農業協同組合新聞 JACOM
 
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特集:米穀事業改革 売れるコメづくりをめざして

JA全農の米消費拡大事業
「パールライスおにぎり亭」がJAビルにオープン
店頭精米と手づくりが基本

 8月26日、東京・大手町のJAビルの地下にJA全農のおにぎり店舗「パールライスおにぎり亭」がオープンした。おにぎり店としては2店舗め。今後も店舗を増やす予定だ。そのほか国産農畜産物を使った「全農ぴゅあ弁当」のメニュー拡大やコメのエキス「ライスパワー」を使った新規商品の販売など、多彩な米消費拡大事業を展開している。ここではこうしたJA全農米穀総合対策部事業開発グループの取り組みを紹介する。

おにぎり店舗事業 開発グループが運営 ごはん食への理解広める

おにぎり亭店舗
 おにぎり店舗の第1号店は今年3月に埼玉県所沢市にオープンしたAコープ所沢店にある「おにぎり工房純米亭」だ。
 Aコープ店内の一角に約10人分のイス、テーブルを用意し店内でもゆっくりおにぎりを食べられるスペースになっている。定番メニューは鮭、梅、明太子、ごま昆布、高菜、納豆、天むすなど。価格は1個100円から180円と手ごろだ。
 ごはんは毎日、店頭で精米し、
店舗精米コーナー
店舗精米コーナー
おにぎりは手で丁寧に握ってつくるのが事業開発グループが取り組むおにぎり店の基本。また、米はコシヒカリを中心とした米を使い、おいしいおにぎりを提供していく方針だ。
 一方、8月に東京・大手町のJAビルにオープンした2号店「パールライスおにぎり亭」は、テイクアウト専門店だが、店頭精米で炊飯して手作りおにぎりの提供という基本は変わらず、営業時間も朝8時から夕方6時までの営業。価格帯は1個120円から180円で所沢店と同じく梅、昆布、鮭など基本をメニューを中心に約10種類のメニューをそろえた。

◆精米販売もスタート 来年度は3店出店

 オ
店舗に並ぶ手作りのおにぎり
店舗に並ぶ手作りのおにぎり
フィス街の店であることから、ランチタイム(午前11時30分〜午後1時)には「日替わりおにぎり2個とみそ汁セット」を300円、同「3個セット」を400円で発売している。
 また、午後5時からは残業セットとして「おにぎり2個とみそ汁セット」を販売している。
 そのほか、店頭での精米販売や全農ぴゅあ弁当、サラダ、デザートなどのほか米のエキスをもとに製造された「ライスパワー」商品も販売されている。
 事業開発グループではおにぎり店舗を今年度中にもう1店舗、来年度は3店舗を増やす予定。具体的な出店計画としては、日本郵政公社とタイアップして、いわゆる基幹的な郵便局の遊休スペースに出店していく計画を検討している。

オリジナル弁当「濱弁」を販売拡大

 おにぎり店舗の展開のほか、いわゆる「ごはん」の消費拡大事業として取り組んでいるのが「全農ぴゅあ弁当」の販売促進だ。
 全農ぴゅあ弁当は、米はもちろんおかずの素材も国産農畜産物を使用することが基本。現在、鶏づくし弁当、牛焼肉弁当がメニュー化されており、今後は、国産豚肉を素材した新たなメニュー開発を課題としている。
 この弁当の販売実績は14年度で7万食。15年度は12万食が目標で、16年度は15万食、17年度は18万食の販売を目標としている。
 販売数量の拡大では新たなメニュー開発とその実現と合わせて、関連企業の会議などイベントでの利用推進など促進策のほか、駅での販売は現在はJRの関連会社との販売が中心だが、今後、その他の私鉄の中核駅での販売提携も視野に入れた営業活動にも力を入れていくという。

◆環境にも優しいJA全農の弁当

 いうまでもなくJA全農が提供する弁当の食材はすべて国産農畜産物。いわば国産農畜産物を提供するJAグループならではの事業展開である。
 さらに今年度は、新たなにオリジナル弁当「濱弁」を開発、販売した。
濱弁

 この弁当は横浜スタジアムのオリジナル弁当として考えられたもので全農安心システム米の秋田県産あきたこまちをごはんに使用、そのほか鶏肉は佐賀県産の有明鶏、豚肉は秋田SPF(特定の病原菌がない豚として飼育されたもの)を使用するなど、こだわり一杯の素材が満載された弁当。
 また、横浜ベイスターズの応援フラッグがついていたり、さらには弁当箱には竹すだれを使用するなど再利用が可能で環境にも配慮しており、定価1200円に納得できる内容になっている。横浜球場には試合日に100食から200食の提供だがすぐに完売。今年度はシーズン途中からの販売だったが、来シーズンは開幕当初からの販売をめざし準備に取り組む。
 今後も、弁当の事業についてはすべて国産農畜産物を材料とし、和風弁当を中心にヘルシーなメニューの提供を基本としている。
 全農ぴゅあ弁当「濱弁」の評価を通じて米をはじめ国産農畜産物への理解を深めてもらう事業を展開する方針だ。 

米のエキス「ライスパワー」の理解促進も大きな課題

 事業開発グループは「ごはん」の消費拡大のほか、米の加工品としての消費拡大も重要なテーマにしている。
 そのひとつが以前から取り組んでいる米粉を利用したパンの製造・販売のバックアップ。
 最近では100パーセント米の粉を使用したパンづくりを実現した関係業者の製品を生協などとの契約に結びつける事業にも取り組み、米の多様な利用、消費に関心のある生協などの実需者と具体的な事業展開を今後の課題としている。
 さらに注目されるのが、米のエキスを抽出した「ライスパワー」商品の開発バックアップと販売だ。
 米をごはん、パンなどの消費だけではなく、米が持っている健康維持に役立つエキスを醸造技術
ライスパワーエキス
などで抽出して新たな商品として提供する事業と積極的に連携していくのも大きな方針だ。
 具体的にはこのライスパワーエキスの効果を広くPRするほか、実用化された商品の販売にも力を入れていく。現在は、アトピー性皮膚炎など乾燥肌を改善する皮膚水分保持能クリーム「アトピスマイル」(製造・勇心酒造(株))や胃にやさしい健康食品「バーリーX」などの販売を行っている。

(2003.9.26)

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