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シリーズ 消費最前線『全農マークを信頼のマークへ』 |
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◆40%引きが販売量の95%を占める冷凍食品
――全農食品は多彩な事業を展開されていますが、柱である冷凍米飯の状況をスーパーなどでみると「冷凍食品40%引き」が目玉になり、その時にまとめ買いをされ、通常価格の時には売れないと聞いていますが・・・。 中安 冷凍食品では、40%引きで売れる量が全体の95%を占めていますから、そういう価格設定をしなければいけないわけです。しかも品質を落とさずにということです。これでは、基本的に会社としては成り立たちません。これは他社も同様だと思いますから、これから、冷凍食品業界の再編成が進んでいくのではないでしょうか。これは食品全般にいえることだと思いますね。 ――生協や外食産業はどうですか。 中安 生協と外食は、わが社の柱ですが、ここは「少量多品種」の世界です。しかし最近は、量販店が厳しくなってきているので、量は少なくても一定の価格で売れるということで、大手メーカーが進出し、価格的に厳しくなっていますね。 ◆品質管理で高い評価を得た関東工場 ――これを打開するために、なにを考えておられますか。 中安 トレーサビリティを徹底していけば当然コストがかかります。これに耐えられなければ経営的にやっていけないわけですから、いかに生産や流通を合理化し、少量であっても大量生産されたものと差がないコストでできるようにできるかが勝負になりますね。 ――品質管理とか、安心・安全ニーズに的確に応えることも大事ですね。 中安 生活クラブ生協が納入食品工場を安全面、品質管理面から再チェックし、評価し直しましたが、その結果、わが社の関東工場が高い評価を受けました。そして生活クラブ生協の地域の食品品質管理担当者の研修会場に関東工場が使われることになりました。そうした面では、「自信をもって売ろう」と社内で話しています。 ――品質管理での今後の課題はなんですか。 中安 冷凍食品についていえば、わが社の工場だけではなく、半製品の冷凍ホウレンソウとか「そばめし」のソバなどの原材料を購入している相手先の工場を含めていかにキチンとできるかではないかと思います。さらに関東工場では、ISO9001を今年度中に取得する予定で、現在、取り組んでいます。 ◆生産者登録制度で消費者の信頼を ――通信販売も柱の一つだと思いますが、果物では「無登録農薬問題」の影響はありませんでしたか。 中安 全国のJAや生産者の方々のご協力を得て、「無登録農薬は使用していません」という証明書を産地のJA組合長から、「上様」ではなく全農食品社長あてにもらいました。それを添付して、提携先各社に納入しました。さらに、消費者へ届ける箱にも「どこの産地でつくり、無登録農薬などは一切使用していません」というカードをいれました。そのため、このことに関するキャンセルは1件もありませんし、現時点では「ここまでやってくれているのか」という評価をいただいています。今後とも、キチンとした体制でいくという確認のために、12月上旬には、主要産地の代表者に集まってもらいます。 ――顔の見える関係ですね。 中安 中間に何も入っていない通販だから、消費者と一番近い形で接点がもてるわけです。 ――「無登録農薬問題」を一つのチャンスにする・・・。 中安 キチンと真面目にやっている産地を差別化して評価してもらうチャンスではないかと思います。正直あってこその安心・安全ですからね。多くの産地やJAでは一所懸命キチンとやっていますから、それに応えるべくわれわれも消費者にアピールしていかなければいけないと考え、やってきています。 ◆おいしさで好調な「純粋産直米」 ――おコメの通販が好評のようですね。 中安 産地精米で一切ブレンドしていないという意味で「純粋産直米」と名づけていますが、大変に評価されています。今年度上半期実績では、5キロとか10キロ袋で3000トン弱売れていますが、前年対比8%も量が増えています。これも、正直でキチンとしていることが評価されているのだと思いますね。 ――価格は量販店などよりも高いですね。安心感で売れているんでしょうか。 中安 郵送料も込みですから高いです。それでも売れるのは「おいしい」からですよ。おコメの消費量は1人月に5キロですから、5キロで2000円のものが2500円になっても、おいしいご飯を食べたいという人たちがいるということです。まず、おいしくて、その上で安全・安心なもの。値段も倍なら買わないでしょうが、そこそこでということではないでしょうか。これは、冷凍食品でも一緒ですし、食品はみな同じではないでしょうか。 ◆常に新しい事業にチャレンジしていく ――最後にこれからの抱負をお聞かせください。 中安 社長に就任したときに社員にお願いしたことは、まず、少々のことでは会社がビクともしない財務体質へ強化していこうということです。二つ目は、工場でも事務所でも「何かおかしいな」と思ったら、すぐ隣の人に話してくれということです。そういうことをみんなで心がけていけば事故はほとんど起こらないと思うからです。 |