農業協同組合新聞 JACOM
   
特集:第25回農協人文化賞

改革断行に貴重な示唆

宮田勇 JA全中会長

 このたび、第25回農協人文化賞を受賞された皆様方に、JAグループを代表して、心よりお祝い申し上げます。
 農業協同組合運動の各分野で長年にわたりご尽力されてこられた皆様方の功績が、このたび農協人文化賞の歴史に刻まれることに対し、深く敬意を表する次第です。
 今回受賞されました方々におかれましては、経済、共済、信用事業、および一般文化の各部門での、卓越した指導性と先進的な取り組み、そして、農業協同組合の発展に向けたその献身的な活動が評価されました。
 経済事業部門では、安心・安全な農産物生産と的確なマーケティングにより地元農産物の販売実績を向上させた取り組みが評価されました。
 共済事業部門では、保有契約の増加につながる取り組み等を通じて、組合員の生活保障基盤の確立に大きく貢献されたことが評価されました。
 信用事業部門では、経営改善・組織統合に向けた指導的役割の発揮や信用事業強化に向けた取り組みが評価されました。
 一般文化部門では、それぞれ、女性参画のJAづくりの体制整備、女性の視点からとらえたJAのあり方研究、地域の教育文化の向上への貢献、3つの共生運動の実践等が評価されました。また、今年度は一般文化部門で特別賞が設けられ、農協運動の精神や理念を貫かれた方々が受賞されました。
 わが国農業・農村をめぐる厳しい状況の中で、このたび農協人文化賞を受賞された皆様方がこうした先進的な取り組みに挑戦し、大きな成果を挙げられたことは、JAグループの仲間にとって励ましであり、数多くの貴重な示唆をいただけるものと思っております。
 さて、現在、JAグループでは、10月の第23回JA全国大会をひかえるなか、「『農』と『共生』の世紀づくり」に向けて、積極的な取り組みを展開しているところであります。とりわけ、本大会を「実践する大会」「開かれた大会」と位置づけ、「信頼」「改革」「貢献」をコンセプトに、特に緊急的に取り組む課題である経済事業改革など、組合員や消費者・国民の目に見える改革の断行を実践する大会にしていきたいと思っています。
 また、WTO農業交渉については、本年9月のメキシコでの第5回WTO閣僚会議に向け様々な交渉がすすめられていますが、引き続き、「多様な農業の共存」をめざす日本提案の実現に向け、国民の理解と合意のもと、国をあげた取り組みと、JAグループをあげた強力な運動を行うことが重要であると考えています。また、米改革戦略については、米政策の改革によって、需要に応じて生産目標を設定する方式の採用や計画流通制度の廃止など政策転換が図られ、消費者や実需者重視の必要性が一層強まることが想定されています。こうしたなか、JAとしてどのように地域の水田農業の絵柄を描き、JAグループ自らがどのように取り組みをすすめるのかが極めて重要な課題となり、万全を期していくことが必要であります。
 最後に、これまで農協人文化賞を受賞された方々と今回の受賞者の功績に改めて敬意を表し、本賞の一層のご発展と関係各位のご活躍を祈念して、ご挨拶とします。
(2003.6.3)

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