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特集:第25回農協人文化賞 |
多年にわたる「思索」と「実践」をたたえる 第25回農協人文化賞の推薦経過 4部門 12氏を表彰 農協運動に輝かしい足跡 |
今村奈良臣 推薦委員会委員長(東大名誉教授)
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農協人文化賞は、農協法公布30周年を記念して社団法人農協協会と農業協同組合新聞の共催で制定され、今年は25回という記念すべき年に当たる。昨年まで実に191名が表彰されている。この農協人文化賞の最大の特徴は、ほかの表彰事業とは異なり、その表彰規定の第3条に「本賞は多年にわたり農協の発展に献身的に寄与した『隠れた功績者』に贈る」と明記されているように功成り名遂げた方々に贈るのではなく、いわば縁の下の力持ちに贈るということを特徴とする表彰事業である。 しかし、それは単なる縁の下の力持ちではない。農協運動の第一線で苦闘を繰り返しながら、新しい路線と事業、経営、組織の革新目指してたゆみない思索と実践を重ねてこられた方々に対して贈られるべきものであると考えている。そういう方々の英知と経験の蓄積をいかに農協運動の明日に活かすかというところに農協人文化賞、その中でも一般文化部門の表彰にはかけがえのない価値があるものと考えている。 第23回JA全国大会を目前に控えた現在、JA改革は正念場を迎えている。新しい世紀の農協の再生と創造に向けてその全エネルギーを傾注しなければならない状況にある。本表彰事業の選考に当たってはこうした課題に応えるべく選考委員会ではかつてない長時間にわたる厳正な討議のうえで、次の各氏を推薦することに決定した。 まず、本年度は25周年という記念すべき年であるという事情も含めてお二方に特別賞を贈ることとした。故三輪昌男氏と小久保武夫氏である。 三輪昌男氏を知らない農協人はいないと思うが、國學院大学名誉教授であり、長年にわたり農協問題、農業金融問題さらには農協共済など農協の事業、経営、組織の諸問題について広く研究されるにとどまらず、現場での指導にも当たられた碩学であるが惜しくも本年2月16日に永眠された。 小久保武夫氏は滋賀県農協中央会から昭和32年に全共連に移られ、さらに全共連参事、常務理事を務めるなかで、現在の農協共済事業の確固たる基盤を作られ、ついで全中常務理事・中央協同組合学園長として後進の教育に当たられ多大な功績を残された。次に一般文化部門に推薦された方々は次の4氏である。(五十音順) 長野県北信州みゆき農協代表理事組合長・石田正人氏、(株)農林中金総合研究所副主任研究員・根岸久子氏、鹿児島県信用農協連元常務理事・八幡政則氏、神奈川県秦野市農協代表理事組合長・松下雅雄氏、いずれも農協運動にとってそれぞれの置かれた立場で並はずれた優れた活動をされた方々であるが簡潔に紹介したい。 石田氏は長野県北の豪雪地の自然を生かし菌茸、野菜を中心とした地域農業振興をはかり、地域農業の司令塔に農協を作り上げられた。 根岸氏は農協の生活活動の実態を深く研究するとともに農村における女性の地位向上、食農教育の重要性などをきわめて多面的な研究活動を通じて農協運動に寄与された。 八幡氏は農協の経営破綻事件に対し救済支援ネットワークを作られるなど実務の功績のみならず地域の教育文化の向上に多大の貢献をされた。 松下氏は都市近郊にあって立地を生かした地域農業振興、都市・農村交流など文化活動、男女共同参画と高齢者事業への取り組みなど多面的活動の先頭を切ってこられた。 第23回JA全国大会を目前に控え、白熱した組織討議を行い、自らのJAの改革路線を明確にするうえでも、今年度表彰された先輩諸氏の英知と一身を挺した実践の足跡に学ぶことが不可欠であると確信して、推薦委員長としての推薦の言葉に代えたい。 (2003.6.4)
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