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特集:カントリーエレベーター品質事故防止強化月間 (9月1日〜10月31日) |
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◆ドイツまで行って確認し冷却装置を導入
新潟県のほぼ中央に位置し「越後のへそ」とも呼ばれている南蒲原地域に、JAにいがた南蒲はある。 JAには現在、カントリーエレベーター(CE)が5基ある。今回紹介するのは、火力を使わない自然乾燥方式(DAG方式)に冷却装置をつけ低温で籾を貯蔵する「いちいCE」(栄町)。同CEは平成9年に竣工されたが、そのときには冷却装置はなく、3年後の12年にこの装置が導入されている。 冷却装置導入の経過と理由について、旧JAいちい(栄町)出身の小川政範JAにいがた南蒲組合長はこう話す。
DAG方式は自然に乾燥させるので、ある一定期間をおいてから籾摺りしないと結露してしまう危険がある。ところが、平成9年に「新米ができたらすぐにでも欲しい」という農家の心情に負けて早めに籾摺りをして渡してしまった。そのために、カビが発生し、臭いがついたり、洗うと黒くなるなどの苦情が出た。そのときは米を交換して収めたが、今後、JAとしてどういう対策をとるかということが大きな課題となったが、有効な対策なかった。 そんなときに、かつて雑誌で読んだ「穀物でも野菜でも収穫後に冷却すると休眠し、採れたての状態が持続できる」という話を思い出す。そして、ドイツの穀物大学に留学した経験のある人から「穀物は1粒づつ温度が異なり、温度が低いものが高いものから温度を吸収し、そのときに穀物が傷む」。ドイツでは小麦を冷却、休眠して保存することで品質を維持している。
導入に際しては県の助成を受けたが経済的な負担は当然かかる。 しかし「こういう米をこうやって作って欲しいと生産者にいう以上、JAが何もせずにいるわけにはいかない。そして、組合員から預かった米をいい状態で保管するのはJAの責任だ。そのためにはこの装置が適している」という判断だった。 ◆籾を冷却し休眠させることで食味と品質を保持
冷却することでの効果は、CEの運営面では1次乾燥工程でクーリングパスが不要となり、乾燥パスを減らすことができる。また、電気代など経費が節減できる。さらに低温で貯蔵するので害虫の活動を抑え安全・安心に貯蔵できることなどがあげられる。 と同時に、品質面でも大きな効果がある。籾は生き物であり、生命を維持するために呼吸していて、栄養分を消耗し炭酸ガスと水と熱を出している。呼吸量が多いと自己発熱が大きくなり品質事故につながる。そこまでいかなくても、栄養分が消耗され籾がやせ食味が低下するという「呼吸損失」を起こす。冷却することで籾を休眠させ、呼吸損失を少なくすることで品質を保持できることが、この装置の大きなメリットだといえよう。 従来通りの方式で乾燥させ籾摺りして低温倉庫で保管した米と冷却したものとを比べると、冷却したものは1000トン当たりの呼吸損失量が約5トン少ないというデータもある。 いちいCEの職員さんによると、冷却装置がないときには3ヶ月くらい経つと籾がやせたけれど、いまはやせることがなく「コロっとしている」という。食味は新米時にはあまり差が感じられないだろうが、時間が経てばかなりの差が感じられるだろう。 ◆荷受け能力がアップし利用率が95%に いちいCEの14年利用状況をみると、利用面積は385ha(農家数375戸)で、その87%強がコシヒカリだ。荷受生籾重量は3105トンで、これを18日間(実荷受日数)で荷受けしている。1日平均172トンにもなる。コシヒカリが90%近くを占め兼業農家も多いので、実際は1週間くらいの間に一挙に荷受けしなければならい。しかもこの地域は秋の湿度が高い。雨でも降れば風洞の入口付近の湿度は90%程度にまで上がってしまう。CE品質事故原因としてよく見られる「過剰荷受けによる事故」の危険性は高い。冷却装置を導入する前は調整日を設けるなどして事故を防いできた。 ◆機械の特性を理解し、米をみて的確に判断 いちいCEの米袋には赤い文字で「冷却貯蔵米」と印刷されブランド化されて販売されている。前述のように玄米歩留まりもいいが、「精米歩留まり」もよく、食味もいいと卸や消費地で好評を得ている。JAでは最終的に5つのCEにこの装置を導入したいと考え、今年1ヶ所に導入することを決めている。 |
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