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シリーズ 消費最前線『全農マークを信頼のマークへ』 |
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◆創業以来の好決算が実現できる見通し ――今年、創立30周年を迎えられましたが、この間、全農直販グループの先頭に立ってこられました。そして、来年1月1日には市乳統合会社・日本ミルクコミュニティ(株)に移行されるわけですが、最近の御社の状況はどうですか。
小原 私が社長の内示を受けてからちょうど2年になります。私が就任後、それまでは富里の基幹工場1工場だったのが神奈川県経済連の神奈川中酪工場、埼玉農協乳業、そして超近代的な関西工場を新設し一挙に4工場体制になりました。しかし、神奈川中酪工場が品質事故を起し、取引先や全農関係者、社員に大きな不安と心配をかけました。その後、関西工場がスタートしましたが、初期稼動によるトラブルが起き、経営収支が悪化しました。 ◆「健康」を基本に、商品開発のコンセプトを「単純明快」に ――商品開発について具体的にお話いただけますか。 小原 いままでは、商品が多岐にわたり、アイテム数が多すぎました。そして商品のサイクルが短いので、作っては止めのくり返しで、工場が非効率的でした。そこで私は「単純明快」にすることを提案しました。 ――ビフィズス菌をカプセルに入れた商品もありますね。 小原 普通は胃酸で溶けるビフィズス菌を大腸までストレートに届くようにするために、カプセルに入れて胃酸に溶けないように保護したヨーグルト商品の「ビフィーナ」や、ビタミンの風味をカプセル化することによって、ビタミンの安定性を増した「ビターナ」ですね。森下仁丹(株)と提携して開発しましたが、これも爆発的な売行きを示しました。 ◆ニーズに応えた商品開発武器に市場で戦ってきた ――1年目はご苦労があったけれど、2年目は順調に推移しているわけですね。 小原 13年度は事故もあり赤字になりましたが、事故は一過性のもので、時間をかけ、役職員が全力で努力をすれば解決できる問題だと私は考え、いまお話したようなことに取組み、成果をあげてきています。 ――つまり、富里基幹工場1工場だけでの純粋培養ではなかなか人は育たないということですね。なぜ「年配者」ですか。 小原 若い人を天下り的に採用すると、社内の若い人の出世の道を閉ざすことになるからです。年配で優秀な技術レベルをもっている人ですから、切磋琢磨してその技術を吸収しなさいということですよ。当初は反発もあるかなと懸念しましたが、「あの人の技術は大変に優れたものだ」と尊敬の目で見られ、みんなついていっています。 ――この30年間、量販店を始めとするマーケットを開拓し、全農直販グループの伸展に大きく貢献されてきましたね。 小原 原料はすべて系統から仕入れていますが、販売は市場で他社と戦って売ってきています。とくにデザート商品は商品サイクルが短いですから、消費者ニーズを考え、開発していかなければいけません。私どもは、象牙の塔に閉じこもった「基礎のための研究」といった開発はしていません。すべて、営業企画と一体となり、市場でどういうものが求められているかを考え、それに敏感に反応した商品の応用開発をしています。 ◆日本の酪農・乳業が勝ち残るには「この道より、行く道なし」 ――そうした会社が、発展的ではありますが、統合でなくなるのは寂しい気もしますね。 小原 全農直販(株)30年の歴史は財産ですが、これが長期繁栄が保障できるのかといえば、私は大きな危機感をもっています。そして、雪印乳業(株)の市乳本部とジャパンミルクネット(株)、そして全農直販(株)の3社が分割合併しないと、国際化時代に対応できないと思います。「国際化」とは、国際的な価格に見合うようコストを下げさせられるということです。しかし、小さな企業では、これ以上コストを縮めることは不可能に近いことです。コストを縮められなければその会社は倒れます。 ――経過はいろいろありますが、積極的にとらえて進んでいくということですね。 小原 統合によって子会社3工場も含めて18工場という大きな組織になります。そして物流拠点は3社で64ヶ所あったものが31ヶ所になり、営業拠点も57ヶ所から25ヵ所に集約できます。あわせて開発体制も効率化ができますから、競争力が強化できます。雪印を含めて農系の企業であり「大地に根ざす」とか「自然に」という共通項をもっていますから一体化ができると思います。いままでは、乳業と酪農は車の両輪だと観念論的にはいわれてきましたが、それを実際に現実のものとしたのは、初めてのことです。 ◆道は一つ「前を向いて走れ」 ――動揺はありませんか。 小原 社内には「前を向いて走れ」といっています。後を振りかえれば3つの会社がありますが、前は日本ミルクコミュニティ(株)という一本道しかありません。後を振りかえり、「昔はよかったな」といってみても何の意味もありませんからね。社内に動揺がまったくなかったといったら嘘になるでしょうが、いまは、みんな燃えていますよ。 |