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特集:決意新たに。経済事業改革のめざすこと |
インタビュー 生活クラブ事業連合 生活協同組合連合会専務理事 |
◆食生活と国内生産に ――現在「第3次中期計画」を進められていますがその柱はなんでしょうか。
加藤 生活クラブ生協では、組合員の食生活に占める重要性と、国内生産に占める位置の重要性から、豚・牛・鶏肉、米、牛乳、鶏卵に青果物を加え主要品目と位置づけています。率直に申し上げて、90年代の私どもの事業は低迷していました。そこでこの主要品目をテコにして共同購入を再構築をしたいということがポイントです。具体的には、青果物を除いた主要品目で全体の供給高の40%を占めるようにしたいということですが、これはかなり高い目標です。それに近づけるために品目ごとの「組合員の利用人員率」を高めていこうとしています。 ◆「食」と「環境」問題 質が変わり深刻化した ――主要品目を取り巻く状況はかなり厳しいものがあると思いますが… 加藤 私は1996年ごろから、問題の質が変わり深刻化したという印象をもっています。前年にWTOが発足していますが、第1次BSEショックが起こりましたし、遺伝子組み換え食品(GMO)の認可がされました。全酪連の水増し牛乳事件とかO157も問題になりました。それ以前の消費者運動で問題にしていたのは、残留農薬とか食品添加物でしたが、このころを境にして「食」「環境」問題は複雑化・高度化・国際化して、水準が変わりました。 ――全農グループの利用が増えていますが、その対抗力を強めるためですか? 加藤 全農さんは私どもと比べられない大組織ですが、全農グループとの提携を強めてきている問題意識は、質が変わった問題に対して有効に対抗力を発揮するためには、全農の持っている仕組みや機能とか、全農に集っている生産者の力を私ども流に使わせていただこうということです。これは一挙にできたわけではなく、一つひとつのテーマを積み重ねてきた結果としてみたら提携が深まってきたということです。 ◆全農も加わった「鶏肉点検協議会」で今後のルールを確立 ――早くから鶏肉での提携もされていましたが、全農チキンフーズの偽装問題では、大変な議論があったと聞いていますが…。 加藤 私どもと全農チキンフーズとの提携に直接偽装問題が発生したということではありませんでしたが、全農グループの主要な子会社が起こした問題だということで、蜂の巣を突いたような大騒ぎになり、全農に対してかなり手厳しい文書を出さざるをえませんでした。 ――全農チキンフーズや全農も加わった「生活クラブ鶏肉事業点検協議会」をつくられましたね。 加藤 「はりま」の事業でこうした問題を起こさないために、全農チキンフーズの体質が改善されていくことを目的にした協議会を設置しようということでつくりました。ここには、食べる側の生協組合員が参加し、原々種の維持と原種雛の供給をする兵庫の牧場から「はりま」が組合員の口に入るまでの全国のポイントを歩き、自分の目と耳と五感で問題がないことを確認する作業を、徹底した情報公開の下でやりました。生活クラブ流のトレーサビリティをやらせていただいたわけです。 ――そのことが、全農や全農チキンフーズとも確認できたということですね。 加藤 全農チキンフーズでは生産から販売まで一貫した体制を組み立て、主体的に事業管理できる体制をつくりあげることが報告されましたし、全農も消費者・生産者の信頼を取り戻すために子会社を含む全農グループの体質改善と役職員の意識改革を行うことを確認しました。 ――そのことで信頼関係が深まったわけですか。 加藤 他の品目を含めて重要なモデルを全農さんの協力も得てつくることができました。そして情報公開も含めて消費者とともにありたいという全農グループの誠意も伝わり、私どもの組合員が全農を理解し相互理解が深まる重要なステップになりました。この協議会をやらせていただいて非常に良かったですね。 ◆食べることを主体的にコントロールするために――国産種へのこだわり ――「はりま」もそうですが鶏卵でも国産鶏種にこだわっておられますが、それはなぜですか。 加藤 遺伝子組み換えもそうですが、食べる側が自覚しなければいけないことは、「安全・安心」もありますが、食べ物が外国資本に支配されていいのかということです。食べることを主体的にコントロールするためには、種については自分たちが分かり、可能であれば種の改良について参画できコントロールできることが、国産とか自給とかいうのであれば望ましいわけです。そういう仕組みを全農の力も借りてつくっていきたいと考えています。 ――全農営農・技術センターも加わった野菜の「種子と農法推進会議」もそういう考え方で始められたわけですね。 加藤 私たち単独ではできませんから、全農のバックアップをえて、一つひとつ自前の種を選定し、生産者にも理解してもらい、それを食べる。そしてそれを全農首都圏青果センターの機能で、私たちだけではなく他の人たちにも食べてもらえるブランド的なものに仕上がっていけばいいなと考えています。 ――一般にもオープンにする… 加藤 全農と提携するのは、クローズにしないという意味です。むしろ一般化したいですね。 ◆地域の機能を維持する人たちの人情を含めて食べ続けたい… ――最後に、これからJAグループや生産者へ望むことはなんでしょうか。 加藤 国産の1次産品を維持し食べ続けたいと私たちは思っています。それは単にモノとして食卓に上がるということだけではありません。そこに住み暮らす人たちが、景観とか自然環境を含むその地域の機能を維持してこその国産1次産品であり、それをつくる人たちの人情を含めて食べ続けたい。安全・安心はその次の問題だと思いますね。そのことは重い課題ですが、食べる側としては期待したいですね。 |
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