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シリーズ 消費最前線『全農マークを信頼のマークへ』 |
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◆「一人内二極化」――多様化する消費者ニーズ ――最近のマーケットの状況をどうみていますか。
尾ア 最近の消費者ニーズで象徴的なことは、経済が低迷していることもあって「倹約型」になっていることです。そして少子化や女性の社会進出などから、外食・中食・調理食品など「簡便食品」の伸張が著しいこと。さらに、独身者が増えたことや高齢化、生活習慣病人口の増加などによる「個食」ということを無視できない展開になっているなかで、安心・安全を求めるニーズや環境への配慮という要求も強まってきています。 ――倹約型つまり低価格志向が強いわけですね。 尾ア 日常生活では倹約型で安いものを買いますが、欲しいモノには思い切ってお金をかけるという「一人内二極化」が浸透してきていると思います。 ――「グルメ」とか「飽食」といわれた時代とは、ニーズが様変わりした・・・。 尾ア グルメブームとか飽食の時代といわれた高度経済成長期は、「大量生産・大量消費」ですが、いまは、安心・安全、美味、そして簡単・便利、あるいは個食というように、ニーズが多様化していますから、「多品種」で「軽量化」され、低価格志向が強いというのが、マーケットの特徴といえます。肉でいえば素材の売上げは下がり、惣菜や加工品が伸びています。 ◆「信頼できるのは全農グループ」と中堅食品スーパーからエール ――安心・安全ニーズは最近とくに高まっていますね。 尾ア この1年くらいの間に、O-157問題、そして食品業界に衝撃的なショックを与えたBSEの発生、マーケットに不信感をもたらした偽装問題がありました。これがおさまってきたかなと思ったら無登録農薬問題が出てきました。こうしたなかで消費サイドが「安心・安全をどこに求めたらいいのか」と考えたとき、「生産者団体の全農がちゃんとしてくれなければ、安心できないのではないか」ということになってきています。 ◆ニーズとは「お客さんが困っていること」 ――そのニーズはどのようにつかむのですか。そして、商品開発の基本的なコンセプトはなんですか。 尾ア マーケティングの基本に戻って、競争で顧客を奪うのではなく、顧客の潜在的欲求の創造によって、新しい需要分野の開拓に挑戦していくことです。つまり、消費者が何に不便を感じ困っているのかを常につかみ、それを解消できるような商品開発をしていくことです。そして、開発された商品の衛生管理がキチンとできて安全で、製造工程のトレースがキチンとできることを柱に、マーケットニーズに切り込んでいくしかないと思います。 ――品質管理については、以前から積極的に取り組まれてきていますね。 尾ア 平成12年6月にHACCP工場の認証を取得しています。そして各工場や本社の品質管理室を、14年5月から社長直轄にしました。併せてコンプライアンス委員会を設置し、委員長に社長がなることにしました。トップが、常に、直接的に認識し、行動するということです。 ――それが信頼につながっていくわけですね。 尾ア 銘柄牛や豚がたくさんありますが、お客さんがお店を信頼していると、あまり銘柄にはこだわらずにお店が推薦した肉を買う人が多くなってきています。「安全の保証」は、消費者がその店を信頼することで、お店はどこから買えば信頼できるかと考える。そうすると、全農グループに期待したいという声が着実に高まっています。 ◆確実に消費者に理解してもらえる会社に ――そして、国産畜産物が見直されていますね。 尾ア 国産の豚肉や鶏肉が見直され品薄になって価格が上がりました。生産者にとっては喜ばしいことですが、国産原料を使っているハムソーセージなどにとっては原料が上がるということになります。販売価格を上げることは難しいことです。ですから、国産原料の価値を認めてくれる人と組まないと成り立ちません。最近は、生協を中心に国産の価値を認めてもらえるところも増えています。安心・美味・正直・新鮮に自信をもって取り組むことで、確実に消費者に理解してもらえる会社になっていくと確信をしています。 ――安全・安心といわれますが、おいしさも大事ですね。 尾ア いくら安心・安全でも食べて「うまい」といわれなければ、お客さんから相手にされませんよ。そのために、料理研究家の村上祥子先生や専門家の指導を受け、安心・安全な原料を使って、ホテルやレストランの味を追求しています。すでに、餃子、水餃子を4年ほど前から出しているように、惣菜的な分野の開発を進めています。そしていま全農チキンフーズと提携して進めているのが「チキンハンバーグ」です。 ◆「食と農」の文化創造で、お客と喜びを共有できるよう ――「共創」というのは、いい言葉ですね。 尾ア 「山椒は小粒でもピリリと辛い」といいますが、食品会社としては小さな会社ですが、単に価格ではなく、使う人にとって感動と満足のいくような、これだけはどこにも負けないという魅力・価値ある商品を開発し、生協など考え方が一致する人たちと共に創っていく「共創路線」が、今後のわが社の経営戦略だと考えています。 ――最後に、今後の抱負をお聞かせください。 尾ア 平成16年に創立20周年を迎えますが、それまでにいま申し上げたことを柱にして、日ごろの努力を積み上げて、全農グループの食品加工メーカーとしての経営基盤をシッカリ築き、お客さんと喜びを共有できる会社にしたいと思いますね。 |