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特集 米事業改革とJAグループ |
インタビュー 米改革初年度、確実な集荷対策の実施を 「JA米」を核に安全、安心の提供を実践 若林一誠 JA全農米穀総合対策部長 インタビュアー:北出俊昭 明治大学教授 |
◆確実な実施求められる集荷円滑化対策
北出 16年度は米政策改革の初年度です。最初に全体の情勢がどうなっているのかをお聞かせください。 若林 16年産は豊作基調で推移してきており、先日発表された9月10日現在の作況指数は全国で101でしたから、集荷円滑化対策が発動されそうな情勢です。ただ、地域によって作柄は違いますから、正式には10月15日現在の数字で確定します。 北出 全体として供給過剰でも流通制度が大きく変ったために以前の豊作時とは異なる問題、たとえば、JAへの集荷率の低下などが出てくるのではないかという見方もありますが。 若林 たしかに13年産以降は集荷率が50%を割っていますから、JAグループには危機があります。生産者も直売などJA離れといいますか、JAに出荷することの魅力、価格や利便性などですが、そこに足りない部分があるのではないかと考えています。 北出 集荷円滑化対策への加入状況はどうですか。 若林 暫定値ですが、加入契約者数は137万人で15年度のとも補償加入者数との比較では79.9%です。加入者の生産確定数量は553万トンで生産目標数量の857万トンとの対比では64.4%という数字になっています。 ◆加工用米の確保も課題 北出 かなり高い加入率で、一応スタートとしては軌道に乗っているわけですから、今後は確実な実施が課題だということですね。
若林 JAグループの要望に応えて農相も40万トンを早期に買い入れる意向を示しました。極力早く年内に買い入れが行われれば、その分が市場から隔離されるわけですからJAグループとしては非常に望ましいと思います。 北出 確保するための対策はどう考えていますか。 若林 加工用米の必要量というのは毎年20万トンあるわけではありませんし、また、15年産の在庫も1万トン程度あります。ですから、需要量をきちんと把握して、おそらく数万トン程度だと思いますが、産地に呼びかけて確保していきたいと考えています。 北出 もうひとつ大きな問題になっているのが卸在庫ですね。 若林 卸在庫は通常は30万トン程度だと言われていますが、現在は40万トンから45万トンと多く、この在庫が少なくならないと買い意欲が出ないと言われています。さらに在庫を処分するために低価格で売れば16年産の価格も下がることになる。売り手にとっても厳しい状況です。 ◆「JA米」出荷契約計画より大幅増の195万トン
北出 さて、JAグループにとっては今年は「JA米」確立の初年度でもあります。これまでの成果はいかがでしょうか。 若林 当初の事業計画では15年産で生産履歴記帳運動に100万トン取り組み、16年産でJA米を100万トン実現し、以降、年に100万トン増やし、18年産では300万トンにしていこうと考えています。 ◆需要の多様化にどう対応するか 北出 需要が多様化しているといわれ、たとえば高くても味のいい米をというニーズもあれば、業務用需要のようにそこそこの値段の米をということもあるようですが、もう少し具体的に分析するとどういう状況にあるとお考えですか。 若林 昔と違うのは、全体としての米のレベルは上がっていることだと思います。収量は別にしても食味は良くなっていてかつてほど銘柄による差がありませんね。また、保管状況も非常によくなっていますから、古米も味がそれほど落ちることはありません。 ◆販売力の強化で生産者の期待に応える
北出 では、集荷、販売を含めて今後のJAグループ米穀事業の対応についてまとめていただけますか。 若林 集荷面ではやはり基本に立ち返るということではないかと考えています。現場のJAと県本部、経済連は大変でしょうけれども一生懸命手足でかせいでいただくことが大事だと思いますね。 北出 JA米については本当に確信をもった取り組みが求められているということですね。今日はありがとうございました。
(2004.10.5)
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