農業協同組合新聞 JACOM
   
特集:米改革

産地づくり交付金 地域のビジョンが決め手
―米改革の具体策予算―
構造改革の加速化で担い手確保と育成へ


 農水省は今回の米改革について(1)主体的で効果的な需給調整、(2)構造改革の加速化による担い手の育成確保、(3)市場重視の売れる米づくり、を基本的な考え方として予算編成する方針だ。
 具体策は(1)水田農業構造改革対策(産地づくり対策と稲作所得基盤確保対策)、(2)担い手経営安定対策、(3)集荷円滑化対策の3つの柱からなる。
なお、交付対象は原則として実際に耕作を行うものとしたのが今回の改革の特徴だ。

産地づくり対策

 国が一定の基準で算定し交付金を県段階に交付。助成金の使い道や水準は国のガイドラインの範囲内で地域で決めるのが特徴だ。
 あらかじめ交付される交付金の予算額は、麦・大豆・飼料作物では担い手加算を含め10アール5万円が算定単価。実績払いの重点作物特別対策の助成単価10アール1万3000円を合わせ、現行の10アール6万3000円水準は確保した。ただし、これはあくまで算定単価。県への2階部分の交付額は「担い手」の割合によって決まる。これまでの団地化した面積に対する加算額とは必ずしも同じではない。
 交付金部分では地域で作物ごとの助成水準を決めることになっており、例えば、そばを振興したい場合は、「麦・大豆・飼料作物」を「そば・大豆・飼料作物」と入れ替えて、そばの単価を上げることも可能だ。

◆重点作物特別対策

 担い手を対象にした麦大豆の品質向上対策と耕畜連携推進対策について実績払いで加算されるもの。担い手要件は、認定農業者、特定農業団体、一定の要件を満たす作業受託組織や営農集団としている。
 一定の要件とは法人化の計画があるなど担い手への育成が見込まれることとしており、任意組織でもこの要件を満たせば対象となる。

◆畑地化推進

 12年から15年度に水稲作付けが行われた農地が対象。麦・大豆を含む畑作輪作計画を作成することが必要で面積は30〜50ヘクタールが要件。放牧地化の場合は10ヘクタール規模。
 けい畦の除去などを行い永久畑地化されたことが確認されたのちに国が10アール8万円を助成する。助成は1回。また、地域の拠出などにより国の助成額と同額以上の上乗せ交付も必要とされている。畑地化推進への取り組みは、現実には北海道の水田が対象になると見られている。

◆特別調整促進加算

 いわゆる生産調整の超過達成に対する上乗せ助成として決まった。ただ、国のガイドラインでは地域特例作物の振興(麦・大豆・飼料作物以外)の作付けなども含まれる。
 ガイドラインでは(1)たとえば目標の一割以上の生産調整超過達成に対する助成、(2)そのほか意欲的な生産調整の取り組みとして知事が定めるもの(地域特例作物の振興など)となっている。

稲作所得基盤確保対策

 加入した生産者への米価下落に対する補てん制度。固定部分は60kg300円、変動部分は基準価格との差額の5割を補てん。固定部分は全額国費、変動部分は国と生産者が1対1で負担する。固定部分の支払いがあるため、基準価格を上回って補てんされることもある。
 また、地域の実情に応じて一定の範囲で拠出割合など基本設計の変更もできる。基準価格は直近3年平均価格。

担い手経営安定対策

 担い手に対し、稲作所得基盤確保対策に上乗せするかたちで、直近3年平均の稲作収入との差額の9割を補てんする対策。拠出割合は生産者1対国3。
 加入対象者の要件は認定農業者と集落営農のうちで一元的に経理を行い5年以内に法人化する計画など要件を満たすもの。面積要件は認定農業者では北海道が10ヘクタール、都府県が4ヘクタール。集落営農は20ヘクタール。
 ただし、知事特認として物理的制約から規模拡大が困難な地域に限定し、基本原則のおおむね8割まで面積要件を引き下げることが可能になっている。中山間地域の集落営農は5割まで緩和可能。
 また、農地利用に制約がある地域で水田面積が少なくても有機栽培や複合経営で相当水準の所得を確保している経営などについても知事特認として加入対象にできる。

集荷円滑化対策

 豊作による過剰米の区分出荷の支援措置。過剰米に区分出荷に対し、60kg3000円の融資が行われる。
 そのほか生産者からの拠出金から同3000円と保管料助成同1000円、集荷奨励金同1000円が支払われる。区分集荷した米を主食用以外で販売した場合は融資を返済するが、返済できない場合は米の引き渡しによる返済も可能。JAなどの集荷団体は主食用とは別に保管する。融資は米穀安定供給機構が行う。

米政策改革の予算の全体像
(2003.8.13)

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