農業協同組合新聞 JACOM
   

除草剤の平均使用回数は1.8回 アゼナ類で全国的にSU抵抗性が

横山昌雄(財)日本植物調節剤研究協会事務局長に聞く

横山昌雄氏
 ――15年度の水稲除草剤の動向から。

 横山 平成15農薬年度、水稲除草剤は169種238製剤が流通し、53種の有効成分の組み合わせとなった。水稲除草剤トータルの推定使用面積は約300万6000ヘクタール(9月末集計)で、前年同月比100%とほぼ同程度であった。出荷数量は約3万3600トンと、これは前年同月比101%と微増した。除草剤の平均使用回数は1.8回となっている。

◆一発剤の使用面積10万ha以上は4剤

 ――種類別、剤型別で何か特徴は。

 横山 種類別から見ていくと、体系処理(初期)約63万ヘクタール(前年比106%)、一発処理174万2000ヘクタール(同97%)、体系処理(中・後期)63万5000ヘクタール(同101%)となった。剤型別では、少量拡散型粒剤が448%と大きく伸び、乳剤104%、ジャンボ剤103%、粒剤(3キロ)102%、1キロ粒剤100%とつづいた。一方、フロアブル剤、顆粒水和剤、液剤、水溶剤などは100%を割った。
 指摘できるのは、一発処理剤で10万ヘクタール以上の使用面積となっているのはミスターホームラン、ウルフエース、ザーク、ジョイスターの4剤のみとなったことだ。2〜3年前までは2桁の剤があった。効果的に優れ、汎用性に富んだ除草剤が増えてきた。

◆酵素法と発根法2つの検定法が

 ――SU(スルホニルウレア)抵抗性雑草問題で新しい動きは。

 横山 これまで見られなかった、コナギで徐々に抵抗性が確認されるようになった。アゼナ類は、全国的に抵抗性が見られる。ホタルイも、アゼナ類ほどではないが指摘されている。ミズアオイは、北海道および東北の一部で問題となっている。

 ――抵抗性雑草の見極めは。

 横山 SU剤の入っている除草剤を使用しているか、連用しているかを聞き取り調査する。また、水管理をしっかりやっているか、適正使用をきっちり行っているかの確認も。特定の雑草が残っていれば、SU抵抗性雑草と見なされる。残っていれば、次年度から倍々の広がりとなる。
 SU抵抗性雑草の迅速な検定法としては、酵素の有無を見る「酵素法」と薬剤液に浸し発根を見る「発根法」の2種類があり、農業試験場などが検定している。例えば、ホタルイ、アゼナ類がまん延している東北の各県では、この検定により防除情報として活用し効果がでつつある。

◆SU抵抗性雑草対策はローテーション確立で

 ――SU抵抗性雑草の今後の対策は。

 横山 抵抗性雑草は、漏水が多いとか砂壌土とか、もともと除草剤が効きにくいほ場に残る。抵抗性雑草の発生は、「面」にはなっていないが「点」が全国に広がりつつある。抵抗性雑草は、1剤を連用してきた結果として問題がでてきた。ローテーション散布が必要だ。また、現在「KUH―021」、「TH―547」など1有効成分で複数の雑草に効く薬剤が開発されており、除草剤市場の地図を塗りかえる可能性もある。

 ――どうもありがとうございました。 (2003.12.12)


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