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特集 絆の強化と仲間づくりで事業基盤を確立――JA共済事業のめざすもの |
組合員・利用者との「絆」を一層強化 現地座談会 ライフ・アドバイザーが語るJA共済の夢と希望 |
JAいしのまき(宮城県) | |||
共 済 部 長 | 今野 信一氏 | ||
中央普及センター | 鈴木昇一次長 | 北部普及センター | 日野智弘副長 |
佐藤裕之副長 | 佐々木 透氏 | ||
東部普及センター | 佐々木美江氏 | 南部普及センター | 熊谷善一次長 |
尾形 幸悦氏 | |||
菊地 和子氏 |
◆被災後、直ちに全戸訪問全職員で取り組む
――昨年7月26日に発生した地震は地域に大きな被害もたらしたと伺っています。まず発生当時のJAの対応についてお聞かせください。 熊谷 地震発生の翌日は日曜日だったんですが、対策本部を立ち上げて共済担当者だけでなく、JA職員全員でとにかく被害者宅の訪問を始めることにし2人1組で巡回していきました。 尾形 地震被害ですごく不安になっているさなかですから、共済金がいくらになるのかということは別に、気持ちの面でのケアをしなければという思いでしたね。 日野 ともかく素早く顔を出そうと。ケガがなかったか、被害状況はどうか、確認していきました。まず安心感を与えることを心がけたわけです。要するにJAは被害者に対しバックアップしますよというメッセージを伝えることが大事だということでした。 佐々木(透) 7月26日は、夜中、翌日の明け方、朝7時と3回も発生したんですね。私の場合、まずその日のうちに担当地域の巡回を他部署の職員にも協力してもらって行い、翌日に対策本部ができてから実際の被害調査に入っていきました。私も最初の訪問では、JA職員が後で必ず改めて来ますから、と安心してもらえるように声をかけることに務めました。 ◆痛みを共有し安心感を与える ――まず安心感を与える、そしてJAが共済事業をはじめさまざまな形でバックアップしますというメッセージを職員全員で伝えたわけですね。 佐々木(美) 私は震源地と同じ町内に住んでいて、自宅もひどい被害を受けましたが、ある程度かたづけてから雨合羽を着て担当地区を一軒づつ歩いて訪問しました。一軒ごとに壁や屋根がどうなっているかなど被害状況をメモ帳に箇条書きしていきながら、悲しみを共有するというかまずは共感するという気持ちでした。 菊地 今回の地震は事故みたいなものですよね。こういう地震が来た時のことを考えてあらかじめ預貯金をしているという方はいらっしゃらないと思います。共済金は保障の大きさと被害状況によって支払われるわけですが、そのお金によって再建のめどが立ったという感謝の声をたくさんいただきました。やはりJA共済の必要性を感じてもらえたと思います。 佐藤 昭和53年の宮城県沖地震のときには私は小学生でしたが、当時は停電と断水、それからブロック塀がばたばた倒れて身動きできないような状態だったという恐ろしさを覚えています。今回、被害に会われた方のところを訪問したら、当時よりももっと被害はひどく本当に壁が裂けて、柱がよじれているような状態でした。 鈴木 ただ、たしかに正組合員については全戸訪問できてそれなりにフォローはできたと思いますが、自分の反省としては准組合員についてはどうだったのかなという気持ちもあります。 ◆「3か年計画」のテーマ 絆の強化と仲間づくりの課題 ――今、鈴木さんから率直に准組合員へのケアはどうだったろうかという指摘がありました。JA共済事業の「3か年計画」のテーマは「絆の強化と仲間づくり」となっています。まさに今のようなご指摘は、組合員、利用者との絆を強めること、そして若い世代などの新しい仲間づくりという課題に通じるご体験だと思います。
正組合員さんではやはり高齢化が進んでいて、どうしても訪問ではそういった高齢者の方々と接することが多い。しかし、私としてはやはりその次の若い世代の方たちとお会いすることを訪問の第一の目的としなければならないと思っています。そのためには息子さんなど若い世代とお会いできるよう、仕事を終えて帰ってくる時間に会わせて訪問しなければなりません。 それから組合員以外にもJAとのつながりを持っていただくことについては、たとえば私の担当地域には、自衛隊の松島基地があってまさしくJAとは関係のない世帯が多い地区ですから、そういった方たちへの対応も課題です。そのためには紹介運動ですね。ある方に加入していただいたらほかにどなたかを紹介いただけるというようなアプローチを心がけています。 ――JA共済は、JAへの理解を深めてもらうための接点でもあるという捉え方をしようということですか。
尾形 そうだと思います。次世代へのアプローチということは、JA共済を通じて若い世代にJAのイメージを伝えていくことにもなると思います。
――具体的な取り組みについて今野部長からお話いただけますか。 今野部長 JAいしのまきとしても、共済事業の中期3か年計画を独自に策定しています。これはライフ・アドバイザーなども参加したプロジェクトチームで検討したものですが、そのなかにも次世代対策としてさまざまなことを実践していくことを盛り込んでいます。 ◆地域に合わせて家族に合わせた提案活動を ――世代別に対応を考えるということは、日常的な業務でも課題になるわけですね。
