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特集:JA共済でゆたかで安心な地域社会を |
インタビュー 絆づくり・仲間づくりを基調にして「大競争時代」を勝ち抜く JA共済連 佐野澄雄常務に聞く |
14年度のJA共済は、長期共済新契約が30兆円台を回復し、長期・年金共済とも目標を達成するなど、生保・簡保が苦戦する厳しい環境下であるにもかかわらず着実に成果をあげた。この原動力はどこにあったのか。そして、地域における利用者満足度・利用度No.1をめざす「JA共済3か年計画」の最終年度である今年度の普及推進は何を中心に取り組むのかなどを、佐野澄雄JA共済連常務に聞いた。 |
◆改めて感じたJAの組織力・底力
――14年度は厳しい環境下で、長期共済は5年連続で目標を達成し、また、年金共済、自動車・自賠責共済も前年度を上回る実績をあげられています。この原動力はどこにあるとお考えですか。 佐野 農家・JAを取り巻く環境は厳しかったにもかかわらず目標が達成できたのは、「3か年計画」で掲げております「地域における利用者満足度・利用度No.1」の達成に向けて大きな弾みになる成果であったと思っています。これはまず、長年にわたって築き上げられてきた組合員・利用者との強固な信頼関係があるからだと考えています。さらには、JAの経営基盤なりJA共済の普及基盤を確固たるものにしていくという系統役職員の信念の表れであり、そのために、昼夜を分かたぬ努力をされ、年度末最終日まであきらめずに推進された熱意がこの結果につながったと確信しています。 ◆「大競争時代」の真っ只中―厳しい15年度事業環境 ――15年度のJA共済を取り巻く環境については… 佐野 わが国の経済情勢は、デフレ、不良債権処理、リストラという3つの重石にもがいている状況だと思います。日経平均株価もほぼ21年前の水準まで低下し、まさに閉塞状況の中にあって、一段と深刻化してきていると思います。こうした状況の中で、農業を取り巻く情勢も、農業従事者の減少と高齢化がさらに進展していますし、輸入農産物の増加によって農家所得の減少が続いており、厳しい状況にあります。JAにおいても、部門間の損益格差の拡大が続いていて、黒字部門でも取扱高が伸び悩み、事業経営の安定化に向けた効率化や合理化の追求が緊急の課題になっていると考えています。 ――共済・保険業界についてはどうですか。 佐野 かつての護送船団方式が終焉し、自由化の波が予想以上に進んできています。そのために、従来の市場の棲み分けが崩れ、まさに「大競争時代」の真っ只中に突入しているといえますし、JA共済事業としても、かつてない経営環境にあると考えています。 ◆総合保障提供の重要なインフラ「しあわせ夢くらぶ」 ――そうした中で、15年度の中心的な課題はなんですか。 佐野 「3か年計画」の最終年度となりますが、普及活動においても将来にわたるJA共済の普及基盤を確固たるものにするという意味で、これまで築き上げてきた組合員・利用者との「絆の強化」をはかるとともに、新たな基盤づくりとしてJA共済の「仲間づくり」を着実に進めることを最重要課題として位置づけて展開しています。 ――「しあわせ夢くらぶ」は3月末で618万件フォルダー登録され、今年度中には16年度末の目標である790万件を突破しそうな勢いですね。 佐野 いままでも「共済契約台帳・案内書」という契約管理システムにより、保障提供の一元的管理をはかってきています。「しあわせ夢くらぶ」は、これを一歩進めて機能を拡充したわけです。これは「ひと・いえ・くるま」の総合保障を提供する基盤であり、契約者サービスの向上、大手生保との制度対抗、さらには価格対抗を目的としてスタートしたわけです。具体的には、推進支援のための「プラス割引」、推進支援と契約者保全のための「しあわせ特典」、そして今年度から本格的に実施する契約者保全のための「各種契約事務サービス」という3つの機能を柱にしています。これらの機能を普及推進に活かす方策を講じていきたいと考えています。 ――大手生保の同様な制度に比べて進展が早かったですね。 佐野 加入のスピードは早かったですね。そして計画よりも早めに進展していますが、1件でも多くの登録を実現できるように取り組んでいきたいと思っています。 ――JAの組合員でも生命だけとか、必ずしも「ひと・いえ・くるま」の総合保障を受けていない人がいるようですから、「しあわせ夢くらぶ」の役割は大きいですね。 佐野 JA共済は生・損保兼営ですから、「しあわせ夢くらぶ」は生・損融合型の保障提供ができるJA共済事業の基盤だといえますね。そういう意味で、組合員・利用者に納得していただけるような機能をさらに拡充していくことが重要ではないかと考えています。 ◆次世代ニーズに応えた仕組を前面に出してニューパートナー獲得 ――被共済者数が減少傾向にあり、次世代対策が重要な課題といわれてきましたが「ニューパートナー」獲得の取り組みついては… 佐野 1つは、JAで浸透度の目安となるエリア状況等の把握と分析を行って、効率的・効果的な推進活動を検討し、すべてのJAで納得性の高いニューパートナーズ目標を設定してもらうことです。 ――若い人は農業外で仕事をしている人が多いわけですから、難しい面はあるでしょうね。 佐野 次世代層にニーズがある仕組を前面に出してとっかかりをつかんでいくことだと思います。そういう意味では、自動車共済が掛金面を含めて優位性をもっていて、一般の消費者の方にも理解をしていただいていますから、これを前面に出してJA共済とのつきあいを広げていくことが大事ですね。 ――それが自動車など短期共済の課題といえますか。 佐野 もう少し磨きをかければ、拡大できる可能性は十分あるなと思っています。そして、4月から共栄火災がパートナーになりましたので、損害保障分野で仕組、サービスでの充実が可能になってくると思います。 ◆組合員・利用者の付託に応えることで明日につながる ――生保よりはいいようですが、長期共済の保有契約高が1.2%減少しましたね。 佐野 残念ながら4年連続で長期共済の保有高は減少していますが、生・簡保と比較すればJA共済は確固たる地位を築いているといえます。これは、組合員・利用者の理解があってのことです。こうした付託に応えた事業運営をしていくことが、明日につながっていくことだと思いますね。 ――保有減少の原因はなんでしょうか。 佐野 JA共済は50年の歴史があり、共済市場が成熟化してきています。そういう意味では当たり前のことですが、満期契約が増加していることがありますね。そして、生保と比べれば低いんですけれど、解約契約が増加していることもあります。それから、保障を見直し古い契約を新しい契約に転換するときの転換倍率が低下していることもあります。 ――これへの対応策は… 佐野 なんといっても新契約実績を拡大することです。そして、解約・失効とか転換倍率の低下については、契約保全対策をいっそう周知徹底していくことが大事だと思いますね。窓口での対応の仕方によっては、解約を止められるケースもありますのでね。満期継続対策をどう的確にしていくかについても、検討していかなければいけないと考えています。そういうことを通じて、保有純減を反転したいと考えています。 ――長期共済に占めるLAの実績が49%となりましたが、今後のLA体制の整備、高度化については… 佐野 15年度末にLA2万1000人、LA実績占率54%達成をめざしていきます。一方で、LAの生産性をどう向上していくのかという課題があります。そのために、今年度からラクティブ(LActive)という携帯端末を導入しました。これは今後、LAの生産性を上げる重要なインフラですから、これをベースにしてLAの活動をどれだけ支援できるかだと思います。 ◆一体となって早期目標体制をめざしましょう ――最後にJAのみなさんへのメッセージをお願いします。 佐野 14年度の普及推進につきましては、長期・年金共済の目標達成をはじめ、素晴らしい結果を残すことができました。このことは、系統役職員やLAのみなさまの大変なご努力・ご尽力の賜物であり、心からお礼申し上げます。共済・保険業界は「大競争時代」の真っ只中にあり、JA共済も従来にもまして厳しい環境にありますが、今期3か年計画の最終実現をはかることと、15年度の事業目標の早期達成をめざすために英知を結集し、みなさまと一体となってまい進してまいりたいと考えております。ともに頑張っていきましょう。 ――ありがとうございました。 (2003.5.22) |
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