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特集 安全・安心な畜産物の生産基盤と販売事業の強化 |
全農安心システムの牛肉取り扱いを拡大 産直事業を伸ばすパック肉も増大 |
畜産販売部 狩谷哲夫部長 |
「まず牛肉についてですが、輸入牛肉の中で米国ものは45%を占めていましたから、輸入停止によって、外食業界などで顕著なように、かなり混乱が起きています。消費のほうも最近の総務庁家計調査では、1世帯当たり購入数量が前年同月を下回ったままです」 ――牛の品種別に見ると、どうでしょうか。 「同じくPOSデータによりますと、輸入停止による絶対量不足で、和牛の相場が高くなり、消費が落ちています。しかし和牛より安い国産ホルスは堅調で、前年を上回る月が多くなっています」
「鶏肉が消費不振に陥って量販店が特売を打ったりして来たことに加え、中国、タイ等からの輸入が停まっている上に、国内生産には増羽しないという傾向が出てきて、需給が締まってきています。 ――豚肉はどうですか。 「豚肉の消費は前年同月比105―110%と、牛肉、鶏肉の代替需要が伸びて好調です」
「当部の取扱高は3393億円で、3651億円の計画に対して93%でした。計画未達の要因は価格低迷です。卵価が安く、豚肉も年度当初は安かったうえ、肉牛の出荷減少もありました。これは、国内でBSEが発生した後、先行きを心配した農家が若い牛を早出し(出荷)してしまった反動です」 ――BSEの後遺症ともいえそうですね。では、16年度事業方針の最重点課題である安全・安心な畜産物を消費者に提供する方針についてお話下さい。 「1つは全農安心システムの拡大です。これは、取引先と農場の契約にもとづく生産管理を、第三者機関が認証した商品を供給するという仕組みです」 ――15年度は取扱数量を拡大したわけですね。
――もう少しピッチを上げられないのですか。 「産地を増やすことは、それとセットで契約取引先も増やすということですからね。また、すでに産地指定でつながっている関係をそのまま安心システムに乗せるという方法もとりません。私どもとしては環境負荷の低減とか、例えば放牧の草地に、できるだけ農薬を使わないとか従来の飼育方法よりも進んだ契約内容を考えています」 ――全農の安全・安心の取り組みでは、2つ目に国産牛肉トレーサビリティシステムの推進という方針もありますね。 「国の新しい法制化に先駆けて、全農が14年度に開発したシステムです。消費者が自宅や店頭のインターネットで牛の生産履歴を確認できる仕組みで、誰が、どこの素牛を買って、どんな餌を食べさせて、いつ、どこに出荷したかといった履歴が見られます。今年3月末には19産地が導入ずみで、16年度もさらに導入産地を増やします」
――鶏卵の安全・安心対策はどうですか。 「『しんたまご』や取引先のPB卵を中心に鶏卵生産者紹介システムというのをつくりました。これはパックのラベルのコード番号を見て、パソコンや携帯電話でアクセスすると、生産者や鶏の疾病対策までがわかる仕組みです。今は19産地が導入しています」
「15年度は鶏卵の販売所と液卵工場を中心に9事業所・工場で、品質保証の国際規格であるISO9001の認証を取得しました」 ――重点課題では次に直販事業を中心とした販売力の強化がありますが。 「小売店側も、産地を明確にした販売を望んでいるため、産直事業を拡大しています。15年度は牛肉で広島の生協と北海道の農場、イオンと栃木の農場をつなげたりしました。鶏卵は全農鶏卵(株)が直販機能を担っつており、取引先の特殊卵や全農ブランド品を中心に順調に伸びてきています」 ――量販店のバックヤード機能を担う加工事業はどういう状況ですか。 「パック肉は全国7工場の月間製造数量が14年度は600トンでしたが、15年度は月間650トンと実績を向上させました」 ――最後に、商品開発の取り組みはいかがですか。
(2004.7.20)
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