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特集:安全・安心で環境にやさしい畜産事業を ――JA全農畜産事業15年度の取組み年 |
畜産総合対策部 目前に迫る「家畜排せつ法」 本格施行へグループの総力を |
◆畜産全農家対象に点検・整備運動
とくに、16年11月1日以降の「家畜排せつ法」(一定規模以上の生産者の家畜ふん尿処理について、野積み・素堀りを禁止)の完全実施まで残すところ1年余となり、畜産農家の環境整備はきわめて緊急な課題となっている。この畜産環境対策は、畜産事業の継続、畜産生産基盤の根幹に関わることであり、JAグループの総力をあげて取り組んでいく必要がある。 同法が施行された直後の平成12年に野積み・素掘り解消目標戸数は2万9100戸だったが、その後、各都道府県が整備目標を掲げて取り組んできた実績は14年度末で1万4300戸と、着実に野積み・素掘りは解消されいるようではあるが、その一方では、「簡易対応で最終年度にやる」という声や、系統に多く結集する中小規模農家では、多額な施設投資の必要性や処理コストアップなどから、経営継続に不安があるなど、16年11月の目標達成に向けての課題も多いといえる。 このため、JA全農はJA全中と連携して系統畜産農家全戸を対象に「ふん尿処理に関する緊急全国畜産農家個別点検・整備運動」を実施し、畜種ごと(牛・豚・鶏・馬)に所定の個別点検シートを配布し、現在その回収に取り組んでいる。全農では、この点検運動を通じて得られたデータをもとに、具体的な処理方法を提案し、整備運動を展開していくことにしている。 ◆畜種・規模・緊急度に応じて具体策を提案 点検シートの主な内容は、基本事項の調査、飼養状況の調査、ふん尿処理施設の有無と今後の設置計画および整備状況の緊急度、コンサルテーションの要望などとなっており、ふん尿処理施設の現状が判断できるようになっている。 この個別点検シートの集約結果を分析し、畜種・規模・緊急度に応じた施設整備の方法を提案していくが、それは、個別処理、地域や経営規模により共同処理や広域処理に区分して提案される。 環境対策施設整備に当たっては、「JA全農推奨型・環境対策施設資材」を活用した施設整備を提案することにしており、各処理方法については次のとおり。 個別処理は、畜産農家が広範囲に散在する地域での環境対策で、個々の農家が処理コストの圧縮や地域に適合した簡易な処理方式を選択して、施設設置に取り組むことになる。 共同処理は、畜産農家が密集する地域で、中小規模農家が結集して共同で処理を行う方式だ。この方式は、膨大な情報をもとに経営規模別のふん尿処理コストを試算した結果、小規模な個別処理よりもスケールメリットが享受でき低コスト化がはかれることが分かっている。さらに、個々の農家のコスト負担とふん尿処理にかかる作業を短縮できるので、本来の畜産生産に専念でき生産性の向上と経営の安定化が期待できる。 ◆バイオマス・ニッポン 総合戦略とも連携して 広域処理については、堆肥の発生に比較して耕地面積が不足している地域、都市化によって堆肥の負荷が高い地域など、堆肥の需要には地域間のアンバランスがあること。また、堆肥の広域需給調整には、輸送コスト、施用時期、耕種農家の散布労働力不足などの問題があり、実際には困難な状況にある。このため、国が進める「バイオマス・ニッポン総合戦略」と連携し、畜産密集地域などで過剰に発生するふん尿・堆肥を化石燃料の代替エネルギーとして利活用する家畜糞固形物のバイオエネルギー利用型システムの設置・検討など、新事業システムを提案し、そうした共同処理にも取り組んでいく。 小規模農家の個別処理施設は、短期間で設置が可能なので、取り組みが可能な農家から実施することにしている。中・大規模農家の個別処理や共同・広域処理の設備整備は一定の期間が必要となるので、農家・行政・JAや関係機関での協議を早急に進める必要があると考えている。 なお、施設整備にあたっては、全農畜産施設サービス(株)と「JA全農推奨型畜産環境対策施設資材会社」で構成する、(1)堆肥処理チーム、(2)汚水処理チーム、(3)臭気対策チーム(環境対策チーム)を必要に応じて農家に派遣し、助言・指導を行っていくことにしている。
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