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特集 『低コスト・省力・環境にやさしいMY−100』―安全・安心な水稲生産を目指して― |
ヒエ剤のトップシェアを3剤型の所有会社が躍進 |
バイエル クロップサイエンス(株) マーケティング本部水稲除草剤グループ 丸山 俊城氏に聞く |
◆旧三菱油化はユカメイトから ―「MY―100(オキサジクロメホン)」の原点はジメピペレートですね。 ただし、ジメピペレートは環境問題に課題があり、臭いの強い化合物である、クミルメルカプタンという物質を発生しやすかったのです。高い安全性に特長があり、ピーク時には約16万ヘクタールの普及面積におよびましたが、これらを含めいろんなしがらみが絡んで市場での拡展が難しかったのです。 当時、植物化学研究所の開発部の責任者は直原一男さんで、私はグループリーダーでした。市場では、メフェナセットが一歩リードしていました。同有効成分は2・5葉期と、高葉令のヒエに効果が高く、残効性も40日と総合的にピカイチでした。旧三菱油化(株)としては、次のヒエ剤開発を迫られていました。 ◆わが国の除草剤開発 宇都宮大が本流に ―余談ですが、わが国の除草剤開発には、宇都宮大農学部の影響が大きいのでは。 丸山 確かに、その側面はあります。ピリブチカルブ、テニルクロールなど、有力剤が宇都宮大の所産ともいえましょう。竹松哲夫教授の功績が大きく、現在でも氏の愛弟子が各方面で活躍されています。 ―「峰農会」という宇都宮大農学部のOBで、農薬関連の仕事に携わっておられる方の集まりがあります。 丸山 聞くところによると、今年も2月に「峰農会」が催され、約40名が集まったそうです。会の名前は地名からきているとも聞いています。業界では、高沢良夫((社)施設園芸協会)、鴨居道明((財)日本植物調節剤研究協会)、吉田義夫(農薬バイオテクノロジー開発技術研究組合)、小川安則(クミアイ化学工業(株))、吉沢裕和(北興化学工業(株))、白井雄太(日産化学工業(株))、池田修(日本農薬(株))、林真三男(三井化学(株))氏ら多くの方がおられ、いろんな形で応援していただきました。 ◆「MY―100」への展開 ヒエ剤は除草剤の基幹剤 ―カラフト帰りの方もおられたり、そうそうたるメンバーですね。「MY―100」への展開は如何ですか。 丸山 1991(平成3)年、旧三菱油化(株)は、「MY―100(オキサジクロメホン)」の基本骨格をダイセル化学工業(株)より譲り受けました。旧三菱油化(株)は、当時、リード化合物を所有しておらず喉から手がでるほどほしかったのです。この時、池田芳(かおる)開発部課長(当時)に声がかかり、研究所での修飾が始まりました。 ―ローヌ・プーランとの統合もこの時期です。 丸山 業界は、外資と一緒になる傾向にありましたが、旧三菱油化(株)も農薬事業を切り離そうとしていました。結果として、1994(平成6)年にローヌ・プーラン油化アグロ(株)が誕生しています。しかし、ヒエ剤は世界展開できるものではありません。そこで、同年に、特に水稲農薬に強いJA全農に声をかけたのです。当時の原体課長は、藤田文雄氏(現バイエル クロップサイエンス(株))で、農薬原体を所有したかったJA全農と利害が一致したのです。 ◆主力ヒエ剤成分は4つ 地域に応じ剤型選択を ―現在の姿と、今後の展望は。 丸山 「MY―100(オキサジクロメホン)」は、まさに突貫で対応したもので、製造プロセススクリーニングおよび製剤化に苦労しました。物理化学的にはフロアブル製剤が好適なのですが、粒剤ではキャリアに吸着しやすいなど課題が多かったのです。この中で、フロアブルは10アール当たり6グラム、粒剤は30%高い成分量の8グラムの基準薬量が設定されました。 ―ありがとうございました。
(2004.3.12)
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