日野 私の担当地域は純農村地帯で農家以外の方は少ないんですが、やはりおじいちゃん、おばあちゃんが多く正組合員の高齢化が進んでいます。そして若い世代は会社勤めで会社関係で保険に加入するという傾向が強くなっているわけです。農協はおやじやおふくろの世界、自分たちは会社のつながりで、というように。
佐々木(透) 今の世の中は共済にしてもその他の保険にしてもいろいろと情報があふれています。しかし、的確な情報を組合員やその家族が得ているかといえば、話をしてみると必ずしもそうではないことが分かります。
菊地 日頃から家族全員に理解されるためには、極端な場合、最近では財布は3つあるということも考えなければなりません。3世代であれば考え方も違うし、生きてきた経験も違うわけですから、1軒の家であってもそれぞれ世代別のキーマンにお会いして、何を必要としているのか、JAに何を求めているかを聞いていかなければなりません。ですから1軒の家を訪問するといっても、それぞれの世代のキーマンの時間に合わせて行くこともあります。
佐々木(美) ある組合員さんに、自分たちが農協離れしているのではなくて、あなたたちが組合員離れしているんじゃないか、と言われたことがあるんですね。ですから、絆の強化ということになると思いますがそれには何かお役に立てるものを見つけて情報も提供し、たとえば税金の申告時期にはそれに役立つ資料を提供したりしています。 ――日頃の訪問などの活動を通じて得られた情報をLAどうしで共有していくことも大切なことだと思いますがいかがでしょうか。
佐藤 個人個人のLAの目標はあるわけですが、それぞれのセンターとして目標を達成することが求められていますから、やはり情報を共有することは大切だと思います。それがなければJA全体としての目標も達成できませんし。
鈴木 具体的には毎週月曜日の朝のミーティングで具体的な事例についてざっくばらんに話し合うようにしています。何かひとついい推進方法があればそれを共有していくことによって新規契約に結びついていく。情報交換は心がけています。 熊谷 LAというのは同じ共済事業を推進しているわけですから、センターではお互いに切磋琢磨して、みんなで盛り上げて仕事をしていこうと話し合っていますね。
――今後の活動についてみなさんの抱負などを聞かせてください。 日野 何かのときに役に立つ、というJA共済に対して、昨年の地震ではやはり加入していてよかったな、あなたに勧められてよかった、との声も聞きました。こういう声を肝に銘じて活動していきたいと思っています。 佐々木(透) 組合員、地域のみなさんにどう対応していくかという点では、自分自身がご用聞きになっていかなければいけないと思っています。イメージでいえば、サザエさんの三河屋さんのように、用もないのに顔を出す(笑)。そうするとファミリーのようになっていろんなことを頼まれるようにもなる。実際、共済の話に行って、次の訪問のときは醤油を調達して持っていったこともあります。それもJAの特産品の石巻産大豆を使った醤油がいいですよ、と勧めて(笑)。こういうことを通じて組合員のJA離れをクリアしていけるんじゃないかと思っています。 菊地 私はLAになって9年目になりますが、振り返ってみると他の部署にいたのでは経験できないことができました。苦い経験ももちろんありますが良いことのほうが多かったと思います。 佐藤 今日は建物更生共済の話が中心になりましたが、実際にはわれわれは生命共済も推進しているわけですね。昨日もこの仕事を通じて知り合った人生の大先輩が亡くなられたという経験をしたところです。そういうときに少しでも悲しまれている家族の方の力になっていけるように活動していきたいと改めて考えています。 佐々木(美) まず組合員、利用者の不満を聞くことだと考えています。どうしてJAを利用しないかなど、ざっくばらんに話をしていただく。そういう話からたとえばAコープ商品のご案内でもいいわけですから、小さいことから役に立つような提案をしていく。 尾形 少し角度を変えた点を言えば、われわれLAに対しては実績を上げたらそれなりの待遇をすべきだというのが現在のJAの考え方なんですね。これは合併前のJAにはなかったことでみんなの励みになっています。それも組合員、利用者へのサービスの向上につながることだと思っています。 今野部長 私の立場としては、JA職員のなかでLAになりたいと思う人がもっと増えるような体制をつくることが役割だと思っています。全国的な調査ではJAの職員でLAへの配置を希望していなかったという割合がかなりの割合を占めるようですが、その数字をもっと少なくするため、がんばった職員は報われるという体制をもっと充実させる。また、LAに夢を与えることも必要だと思います。さらに、達成感も必要です。昨年はLAのハワイ旅行、今年はグアム旅行を実施しております。それもJAの事業にとって大事なことではないかと考えています。 ――どうもありがとうございました。
(2004.5.21)
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