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特集:カントリーエレベーター品質事故防止強化月間特集 (9月1日〜10月31日) |
河合 利光 (財)農業倉庫受寄物損害補償基金理事長に聞く |
◆業務用でも厳しくなる品質管理 ――河合理事長は、全農パールライス東日本の専務をされておられましたが、消費サイドからみた最近の米の状況についてどうみておられますか。
河合 全国でも有数の生協とか大手量販店や食品スーパー、そしてCVSのおにぎりとか弁当などの業務用など取引先は多岐にわたっていました。例えばCVSのおにぎりや弁当用の米でも、品質が大変に厳しくチェックされるなど、消費サイドは大きく変わってきています。しかも、年間を通して安定して供給することが求められます。 ◆品質事故を防ぐのは経営者の姿勢 ――そういう意味では、CEや農業倉庫など米を保管・貯蔵する施設も同じですね。 河合 CEで事故を起こさないためには、過剰荷受をしないことです。そして過剰荷受をしないためには、早稲・中生・晩生ごとの品種をできるだけ単一にするとか、どういう品種が適しているのかとか、CEを利用する地域全体の作付体系・稲作体系をしっかりつくることが一番大事だといえます。 ――JAの経営者のそうした認識がないと事故が起きる… 河合 経営者の理解がないと、農倉基金の経験からみても、事故が起きる可能性は高いですね。 ◆明確な区分管理と情報公開で心のこもった仕事を ――先ほどDNA鑑定の話がありましたが、違った米の混入もこれからは大きな問題になりますね。 河合 生協との仕事をしていると、生協との約束である減農薬とか減化学肥料米を生産者は一所懸命作っているわけですが、JAの役職員が意外とそのことに無関心なケースがありますね。だから、流通する段階で慣行のものと一緒にしてしまったりしているところがあります。 ◆厳しい姿勢で保管・検査をしなければ売れなくなる ――国の制度が変わり、「国の保管管理要領」が廃止され自主管理になりますし、検査も民営化されますが、そうしたなかでこれからの品質管理はどうあるべきだとお考えですか。 河合 CEはほとんど民間検査ですから、検査が民営化されたからといって検査そのものが変わることはないと思います。しかし、JA自身が厳しく検査をする必要はあるでしょうね。精米工場は受けるときにデータを全部取りますから、JAが甘い検査をすれば「あなたのところの米はこういう品質だから、もういらない」といわれるだけですからね。 ――国の保管管理要領がなくなることはどうですか。 河合 それも検査と同じで、自らやるしかないわけです。いいかげんな保管をしているところの米を欲しいという人などいるわけがないわけですから…。 ◆専門技術者が 全CEを巡回指導 ――それを徹底するために基金として指導事業に力をいれているわけですね。 河合 そうです。経営者や管理者を対象にした研修会や巡回指導を実施しています。 ――巡回指導は具体的にどのようにやっているのでしょうか。 河合 13年9月に制定した「CE品質事故防止の指導体制強化について」に基づいて、経済連・全農県本部と打ち合わせをおこないながら、農倉基金の技術者4名が、全国にある764のCEすべてを巡回しています。13年11月から巡回を始めて今年の7月末までにすでに、30経済連・県本部の199JA500CEを回りました。 ――巡回の費用はどうしているのですか。 河合 とりあえず、全施設を一巡するまでは、当基金の指導事業の一環として巡回するという考え方で、経費等は基金負担で行っています。 ――最近はCEでの事故が起きてますか。 河合 14年産米では、いまのところ1件も起きていません。 ――巡回指導で日本列島に緊張感が走っているのではないですか…。 河合 CEについて専門知識をもった技術者が、第3者としてきちんと指摘していますから、効果があるのではないでしょうか。 ――先ほどもお話がありましたが、経営者が先頭に立って仕事をするということですね。 河合 例えば雨が降りそうだから早く刈ってしまえといって水分の高い籾を荷受すれば、事故につながる可能性が高いわけですからそういうことはしてはいけないわけです。水分と乾燥能力に合わせた荷受計画を立て、そのことを組合長がきちんと理解をして、水分の高い籾を持ち込むと乾燥能力が落ち、荷受量も減るということを組合員に説明し徹底しなければいけないと思います。 ――作付品種が多かったり、栽培方法がいろいろだと、CEでの荷受計画も難しいのではないですか。 河合 例えば、全農安心システム米のように、量が少ないものはCEではなくライスセンターで処理するとか工夫は必要ですね。 ◆保管管理履歴などの指導事業に力をいれる ――最後になりましたが、理事長に就任された抱負を一言お願いします。 河合 農倉基金は、みなさんからの基金で運営されているわけですが、長期低金利時代ですので安全な資金運営をしていきます。 ――ありがとうございました。 (2003.9.3) |
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