の上位20位までを図1に示したが、秋田県で2万ヘクタールを超えたほか、福岡・新潟・富山・茨城・千葉の各県が1万ヘクタールを超える普及実績をあげた。
 また、水稲作付面積に対するMY-100混合剤の普及率は全国平均で14.3%となった。全国平均を上回る府県を図2に示したが、福岡県が水稲作付面積のほぼ半分に当る47.2%に普及し、富山・石川両県が30%を超えるなど、上市わずか2年で高い普及率を上げていることが注目される。
 こうした結果について、JA全農肥料農薬部の小高根利明農薬課長は「各社が特長ある製品に仕上げ、ほとんどの剤型をそろえることで、各産地・地域の異なるニーズに対応できたこと。低コストで確かな効果をあげてきたことで、JAグループの取扱意欲と製剤メーカーの普及販売努力がうまくかみ合った」ことが大きな要因だと語った。

◆JA-SSでガソリンと引換え
  ――JAブランドへの信頼につなげる

ありがとうキャンペーン

 JA全農では、現在、農薬登録申請中のクロメプロップ入り混合剤3銘柄を加えて「15農薬年度はほぼ倍増の48万ヘクタールへの普及をめざす」(小高根利明課長)ことにしている。
 そのために「短期間での大躍進を支えていただいた農家の方々に直接、感謝のメッセージを伝えるとともに、来年の計画達成の起爆剤」として「MY-100ありがとうキャンペーン」を12月から実施することにした。
 キャンペーンの具体的な内容は、キャンペーン用のシール付製品を販売し、生産者はそのシールを「専用引換用台紙」に貼り付けて、キャンペーンに参加する近隣JA-SSに持っていくと、ガソリンまたは軽油に引き換えてくれるというもの。シールは製品1袋あるいは1本に1枚付いており、シール1枚で100円分のガソリンか軽油と引換えできることになっている。生産者は、1ヘクタールに散布すれば、1000円分のガソリンか軽油を給油できることになるだろう。
 「JA-SSでガソリンとの引換え」にしたことについて、「JAグループ内に還元することで、農薬もガソリンも扱えるJAならではの総合力を発揮」することと、「JAを利用したら良いことがあった」との印象を「多くの農家組合員にもってもらうことができれば“JAブランドの信頼”にも結びつけられるのでは」とJA全農は考えている。つまり、MY-100の利用を通じて、JAの事業「全体をごひいきに」してもらい、JAへの結集を促そうということだ。
 キャンペーン期間は、15農薬年度が始まる14年12月から、田植の遅い地域でも除草剤を購入してガソリンに引換えできる時間的な余裕をみて、15年7月までとなっている。共催はMY-100混合剤を販売する北興化学、クミアイ化学、住化武田農薬、日産化学、日本農薬の5社と、共同開発の相手先であるアベンティスだが、JA燃料部門との連携を密にして、キャンペーン効果を高めていく。

◆キャンペーンをJA結集への絶好の機会に

 14年度の実績を詳細に見ると、MY-100剤の普及率の高い県ほど、水稲一発除草剤の系統シェアが向上している傾向が見られる。今回の「MY-100ありがとうキャンペーン」を、JAへの結集を強める絶好の機会として、JAや連合会のさらなる奮闘が期待される。
 現在、水稲除草剤は有効成分152種、238の製剤があるが、14農薬年度で10万ヘクタールを超える普及面積をもつのはわずか2剤しかない。目標の48万ヘクタールを実現すれば、水稲作付面積の約28%に普及したことになり、水稲除草剤の最有力剤となる。
 農産物価格が低迷するなか、生産コストの低減は生産者にとって、生き残りをかけた大きな課題となっているが、MY-100剤の価格は大きな魅力だといえる。そして、粒剤・フロアブル剤・顆粒剤そして省力散布のジャンボ剤とすべての剤型を揃え、SU抵抗性雑草対応剤や田植同時処理剤もあり、各地域のニーズにあった剤が選択できること。さらに、土壌吸着力が強いので“環境にも優しい”MY-100混合剤は、これからも、確実に生産者に支持・信頼され、さらに大きく伸展していくことは間違いないといえる。



農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
webmaster@jacom.or.jp