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特集:低コストで確かな効果をあげる水稲除草剤

農家と農協のニーズに応えた除草剤として
―現地ルポ・MY-100混合剤の普及推進―
JA秋田おばこ、JA全農あきた

 普及開始からわずか2年で、MY―100混合剤は水稲作付面積の14.3%・24万3776ヘクタールにまで普及した。ヒエ剤として効果が卓越しているだけではなく、安全性、省力化、低コストなど生産者から支持された理由はいくつもある。また、厳しい環境下にあるJAグループ生産資材事業にとって「シェアを奪還するための、”ウチらの剤”」というJA担当者の熱い思いもこの実績を実現した大きな原動力だといえる。なかでも、秋田県は普及面積が2万ヘクタールを超え全国一となった。また、福岡県は水稲作付面積のほぼ半分に普及し普及率全国トップとなった。そこで、JA秋田おばことJA全農あきた、JAふくおか八女とJA全農ふくれんにその取組内容を取材した。現地は「ありがとうキャンペーン」に熱い思いを寄せている。

系統シェアを奪回する「ウチらの剤」

◆全国一の2万ヘクタール超に普及した秋田県

仙北平野/5月
仙北平野/5月

 秋田県は13年春からホームラン粒剤を中心にMY―100混合剤を普及推進し、13年度全国一の普及面積となる8398ヘクタールという実績をあげた。
 実際に使った農家の評価も高く「イケると確信」をもったJA全農あきた(県本部)では、13年11月15日に県内JAの営農担当部課長による「ホームラン推進大会」を開催し、ホームラン(ホームラン粒剤、ミスターホームランフロアブル)の普及目標を1万ケース・普及面積16%と決め取組みを開始した。
仙北平野/8月
仙北平野/8月
 その結果、ホームランの14農薬年度普及推進実績は、10193ケースと目標を突破し、普及面積も予定通りの16%を達成した。その他のMY―100混合剤も加えた普及実績は、2万494ヘクタール(水稲作付面積に対する普及率22.2%)となり、普及面積全国一となった。
 銘柄別にみると、県本部推奨のホームラン粒剤が全体の約61%を占め、次いでミスターホームランフロアブルが約32%、パットフルジャンボが6%強となっている。普及推進実績が大きく伸展している理由について、JA全農あきた生産資材部の畠山健司肥料農薬課長は「JA全農が開発した水稲除草剤であり、系統組織がシェアを奪回するための系統結集剤として、”ウチらの剤”という意識がJAにあるからではないか」と分析する。

◆MY―100中心に防除体系確立し普及推進―JA秋田おばこ

西仙北町強首地区
西仙北町強首地区

 秋田県は北海道に次ぐ水稲作付面積を持つ日本有数の稲作地帯だが、その中でも平成10年に仙北郡内の20JAが合併して誕生したJA秋田おばこは、14年度の水稲作付面積が1万7480ヘクタールと、稲作規模の小さな1県以上の規模を持つJAだ。
 同JAが集荷するコメは8万トンを超え、食味、品質の良さから卸や消費サイドから産地指定を受けるなど評判もよいが、JAでは「秋田おばこ米」のブランドを確立するために、「高品質・良食味米生産システムを導入し、管内全域の成分分析診断にもとづき栽培技術の統一、品質・食味の向上に取り組み、売れる米づくりをめざしている」と同JAの佐々木善一営農部長は語る。
”秋田おばこ米”の紹介パンフ
”秋田おばこ米”の紹介パンフ
 同JAでは毎年、水稲を中心にしながら重点野菜をも含めた「肥料・除草剤のしおり」(A4判32頁+メーカーのチラシ)を作成し、集落座談会などで農家に配布し、説明している。その15年度用をみると、「水稲除草剤体系」として、「粒剤を使用する場合」3体系、フロアブル剤を使用する場合」2体系、「ジャンボ剤・自己拡散型粒剤を使用する場合」について具体的な薬剤名を記載した使用方法や抵抗性雑草対策が解説されているが、それぞれの体系にMY―100混合剤が記載されている。
 MY―100混合剤の普及推進は「農家の水稲除草剤を切り替える時期とタイミングがあったこと。昨年使った農家の評価が良かったこと。そしてJAとして剤を集約したいと考えていた」(佐々木部長)ことなどから大きく伸展。水稲作付面積の約17%、2943.4ヘクタールで使用された。
 銘柄別にみると、ホームラン粒剤が70.6%と圧倒的に多く、次いでミスターホームランフロアブルが22.5%、パットフルジャンボが4.6%、トレディ顆粒と同ワイドを合わせて2%強となっている。

◆1ヘクタールほ場整備でフロアブル剤への切り替えが

田沢湖町神代地区
田沢湖町神代地区

 従来から使われている水稲除草剤から一気に転換することは難しいが、わずか2年で3000ヘクタール近く普及することができた。それは、「ヒエ除草剤として効果が卓越している」ことはもちろんだが、土壌吸着力が強く安全性が高いことと、使用開始時期が早くしかも長期に効果が持続することが、生産者に評価されたからだ。
 現在、同JA管内では、1ヘクタールほ場への整備が進められており、15年度中には完了する予定だという。そうなれば「粒剤からフロアブル剤へ切り替わっていく」だろうと武藤金雄同JA営農部次長兼営農資材課長は予測する。また、一発除草剤の連年施用したほ場に発生する抵抗性雑草「アメリカアゼナ」の拡大が心配されているが、抵抗性アゼナ類に効果がある薬剤であるミスターホームランフロアブルが伸びていく可能性もある。

◆期待される「系統結集型」剤MY―100

コナギ開花期
コナギ開花期

 同JAでは8月に前にふれた「しおり」と予約注文書を農家に配布し、現在その集約をはかっている。
 JA全農あきたは、10月22日に県内JA営農担当部課長会議を開催し「MY―100ありがとうキャンペーン」の説明と15農薬年度の取組目標を決めた。それによるとホームラン2剤に加えて、新たにトレディプラス粒剤を採用した。
 水稲除草剤は250種以上が存在し、米どころ秋田でも多くの薬剤が販売されているが、系統シェアを奪回する「結集型薬剤、品目集約型薬剤」として、MY―100混合剤への期待は、さらに大きくなってきているといえるだろう。



農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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