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今、経済事業改革という強い風が吹いていますが、「営農」の役割についても改めて問われているのだとうけとめています。この風を追い風にすることがわれわれの役割だと考えています。
「営農」には今、新旧含めて5つの風が吹いていると思っています。それは(1)安全・安心な農産物づくり、(2)生産から流通まで大きく変わる米政策改革、(3)農家層の変化と法人化への流れ、(4)IT化の浸透と定着、そしてまったく新しい風ですが(5)バイオマスへの取り組みです。
具体的には(1)の安全・安心な農産物づくりについては、全中とも連携した生産履歴記帳運動の取り組みです。
この取り組みは、適正な農薬使用など安全・安心な農産物づくりの徹底をめざすものですが、さらに全農の事業としては、この運動にともなってJAの農薬、肥料の取り扱いの強化や消費者に支持される農産物として実際に販売事業に結びつける展開も必要だと考えています。
この運動の支援策として、7月に生産履歴をデータベース化するシステムソフトを全中と共同で開発しました。このソフトは、生産者の手書き記録もOCRで読み込みデータ化することが可能で、生産資材の利用向上だけでなく生産履歴情報の開示にも役立つと考えています。
また、営農・技術センターでの残留農薬検査体制も施設、分析器、要員ともに7月に拡充、従来の1.5倍の検査量が可能になりました。残留農薬検査は8JAや県連・県本部(16県連・県本部)でも取り組んでおり同センターはそれらと連携し技術レベルの向上と普及のため毎年研究会を開催するなど産地をバックアップしています。
(2)の米政策改革では、改めて(1) 省力化・コスト削減、(2)おいしい売れる米づくりが進むでしょう。(1)では直播方式が見直されていますが、これは省力化や農作業の平準化もありますが、登熟期を遅らせ、高温障害を避けることで良質な米づくりにもつながります。また(2)では「ケイ酸」の必要性が唱えられています。「土づくり運動」も今ではすっかり下火になっていますが、いもちなど病害にも強く、タンパク質の削減によるおいしい米づくりにつながる「土づくり」の大切さを認識してもらうことも必要でしょう。
(3)の法人化対策では、担い手対応室がJAの対応を支援していますが、この取り組みのモデルJA数は昨年度の7JAから19JAに増えました。モデルJAには大規模農家・法人対応の専任チームを設置してもらうほか、大規模農家の法人化支援やJA出資法人の設立も進め、法人とのパートナーシップを築いて事業展開を図る方向を支援しています。
(4)のIT化については、営農技術と生産資材情報を提供する「アピネス/アグリインフォ」のコンテンツをより農家が利用しやすい内容の追加なども検討していくほか、携帯電話を使った農家との新たなネットワークシステム「JA営農サポートシステム」の普及にも取り組んでいきます。
(5)のバイオマス対策は昨年末に政府全体として推進することが決まった政策でもあり農業分野がその中心を担うものと捉えています。その意味では、JAグループとしても取り組む意義があると考えています。現在全農では「検討プロジェクト」を立ち上げて、今後の取り組みの検討を始めました。農業由来のバイオマス対策として有効活用できると考えています。 (2003.8.27)